議会レポート
平成13年2月
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高齢者が元気で充実した生活を
送れるための生きがい対策を
■財政■ 岡村 県の平成13年度一般会計当初予算は骨格予算として編成されたが、歳入のうち県税について、前年度比10.3%増の6720億円と大幅な増加となっている。 沼田知事 平成13年度の県税収入については、前年度当初予算比10.3%増の6720億円を見込み、予算を計上した。 岡村 平成11年12月に策定された「財政健全化プログラム」は、健全な財政基盤の確立を目指していくことが目標とされ、これに沿って平成12年度の財政運営がなされ、平成13年度の当初予算が編成された。 沼田知事 「財政健全化プログラム」は、当面見込まれる巨額の財源不足の発生に対し、自主的な財政の健全化に取り組み、財政再建団体への転落を回避することを目的として策定したものである。 |
■県政の情報化■ 岡村 国においては、IT戦略本部の第1回会合が開催され、情報ネットワークを通じて省庁横断的、国、地方一体的に情報を瞬時に共有、活用する新たな行政の実現を目指している。 沼田知事 県では、電子政府の実現を目指す国と歩調を合わせ、平成15年度までに各種手続をペーパーレスで行える電子県庁の基盤の構築に取り組んでいる。 |
■政策評価■ 岡村 平成13年4月から、長期ビジョン「みんなでひらく2025年のちば」に基づく第1次の総合計画、「新世紀ちば5ヶ年計画」がスタートするが、この計画の特徴の1つとして、計画の策定及び推進と一体的に実施する総合的な政策評価制度が新たに導入されたことが挙げられる。 沼田知事 本県では、「新世紀ちば5か年計画」の効果的な推進を図るため、計画の策定及び推進と一体的に実施する政策評価制度を導入し、計画策定にあわせて事前評価を行った。 |
■路線バス■ 岡村 規制緩和が進む中で、国は、乗合バスについて、平成12年5月に道路運送法を改正し、平成13年度中に需給調整規制を廃止することとした。 沼田知事 乗合バス事業については、国において、事業の活性化と発展を図るため、平成12年5月に道路運送法が改正され、平成14年2月の法施行に伴って需給調整規制は廃止されることとなった。 |
■介護保険制度■ 岡村 平成12年4月にスタートし、10ヶ月が経過した介護保険制度については、現在利用している介護サービスに対して、8割から9割方の利用者が満足をしている等評価されている一方で、悲観的な意見も目につく中、平成12年10月からは65歳以上の第一号被保険者からも保険料の徴収が始まり、保険料の納付状況が注目される。 島崎副知事 寝たきりや痴呆等で、要介護・要支援者として認定された人は、平成12年12月末日現在で、約7万2000人となっており、このうち約6万人がサービスを利用している。 岡村 第一号被保険者の保険料の納付状況はどうか。 島崎副知事 65歳以上の第一号被保険者の保険料は、国の特別対策により、本来の保険料の半額に軽減され、平成12年10月から徴収が開始され、年金からの天引きによる特別徴収、又は保険者の発行する納付書による普通徴収により納付することとなっている。 岡村 これらの状況を踏まえ、県は今後どのような対応を図っていくのか。 島崎副知事 県としては、必要なサービスが十分利用できるよう、ショートステイや住宅改修等の改善策を初め、制度の一層の周知やサービス事業者情報の提供の充実に努めるほか、必要に応じて制度の改善等を国に働きかけていきたい。 |
■少子化・高齢者対策■ 岡村 本県は平成11年の合計特殊出生率が1.22と、全国の1.34を下回っており、また、出生数はかつての8万人台から現在は5万人台と減少していること等、少子化傾向が進んでいる。 島崎副知事 県では、知事を本部長とする「千葉県少子化対策推進本部」において、少子化対策を初めとする総合的な児童施策の中・長期的な指針となる「千葉県少子化対策推進基本方針」及びそれに基づく平成13年度からの「千葉県子どもプランの実施計画」の策定を進めている。 岡村 介護保険制度の実施状況を見ると、要介護認定を受けた高齢者は、県では高齢者全体の1割弱であり、残りのおおむね9割の高齢者は元気であると言える。平均寿命が延び、高齢社会になったからといって、皆が寝たきりや介護を要するようになるということではなく、元気で充実した一生を送れるようにすることが重要である。 島崎副知事 高齢期の生活を活力あるものとしていくためには、高齢者自身が健康であるとともに、これまで培ってきた豊かな経験と知識・技能を活用し、地域社会の中で積極的に社会活動に参加していくことが重要である。 岡村 本県における介護予防対策の取組状況はどのようになっているのか。 島崎副知事 高齢者の介護予防対策を充実することは極めて重要であり、県では市町村と連携を図りながら、介護予防生活支援事業として、ひとり暮らし高齢者等の閉じこもりを防止し、生きがいをはぐくむ「生きがい活動支援適所事業」や日常生活に関する支援・指導、家事に関する支援・指導等を行う「生活管理指導事業」等を促進するとともに、あわせて、寝たきり防止対策として、寝たきり老人ゼロを目指した研修会の開催や、寝たきり予防意識の「普及啓発事業」や、寝たきりの大きな原因となる脳卒中や骨粗老症に重点を置いた各種「予防事業」等を推進している。 |
