議会レポート

平成13年2月


2月県議会で質問に立ち、以下の事柄について県執行部に質問しました。



高齢者が元気で充実した生活を

送れるための生きがい対策を

■財政■

岡村 県の平成13年度一般会計当初予算は骨格予算として編成されたが、歳入のうち県税について、前年度比10.3%増の6720億円と大幅な増加となっている。
 県税収入の動向は県財政の今後を展望する上では非常に重要である。この税収の伸びは平成13年度のみの特殊な事情によるものか、それとも景気の回復を反映し、今後も着実な増加が見込めるものか、その性格によって今後の財政運営に対する姿勢が変わってくると思う。
 そこで、平成13年度の県税収入をどのように見込んでいるのか伺いたい。

沼田知事 平成13年度の県税収入については、前年度当初予算比10.3%増の6720億円を見込み、予算を計上した。
 この見込み額は、
 (1)企業収益の改善傾向を反映した法人関係税の増収
 (2)成田空港等における輸入額の増加に伴う地方消費税貨物割の増収
 (3)高金利の郵便貯金の大量満期に伴う県民税利子割の増収等を考慮して積算したものである。
 企業収益は改善傾向にあるものの、今後の動向は不透明であり、郵便貯金からの利子割も、平成14年度以降は多くは期待できないことから、今後も企業収益の動向等経済情勢に十分注意を払いながら、的確な見通しを立て、税収確保に努めていきたい。

岡村 平成11年12月に策定された「財政健全化プログラム」は、健全な財政基盤の確立を目指していくことが目標とされ、これに沿って平成12年度の財政運営がなされ、平成13年度の当初予算が編成された。
 そこで、計画期間の初年度を終えようとしている「財政健全化プログラム」をどのように評価しているのか伺いたい。

沼田知事 「財政健全化プログラム」は、当面見込まれる巨額の財源不足の発生に対し、自主的な財政の健全化に取り組み、財政再建団体への転落を回避することを目的として策定したものである。
 平成12年度はその初年度として、本プログラムの趣旨を踏まえ、当初予算編成時には歳出の徹底した削減に加え、歳入の確保及び地方債の活用等により、財源不足額の圧縮を図る一方、その後の財政運営においても、全庁挙げて経費節減等、財政健全化に向けた積極的な取り組みを行ってきた結果、平成12年度は最終的に財源不足が解消できるものと見込んでいる。
 職員に財政状況についての共通の認識が生まれ、財政健全化に取り組む機運が醸成できたことは、本プログラムを策定した一つの成果として評価できるものと考えており、こうした成果を踏まえ、今後も引き続き財政の健全化に向け、全庁一丸となって取り組んでいくこととしたい。



■県政の情報化■

岡村 国においては、IT戦略本部の第1回会合が開催され、情報ネットワークを通じて省庁横断的、国、地方一体的に情報を瞬時に共有、活用する新たな行政の実現を目指している。
 また、自治省においては、平成12年8月に「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」を決定し、地方公共団体に国と歩調を合わせた施策の推進を要請している。
 さらに、本県においても平成12年10月に「千葉県情報化推進本部」が設置され、12月には「千葉県情報化構想」が策定された。
 そこで、電子政府の構築に合わせて、県においても電子県庁の構築に積極的に取り組む必要があると思うが、取組状況はどうか伺いたい。

沼田知事 県では、電子政府の実現を目指す国と歩調を合わせ、平成15年度までに各種手続をペーパーレスで行える電子県庁の基盤の構築に取り組んでいる。
 平成12年9月には、本庁各課においてインターネットが利用できるようネットワークを整備し、県民への情報発信の充実、国等との情報交換、職員のインターネット利用率の向上等を図ってきている。
 現在、千葉県情報化構想や国の地方を支援するためのアクション・プラン等を踏まえ、
 (1)各種の申請・届出の手続を自宅や職場等からできるようにする電子申請
 (2)文書処理を電子文書により一貫して行う総合的な文書管理システム
 (3)これらの基盤となるネットワークの整備等の実現に向けて、実施計画の策定を進めている。



