うたかた目次 / 人類の夢 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 / イワンの作文 / 後日談 / 独り言
イワンの作文 〜ゆめはうたかたに 13〜 『かぞくのこと』 一年一組 イワン・ウイスキー ぼくの名まえは、イワンウイスキーです。お父さんは、ジョーといいます。お母 さんは、フランソワーズといいます。 ドイツに、ハインリヒのおじさんがいます。おじさんのおばさんは、ヒルダという 名まえだけど、じこで死んじゃいました。だから、ほんとうは、ぼくは、ハインリヒ のおじさんの子どもになるはずだったけれど、お父さんとお母さんのおうちにいます。 ぼくのうちには、ジェットおじさんが、よくあそびにきます。お父さんと同じ、 レーサーです。かっこいいです。 ピュンマおじさんも、あそびにきます。学校の先生をしてます。 ジェロニモおじさんは、たまにしか来てくれません。アメリカにいるからです。ぼ くは、ジェロニモおじさんが、大好きです。いつも、おみやげをくれるからです。 グレートおじさんは、おもしろいです。いろんな人に、へんそうできます。 ちゃんたいじんは、おみせで、おいしいごはんを作ってます。このあいだ、食べに いったら、とてもおいしかったです。先生もいくといいよ。 うちには、おじいちゃんも、いっしょにすんでます。ギルモアはかせです。ぼくも、 大きくなったら、はかせになりたいです。 イワンは、学校の宿題の作文を書き終わると、それをフランソワーズに見せた。 フランソワーズは、さっと目を通してから、イワンに話し掛ける。 「よく書けてる。これなら、いいわ。ギルモア博士にも見せていらっしゃい」 「はーい。ギルモアはかせー」 イワンは、作文を手に、博士のところへ駆けていく。 「今度は、大丈夫かい」 ジョーが心配そうに尋ねる。 「ええ、大丈夫よ。担任の先生も、今度は何もおっしゃらないと思うわ」 「そうか。なら、よかった」 ジョーも、フランソワーズも、ほうっと息をつく。 「先生も、まさか小学一年生が、フロッピーディスクに作文を入れて提出するとは、 思わなかったろうな」 「ほんと。しかも、とても長いんですもの。打ち出した紙を見せてもらって、驚いた わ」 「まったく、ね」 二人は、テーブルの上のフロッピーディスクに目をやった。ラベルには、こんな文 字が書かれていた。 『人類の夢 イワン・ウイスキー』 終 イワンの作文 〜ゆめはうたかたに 13〜
うたかた目次 / 人類の夢 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 / イワンの作文 / 後日談 / 独り言