■産業廃棄物■ 岡村 循環型社会を実現するため、廃棄物の減量化を促進し、安全で適正に廃棄物を処理することができる体制整備が大きな課題となっているが、平成12年6月、廃棄物処理法が改正され、首都圏等における最終処分場の逼迫した状況に対応するため、都道府県等が資金を拠出した公益法人を指定して支援する、廃棄物処理センター制度や、優良な民間事業者による施設整備を支援する特定施設整備法について、これらの制度の活用を促進するため要件緩和等の措置が講じられた。 沼田知事 産業廃棄物の処理は原則として、事業者自らの責任において適正に処理するものであるが、最終処分場は迷惑施設との意識から地域住民の不信感を払拭することができず、民間による設置は困難な状況になってきている。 岡村 東総地域に計画されている産業廃棄物の最終処分場の設置については、平成12年3月、厚生省から県の行った不許可処分を取り消すとの裁決がなされたが、地元では市・町を初め、住民が設置に強く反対している状況である。 沼田知事 当該最終処分場設置計画については、事業者から補正書の提出を受け、県は法に基づく審査を行うとともに、処理水の最終処分方法について参考として専門家に意見を求め、おおむね妥当との意見を得た。 |
■ダイオキシン■ 岡村 ダイオキシン類対策特別措置法の施行により、廃棄物焼却炉を中心とした発生源対策が実施され、排出量の減少が期待できるものと考える。 沼田知事 市原市が同市の前面海域について継続して調査を実施してきた結果、通称「市原港」において、底質1グラム中最高1200ピコグラムという高濃度のダイオキシンが検出され、12月20日に市原市から公表された。 岡村 今後、より詳細な調査が必要と思うがどうか。 沼田知事 通称「市原港」の底質において高濃度ダイオキシン類が検出されたことについて、県は、より詳細な実態を把握する必要があると判断し、市原市と協力して港内32地点及び流入河川2地点について、1月15日と16日の両日、底質等の検体の採取を行い、現在、分析を実施している。 |
■交通安全対策■ 岡村 平成12年、県では、「第六次千葉県交通安全計画」に基づき、交通関係機関・団体と連携し、「年間交通事故死者数を400人以下」に抑止するため、交通安全対策に取り組んできたが、10月、11月の交通死亡事故多発により、この目標を達成できず、全国的にもワースト上位に位置したことは残念である。 島崎副知事 昨年の県内における交通事故において、発生件数・負傷者数は、いずれも前年を上回っており、死者数については減少したものの、全国的にはワースト3位という厳しい状況である。 岡村 年間交通事故死者数を400人以下にするため、県は全庁を挙げて総合的に取り組むべきと思うがどうか。 島崎副知事 交通死亡事故を抑止するためには、官民一体となった取り組みが必要であり、このため、関係部局長等25名で構成する「千葉県交通安全対策会議」を、また、行政と民間の267機関・団体で構成する「千葉県交通安全対策推進委員会」を設置し、交通安全の諸対策に総合的かつ計画的に取り組んでいる。 岡村 「第七次千葉県交通安全計画」の策定を今後どのように進めていくのか。 島崎副知事 「第七次千葉県交通安全計画(平成13年度から平成17年度)」は、現下の厳しい交通情勢を踏まえて、人命尊重の理念を基本に、「道路交通・鉄軌道交通の安全」及び「踏切道における交通安全」に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な体系・方向を定めるものである。 |
■新産業の育成■ 岡村 日銀が発表した1月の金融経済月報を見ると、景気回復のテンポが鈍化しているとの判断を示しており、また、直近の本県中小企業の業況判断指数を見ても、先行きにやや不透明感が見られる。 沼田知事 新規成長分野を中心とした新事業の創出を促進することが重要であると認識しており、「新世紀ちば5か年計画」においても、今後成長が期待される新規成長分野について産業振興を図ることとしている。 岡村 財団法人千葉県産業振興センターの役割やスタッフの育成についてどのように考えているのか。 沼田知事 千葉県産業振興センターは、本県経済の発展及び中小企業の一層の振興を図るため、平成12年4月に中小企業振興公社と工業技術振興センターを発展的に統合した財団法人である。 |