■政策評価■

岡村 平成13年4月から、長期ビジョン「みんなでひらく2025年のちば」に基づく第1次の総合計画、「新世紀ちば5ヶ年計画」がスタートするが、この計画の特徴の1つとして、計画の策定及び推進と一体的に実施する総合的な政策評価制度が新たに導入されたことが挙げられる。
 平成12年度においては、5ヶ年計画の策定にあわせて、事業採択のための事前評価が行われ、その評価結果は既に公表されており、今後は、特に5ヶ年計画の推進にあわせて事業の進展状況等を十分チェックし、改善や見直しを行い、次の事業展開に結びつけていくことこそが最も重要である。
 そこで、政策評価は今後どのように進めていくのか伺いたい。

沼田知事 本県では、「新世紀ちば5か年計画」の効果的な推進を図るため、計画の策定及び推進と一体的に実施する政策評価制度を導入し、計画策定にあわせて事前評価を行った。
 計画の推進段階で実施する中間・事後評価については、既に制度の枠組みを構築したが、現在、中間・事後評価を実施するための手法等について検討している。
 具体的には、「個別事業の達成度」、「参考指標」、「効率性・妥当性」、「予算・人員の投入状況」、「事業改善」の5つの視点から、政策等の実施状況について総合的な評価を行うための手法等を検討しており、政策の実現に向けて効率的で効果的な事業展開を目指していくこととしている。



■路線バス■

岡村 規制緩和が進む中で、国は、乗合バスについて、平成12年5月に道路運送法を改正し、平成13年度中に需給調整規制を廃止することとした。
 本県の乗合バスは、自家用自動車の普及や交通渋滞による定時性の低下によるバス離れ等によって、利用者は減少傾向にあり、事業を取り巻く経営環境は大変厳しい状態にある。
 このような状況の中で、需給調整規制が廃止された場合には、交通需要が少ない地方部を中心に赤字路線の廃止が懸念される。
 そこで、平成13年度中の乗合バスの需給調整規制廃止に向けて、県の対応状況はどうか伺いたい。

沼田知事 乗合バス事業については、国において、事業の活性化と発展を図るため、平成12年5月に道路運送法が改正され、平成14年2月の法施行に伴って需給調整規制は廃止されることとなった。
 これに伴い、赤字路線の廃止が危惧される地方部の生活交通の確保方策については、都道府県が主催し、国・県・関係市町村・事業者を中心に構成する地域協議会を設置し、その対策を講ずることとされた。
 このため、現在、県では地域協議会の設立に向け、国等の関係者とともに準備を進めてきており、平成13年3月には地域協議会を設立する予定である。
 今後、県として、地域協議会の中で、地域のニーズに応じた生活交通の確保方策を講ずるとともに、必要となる財源の確保等について、引き続き国に対して強く要望していきたい。



■介護保険制度■

岡村 平成12年4月にスタートし、10ヶ月が経過した介護保険制度については、現在利用している介護サービスに対して、8割から9割方の利用者が満足をしている等評価されている一方で、悲観的な意見も目につく中、平成12年10月からは65歳以上の第一号被保険者からも保険料の徴収が始まり、保険料の納付状況が注目される。
 そこで、次の点について伺いたい。
 本県における介護保険の利用状況はどうか。

島崎副知事 寝たきりや痴呆等で、要介護・要支援者として認定された人は、平成12年12月末日現在で、約7万2000人となっており、このうち約6万人がサービスを利用している。
 内訳は、居宅サービス利用者が約4万1000人、施設サービス利用者が約1万9000人となっている。
 また、介護給付費の支払い実績は、月額平均で約84億円となっており、その内訳は、居宅サービス約29億円、施設サービス約55億円となっている。

岡村 第一号被保険者の保険料の納付状況はどうか。

島崎副知事 65歳以上の第一号被保険者の保険料は、国の特別対策により、本来の保険料の半額に軽減され、平成12年10月から徴収が開始され、年金からの天引きによる特別徴収、又は保険者の発行する納付書による普通徴収により納付することとなっている。
 平成12年12月末日現在の保険料の納付状況は、全体で約97%であり、このうち普通徴収による納付状況は約85%となっている。

岡村 これらの状況を踏まえ、県は今後どのような対応を図っていくのか。

島崎副知事 県としては、必要なサービスが十分利用できるよう、ショートステイや住宅改修等の改善策を初め、制度の一層の周知やサービス事業者情報の提供の充実に努めるほか、必要に応じて制度の改善等を国に働きかけていきたい。
 また、保険料の徴収については、市町村による口座振替の勧奨や広報等による制度の一層の理解を図ること等、市町村と連携して収納率の向上を図っていきたい。



■少子化・高齢者対策■

岡村 本県は平成11年の合計特殊出生率が1.22と、全国の1.34を下回っており、また、出生数はかつての8万人台から現在は5万人台と減少していること等、少子化傾向が進んでいる。
 県においては、「千葉県子どもプラン」が策定されており、子供の健全な成長と子育て家庭を社会全体で支援するための各種施策が推進されるとともに、「千葉県少子化対策推進本部」の設置により、少子化対策の総合的かつ効果的な推進が図られてきた。さらに、本年度は近年の急速な少子化の進行に対応するため、「千葉県少子化対策推進基本方針」及び「千葉県子どもプラン」の次期実施計画の策定を進めていると聞いている。
 そこで、「千葉県少子化対策推進基本方針」及び「千葉県子どもプランの実施計画」の策定状況はどうか伺いたい。

島崎副知事 県では、知事を本部長とする「千葉県少子化対策推進本部」において、少子化対策を初めとする総合的な児童施策の中・長期的な指針となる「千葉県少子化対策推進基本方針」及びそれに基づく平成13年度からの「千葉県子どもプランの実施計画」の策定を進めている。
 少子化問題は行政のみならず、家庭、学校、地域社会、企業等の幅広い分野における取り組みが必要なことから、県内の各界関係者が参加する「少子化への対応を推進する千葉県民会議」を設置、平成12年12月に第1回の県民会議を開催し、「少子化対策推進基本方針」及び「千葉県子どもプラン」の次期実施計画の策定に向けての意見を求めた。
 さらに、県のホームページに計画の原案を掲載するとともに、「ちば県民だより」で意見募集を行う等、幅広く県民からの意見等を求めており、これらの意見等を踏まえて、「少子化対策推進基本方針」及び「千葉県子どもプラン」の次期実施計画を平成12年度中に取りまとめたい。

岡村 介護保険制度の実施状況を見ると、要介護認定を受けた高齢者は、県では高齢者全体の1割弱であり、残りのおおむね9割の高齢者は元気であると言える。平均寿命が延び、高齢社会になったからといって、皆が寝たきりや介護を要するようになるということではなく、元気で充実した一生を送れるようにすることが重要である。
 そこで、次の点について伺いたい。
 高齢者の生きがい対策をどのような考えで進めていくのか。

島崎副知事 高齢期の生活を活力あるものとしていくためには、高齢者自身が健康であるとともに、これまで培ってきた豊かな経験と知識・技能を活用し、地域社会の中で積極的に社会活動に参加していくことが重要である。
 そのため、県では、
 (1)県内5地域に専用校舎を配する生涯大学校等を活用した、高齢者の学習機会の提供や仲間づくりへの支援
 (2)地域における高齢者の活動の場である老人クラブが、より魅力のあるものとなるよう、その活動の支援
 (3)市町村等が実施する高齢者リーダー養成事業やスポーツ・レクリエーション事業等、高齢者の社会参加や生きがい活動に対する助成
 等を実施している。
 今後は、これらに対し一層の充実を図るとともに、次期5ヶ年計画においては、高齢者の能力を活用した「高齢者能力活用支援事業」や、地域で行う高齢者のボランティアやコミュニティー活動等を支援する「老人クラブコミュニティー活動支援事業」等、高齢者が幅広く積極的に社会参加できるような環境づくりを推進することとしている。

岡村 本県における介護予防対策の取組状況はどのようになっているのか。

島崎副知事 高齢者の介護予防対策を充実することは極めて重要であり、県では市町村と連携を図りながら、介護予防生活支援事業として、ひとり暮らし高齢者等の閉じこもりを防止し、生きがいをはぐくむ「生きがい活動支援適所事業」や日常生活に関する支援・指導、家事に関する支援・指導等を行う「生活管理指導事業」等を促進するとともに、あわせて、寝たきり防止対策として、寝たきり老人ゼロを目指した研修会の開催や、寝たきり予防意識の「普及啓発事業」や、寝たきりの大きな原因となる脳卒中や骨粗老症に重点を置いた各種「予防事業」等を推進している。