■公共事業■ 岡村 厳しい財政事情のもとで限られた財源を有効に活用し、効率的な公共事業の執行を通じて社会資本整備を着実に推進し、本格的な高齢化社会の到来に備えるためにも早急に有効な諸施策を実施し、公共工事コストの一層の縮減を図っていく必要がある。 島崎副知事 公共工事のコスト縮減については、平成9年度から平成11年度までの3年間、「工事コストの低減」として19項目、120の具体策に取り組み、9.7%、約180億円の縮減効果が得られた。 岡村 「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」について、どのように取り組んでいくのか。 島崎副知事 県では、全部局庁で構成する「千葉県公共工事コスト縮減推進連絡調整会議」において、新行動計画に盛り込まれた具体策の推進や情報交換及び相互調整等を行い、縮減効果の着実な向上を図ることとしている。 |
■成田空港への交通アクセス■ 岡村 国は、首都圏の航空政策として都心から10キロメートルの羽田から50キロメートル以上離れた成田に国際空港を移すことを決めた際、日本の玄関としての利便性を考慮し、高速道路や高速鉄道も空港整備として一体的に整備することとした。 沼田知事 成田新高速鉄道については、平成12年3月に国、県、関係自治体、空港公団、鉄道事業者等からなる「成田新高速鉄道事業化推進検討委員会」を設置して、精力的に検討を重ねてきた。 岡村 北千葉道路についてはどのように進めているのか。 沼田知事 北千葉道路は東葛飾地域と北総地域を連絡する骨格的な幹線道路であり、成田空港や千葉ニュータウンの波及効果を生かし、沿線地域の均衡ある発展を図る上からも、極めて重要な道路である。 |
■教育■ 岡村 今日、青少年による様々な問題行動が報道されるたびに、学校・家庭・地域がより一層連携を図りながら、子供たちをしっかりと育てていかなければならないと強く感じており、学級崩壊等の問題を抱えているこのようなときにこそ、個に応じたきめ細かな指導体制づくりを目指し、小人数教育を積極的に推進することが必要になってくる。 中村教育長 国は、平成13年度から実施する「第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」において、小人数授業等のための教員を今後5年間で定数措置する予定である。 岡村 完全学校週5日制のもと、ゆとりの中で特色ある教育を展開し、一人ひとりの子供たちに「生きる力」を育成することを基本的なねらいとして学習指導要領の改訂が行われ、中でも、「自ら学び、自ら考える力を育成すること」や「個性を生かす教育を充実すること」等が基本方針として位置づけられている。 中村教育長 子供たちが主体的に学ぶ教育への質的転換については、「学校教育はこれまで多くの知識を詰め込み、児童・生徒の学習も受け身になりがちであるとの指摘に対し、このような現状を改め、児童・生徒が主体的に学び、自分の考え方を持ち、それを的確に表現することができるようにする教育への質的転換を図ることは、これからの学校教育の課題である」と認識している。 岡村 「個性を生かす教育の充実」について、県教育委員会としてはどのように取り組んでいるのか。 中村教育長 個性を生かす教育の充実について、学校では基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るとともに、自ら課題を設けて行う学習や、将来の生き方を考える学習等を内容とする総合的な学習の時間を積極的に行い、従来の教科を含め、個性を生かす教育の充実を図っている。 岡村 平成13年1月に文部科学省の調査研究協力者会議から発表された「21世紀の特殊教育の在り方」の最終報告では、これからの特殊教育において、「障害のある幼児・児童・生徒の視点に立って、一人ひとりのニーズを把握し、必要な支援を行うという考えに基づいて対応を図ることが必要」と提言されている。 中村教育長 ADHDは、いまだその原因が究明されておらず、現在、その判断基準や指導方法を確立するための取り組みが始められた。 岡村 今後、県教育委員会ではADHD児への指導についてどのように対応していくのか。 中村教育長 県教育委員会としては、ADHD児への適切な対応や指導を行うため、県特殊教育センターにおいて、「医療関係者を含む検討会議」を設置し、ADHD児等に関する指導方法等の研究を行うほか、小・中学校等の教員を対象とした「ADHDの理解及び指導方法」等の研修講座及び啓発活動としての公開講座を開催する等、効果的な指導方法等の確立に努めていきたい。 |