■産業廃棄物■

岡村 循環型社会を実現するため、廃棄物の減量化を促進し、安全で適正に廃棄物を処理することができる体制整備が大きな課題となっているが、平成12年6月、廃棄物処理法が改正され、首都圏等における最終処分場の逼迫した状況に対応するため、都道府県等が資金を拠出した公益法人を指定して支援する、廃棄物処理センター制度や、優良な民間事業者による施設整備を支援する特定施設整備法について、これらの制度の活用を促進するため要件緩和等の措置が講じられた。
 そこで、今後の最終処分場の設置について、公共関与を含めてどのように考えているのか伺いたい。

沼田知事 産業廃棄物の処理は原則として、事業者自らの責任において適正に処理するものであるが、最終処分場は迷惑施設との意識から地域住民の不信感を払拭することができず、民間による設置は困難な状況になってきている。
 また、適正に処分するために必要な最終処分場の残余年数は、全国的にも1.6年と逼迫していることから、今回の法改正により公共関与の要件が緩和された。
 本県としては、中・長期的な観点に立った産業廃棄物の適正処理を確保するため、施設整備の手法の一つとして、PFI法等の民間活力、廃棄物処理センター制度等の活用を含め、公的関与の在り方や手法等について検討を進めることとしている。

岡村 東総地域に計画されている産業廃棄物の最終処分場の設置については、平成12年3月、厚生省から県の行った不許可処分を取り消すとの裁決がなされたが、地元では市・町を初め、住民が設置に強く反対している状況である。
 このような中で、平成12年11月に株式会社エコテックから補正書類が提出され、県が審査を行ったと聞いている。
 そこで、株式会社エコテックに係る産業廃棄物最終処分場の設置許可について、どのように考えているのか。
 また、地元対策についてどのように考えているのか伺いたい。

沼田知事 当該最終処分場設置計画については、事業者から補正書の提出を受け、県は法に基づく審査を行うとともに、処理水の最終処分方法について参考として専門家に意見を求め、おおむね妥当との意見を得た。
 県の審査において、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく技術上の基準等に適合しており、処理水の最終処分方法も適当であると判断されることから、許可する方向で2月5日に環境省と協議を始めたが、今後、国と協議の上、関係法令等との調整を図っていくこととしている。
 また、地元の意向については、今後とも、地元市・町と話し合いの場を設け、地元要望等取り入れられるものは取り入れるように努力していきたい。



■ダイオキシン■

岡村 ダイオキシン類対策特別措置法の施行により、廃棄物焼却炉を中心とした発生源対策が実施され、排出量の減少が期待できるものと考える。
 しかし、我が国においてはダイオキシン類への対応はまだ日が浅く、これまでに排出されたダイオキシン類は広く環境中に蓄積されている可能性があり、今回、市原市地先海域の底質から高濃度のダイオキシン類が検出されたことは、そのおそれを明らかにしたものと思われる。
 そこで、次の点について伺いたい。
 市原市地先海域の底質から全国的にも高濃度のダイオキシン類が検出されたが、その内容はどうか。

沼田知事 市原市が同市の前面海域について継続して調査を実施してきた結果、通称「市原港」において、底質1グラム中最高1200ピコグラムという高濃度のダイオキシンが検出され、12月20日に市原市から公表された。
 ダイオキシン類については、現在、公共用水域の底質に関する環境基準が設定されていないため、この調査結果については評価できない状況にあるが、これまで環境省が公表した全国の状況と比べ、かなり高濃度の結果となっている。

岡村 今後、より詳細な調査が必要と思うがどうか。

沼田知事 通称「市原港」の底質において高濃度ダイオキシン類が検出されたことについて、県は、より詳細な実態を把握する必要があると判断し、市原市と協力して港内32地点及び流入河川2地点について、1月15日と16日の両日、底質等の検体の採取を行い、現在、分析を実施している。
 また、2月から3月にかけて臨海部の関係事業場及び流入河川の流域に立地する事業場等に対する実態調査等を実施していくこととしている。



■交通安全対策■

岡村 平成12年、県では、「第六次千葉県交通安全計画」に基づき、交通関係機関・団体と連携し、「年間交通事故死者数を400人以下」に抑止するため、交通安全対策に取り組んできたが、10月、11月の交通死亡事故多発により、この目標を達成できず、全国的にもワースト上位に位置したことは残念である。
 また、平成13年は年当初から交通死亡事故が多発し、ワースト1位という、昨年にも増して厳しいスタートとなっている中で、県では「第七次千葉県交通安全計画」を策定すると聞いている。
 そこで、次の点について伺いたい。
 本県の交通事故発生状況とその対策はどうか。

島崎副知事 昨年の県内における交通事故において、発生件数・負傷者数は、いずれも前年を上回っており、死者数については減少したものの、全国的にはワースト3位という厳しい状況である。
 また、平成13年は1月末現在で発生件数・負傷者数は減少しているが、死者数については前年比14人増の45人で、平成8年以来の死者数となっており、極めて憂慮すべき状況となっている。
 こうした交通情勢の中で、4大交通安全運動を初め、「交通安全の日」の意識高揚事業や事故多発地点での共同現地診断、さらには各年齢層別の交通安全教育等、各般にわたる交通安全対策に積極的に取り組んでいる。
 特に、平成13年は交通死亡事故が急激に増加する等の異常事態となっているため、2月1日から2月28日までの1ヶ月間、警察本部や市町村等の協力を得て、広報啓粛活動や街頭指導・取締りを重点とした「交通死亡事故の抑止に向けた緊急対策」を実施している。
 今後とも、警察本部等の交通関係機関・団体等と密接な連携を図りながら、重点的かつ効果的な交通安全対策を推進し、交通事故の防止を図っていきたい。

岡村 年間交通事故死者数を400人以下にするため、県は全庁を挙げて総合的に取り組むべきと思うがどうか。

島崎副知事 交通死亡事故を抑止するためには、官民一体となった取り組みが必要であり、このため、関係部局長等25名で構成する「千葉県交通安全対策会議」を、また、行政と民間の267機関・団体で構成する「千葉県交通安全対策推進委員会」を設置し、交通安全の諸対策に総合的かつ計画的に取り組んでいる。
 具体的には、
 (1)環境生活部が行う広報・啓発活動や交通安全教育
 (2)土木部が行う交通事故多発地点の交差点改良や通学路の確保
 (3)警察本部が行う交差点や主要道路における交通指導取締りや信号機の設置等、関係部局・機関で実施するこれらの対策については、交通安全対策の推進母体である「千葉県交通安全対策推進委員会」等において調整を図り、「4大交通安全運動」や「交通死亡事故抑止緊急対策」等の各種交通安全対策に取り込み、一体的、横断的に推進している。
 今後とも、交通死亡事故を抑止するため、関係部局・機関間の相互連携を一層強化し、総合的かつ効果的な交通安全対策を進めていきたい。

岡村 「第七次千葉県交通安全計画」の策定を今後どのように進めていくのか。

島崎副知事 「第七次千葉県交通安全計画(平成13年度から平成17年度)」は、現下の厳しい交通情勢を踏まえて、人命尊重の理念を基本に、「道路交通・鉄軌道交通の安全」及び「踏切道における交通安全」に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な体系・方向を定めるものである。
 この計画は、交通安全対策基本法の定めるところにより、国の交通安全基本計画に基づき策定することとなつており、現在、国においては県が講ずるべき「陸上交通の安全に関する計画」を盛り込んだ「第七次交通安全基本計画」を策定中であり、年度内には同計画が示されることとなっている。
 今後は、これを受けて、交通モニターや関係機関・団体から広く意見等をもらった上で、施策・事業等についてさらに検討を加え、6月中には「千葉県交通安全対策会議」において計画を決定したいと考えている。



■新産業の育成■

岡村 日銀が発表した1月の金融経済月報を見ると、景気回復のテンポが鈍化しているとの判断を示しており、また、直近の本県中小企業の業況判断指数を見ても、先行きにやや不透明感が見られる。
 こうした中で、持続的な経済発展を確保し、21世紀の経済をリードする産業県千葉を実現するためには、県内各地において新規成長分野における革新的な事業展開を促し、新しい産業を育成していくことが緊急に取り組むべき課題であると認識している。
 県では、新規成長分野における積極的な事業展開に取り組む中小企業等に対して、総合的、継続的な支援を行う「地域新産業創造プラットフォーム」を整備し、財団法人千葉県産業振興センターを中心に各種事業を展開していると聞いている。
 そこで、次の点について伺いたい。
 新規成長分野の産業育成は重要なことと考えるが、具体的にどのように取り組んでいくのか。

沼田知事 新規成長分野を中心とした新事業の創出を促進することが重要であると認識しており、「新世紀ちば5か年計画」においても、今後成長が期待される新規成長分野について産業振興を図ることとしている。
 具体的には県及び関係機関の提携のもと、総合支援体制である「地域新産業創造プラットフォーム」において、企業ニーズや大学等の技術シーズを戸別訪問等で直接把握し、産・学・官連携のコーディネートや技術・経営相談の実施等、企業にとって最適な支援策の投入に努めてきた。
 今後は、産業支援機関のネットワークの充実や産・学・官連携の一層の促進のため、総合的、専門的組織としての「産・学・官連携推進オフィス」を設置する等、新規成長分野の産業育成を促進していきたい。

岡村 財団法人千葉県産業振興センターの役割やスタッフの育成についてどのように考えているのか。

沼田知事 千葉県産業振興センターは、本県経済の発展及び中小企業の一層の振興を図るため、平成12年4月に中小企業振興公社と工業技術振興センターを発展的に統合した財団法人である。
 産業振興センターは国、県及び各産業支援機関等と連携して、中小企業等に対し、技術、金融及び経営に係る支援を行う役割を担っており、法的にも、
 (1)中小企業支援法に基づき、県の実施する中小企業支援事業の一部を実施する県内唯一の指定法人
 (2)新事業創出促進法による本県の「地域新産業創造プラットフォーム」の中核的支援機関
 (3)小規模企業者等設備導入資金助成法による貸与機関
として位置づけられている本県の中核的産業支援機関である。
 産業振興センターでは、その機能を十分発揮するためには、職員の資質向上が極めて重要なことと認識していることから、国と連携して各種研修に職員を派遣するとともに、日常業務においても民間の専門家との積極的な意見交換を通じて、業務に必要な知識やノウハウの習得に努めている。



■公共事業■

岡村 厳しい財政事情のもとで限られた財源を有効に活用し、効率的な公共事業の執行を通じて社会資本整備を着実に推進し、本格的な高齢化社会の到来に備えるためにも早急に有効な諸施策を実施し、公共工事コストの一層の縮減を図っていく必要がある。
 県では、平成9年11月に「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」を策定し、平成11年度までの3年間の取り組みでは、一定の成果が得られたものと評価している。
 今後も、これまで実施してきた施策に加え、新たに「ライフサイクルコストの低減」や「省資源・省エネルギー化」、「環境との調和」等のトータル的な施策をより一層進めていくことが必要と考える。このような状況の中、県では「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」 を策定した。
 そこで、次の点について伺いたい。
 「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」の内容はどのようなものか。

島崎副知事 公共工事のコスト縮減については、平成9年度から平成11年度までの3年間、「工事コストの低減」として19項目、120の具体策に取り組み、9.7%、約180億円の縮減効果が得られた。
 県では、引き続き効率的な公共事業の執行を図るため、これまで実施してきた「工事コストの低減」に、新たに、
 (1)工事の時間的コストの低減
 (2)ライフサイクルコストの低減
 (3)工事における社会的コストの低減
 (4)工事の効率性向上による長期的コストの低減
の4分野を加えた「千葉県公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」を平成12年12月に策定した。
 この計画では、施設の耐久性の向上や省資源・省エネルギー化、工事におけるリサイクルの推進、環境負荷の低減等を図る5分野、30項目にわたる180の具体策を盛り込み、総合的なコスト縮減を目指すこととしている。

岡村 「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」について、どのように取り組んでいくのか。

島崎副知事 県では、全部局庁で構成する「千葉県公共工事コスト縮減推進連絡調整会議」において、新行動計画に盛り込まれた具体策の推進や情報交換及び相互調整等を行い、縮減効果の着実な向上を図ることとしている。
 また、新行動計画の目標年度は平成20年度末までとし、その間の社会経済情勢の変動に的確に対応するため、3年ごとに施策を見直し、その実施状況についても適切にフォローアップし、公表することとしている。
 今後とも、効率的な公共事業の執行を通じて社会資本整備の着実な推進を図るため、新行動計画に盛り込まれた種々の施策に積極的に取り組んでいきたい。



■成田空港への交通アクセス■

岡村 国は、首都圏の航空政策として都心から10キロメートルの羽田から50キロメートル以上離れた成田に国際空港を移すことを決めた際、日本の玄関としての利便性を考慮し、高速道路や高速鉄道も空港整備として一体的に整備することとした。
 成田空港への交通アクセスについては、これまで改善が図られてきたが、まだ十分とは言えず、抜本的改善のためには、空港と都心を30分台で直結する成田新高速鉄道の整備、空港と東京外かく環状道路を結ぶ北千葉道路の整備が不可欠であると考える。
 そこで、次の点について伺いたい。
 成田新高速鉄道については整備を急ぐべきと思うが、どのように取り組んでいるのか。

沼田知事 成田新高速鉄道については、平成12年3月に国、県、関係自治体、空港公団、鉄道事業者等からなる「成田新高速鉄道事業化推進検討委員会」を設置して、精力的に検討を重ねてきた。
 その結果、平成12年12月26日に開催した委員会では、
 (1)開業時期は平成22年度を目標とする
 (2)事業費はおおむね1200億円から1300億円が見込まれる
 (3)事業主体は運行主体と整備主体を分ける、いわゆる上下分離方式で検討する
等、幹事会での検討状況が報告された。
 今後は、更に整備主体の採算性や事業資金の調達方法等について検討することとしているが、これらの検討に当たっては、この鉄道が昭和63年6月に国が約束した成田空港と都心とを結ぶ空港アクセスの基本ルートであり、国家的プロジェクトとしての性格を有するものであることを踏まえ、国等関係機関との協議・調整を急ぐ等、早期整備に向けて最大限の努力を払っていきたい。

岡村 北千葉道路についてはどのように進めているのか。

沼田知事 北千葉道路は東葛飾地域と北総地域を連絡する骨格的な幹線道路であり、成田空港や千葉ニュータウンの波及効果を生かし、沿線地域の均衡ある発展を図る上からも、極めて重要な道路である。
 この道路は、平成6年に地域高規格道路の候補路線に指定され、これまで国土交通省において、都市計画決定されている市川市から印旛村の間については、概略設計等の検討が進められており、また、都市計画決定されていない印旛村から成田市の間については、ルート・構造等の概略検討等の調査が進められている。
 今後とも、ルートの決定、早期事業化のため国土交通省に協力して、計画の進展が図られるように努めていきたい。



■教育■

岡村 今日、青少年による様々な問題行動が報道されるたびに、学校・家庭・地域がより一層連携を図りながら、子供たちをしっかりと育てていかなければならないと強く感じており、学級崩壊等の問題を抱えているこのようなときにこそ、個に応じたきめ細かな指導体制づくりを目指し、小人数教育を積極的に推進することが必要になってくる。
 そこで、国が、小人数の学習集団の編成によるきめ細かな指導を目指し、平成13年度からスタートさせる「第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」に向けての県教育委員会の取り組みはどうか伺いたい。

中村教育長 国は、平成13年度から実施する「第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」において、小人数授業等のための教員を今後5年間で定数措置する予定である。
 県教育委員会としては、現在配置されているティームティーチングのための教員とともに、新たに国から措置される小人数授業のための教員を活用し、教科等の特性に応じて、学級を弾力的に考えて小人数の学習集団を積極的に編成し、小人数授業による個々の個性に応じたきめ細かな指導体制づくりを目指していきたい。
 今後は、少人数学級検討会議に設置しているワーキンググループにおいて、学習集団の小人数化を図ることが効果的な学年や教科等、さらに実践的な調査研究を行う予定であり、その調査研究の結果等を踏まえながら、小人数授業の効果的な在り方について検討していきたい。

岡村 完全学校週5日制のもと、ゆとりの中で特色ある教育を展開し、一人ひとりの子供たちに「生きる力」を育成することを基本的なねらいとして学習指導要領の改訂が行われ、中でも、「自ら学び、自ら考える力を育成すること」や「個性を生かす教育を充実すること」等が基本方針として位置づけられている。
 これまでの学校教育が知識の伝達に偏り、画一化や硬直化として、そのマイナス面が児童・生徒の姿にあらわれており、一人ひとりの児童・生徒の個性を生かす教育の充実が、今や切実な学校教育の課題であると思われる。
 そこで、次の点について伺いたい。
 知識偏重の教育から子供たちが主体的に学ぶ教育への質的転換が求められているが、県教育委員会はどのように考えているのか。

中村教育長 子供たちが主体的に学ぶ教育への質的転換については、「学校教育はこれまで多くの知識を詰め込み、児童・生徒の学習も受け身になりがちであるとの指摘に対し、このような現状を改め、児童・生徒が主体的に学び、自分の考え方を持ち、それを的確に表現することができるようにする教育への質的転換を図ることは、これからの学校教育の課題である」と認識している。
 学校においては、新学習指導要領の趣旨に沿って、基礎的・基本的な内容の確実な定着と個性を生かす教育の充実を図ることを教育課程編成の方針に据え、学校教育の質的な改善に取り組んでいる。
 県教育委員会としては、学校教育への社会の要請を踏まえ、その質的な改善を図るため、新学習指導要領に基づく教育課程の編成と、実施のための新教育課程説明会の実施や指導主事の学校訪問等を通して、その趣旨の徹底に努めている。

岡村 「個性を生かす教育の充実」について、県教育委員会としてはどのように取り組んでいるのか。

中村教育長 個性を生かす教育の充実について、学校では基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るとともに、自ら課題を設けて行う学習や、将来の生き方を考える学習等を内容とする総合的な学習の時間を積極的に行い、従来の教科を含め、個性を生かす教育の充実を図っている。
 また、中・高等学校においては、学習内容を生徒が自分で選択できる選択教科を開設し、興味・関心や生徒の進度と特性等に応じて、課題学習、補充的な学習や発展的な学習等を通して、生徒の個性を生かす教育に取り組んでいる。
 県教育委員会としては、指導主事の学校訪問等における授業を通しての助言、新教育課程説明会等の研修会の実施、指導資料の刊行等を通して、個性を生かす教育の充実を図っている。
 今後は、教員の指導力の一層の向上を図る等、その推進に努めていきたい。

岡村 平成13年1月に文部科学省の調査研究協力者会議から発表された「21世紀の特殊教育の在り方」の最終報告では、これからの特殊教育において、「障害のある幼児・児童・生徒の視点に立って、一人ひとりのニーズを把握し、必要な支援を行うという考えに基づいて対応を図ることが必要」と提言されている。
 この中で報告されていることの1つである、ADHD(注意欠陥/多動性障害)に対しての関心が高まっている。その症状や原因等については、いまだ解明されていない点が多く、中には、保護者が「自分のしつけ、子育てのせいではないか」と悩んだり、子供たちが「自分自身のせい」と受け取ってしまう等、関係者が自らを責め、心身ともに疲れ切ってしまうこともある。
 そこで、次の点について伺いたい。
 ADHD児についてどのように認識しているのか。

中村教育長 ADHDは、いまだその原因が究明されておらず、現在、その判断基準や指導方法を確立するための取り組みが始められた。
 県教育委員会としては、教職員がADHD児の示す様々な行動や状態等をよく把握し、日常の教育に当たることができるよう対応する必要があると認識している。
 なお、国においては、平成13年1月の「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」の最終報告を受け、ADHD児等の「特別な教育的支援を必要とする児童・生徒等」への教育的対応の必要性から、今後、その教育の在り方等について研究を進めるとしている。

岡村 今後、県教育委員会ではADHD児への指導についてどのように対応していくのか。

中村教育長 県教育委員会としては、ADHD児への適切な対応や指導を行うため、県特殊教育センターにおいて、「医療関係者を含む検討会議」を設置し、ADHD児等に関する指導方法等の研究を行うほか、小・中学校等の教員を対象とした「ADHDの理解及び指導方法」等の研修講座及び啓発活動としての公開講座を開催する等、効果的な指導方法等の確立に努めていきたい。

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