議会レポート

平成12年6月


6月県議会で質問に立ち、以下の事柄について県執行部に質問しました。



ダイオキシン類の環境調査の実施と

有効な排出抑制対策を

■地区社会福祉協議会■

岡村 県は、社会福祉基礎構造改革の中でも、個人の自立を基本とし、地域での生活を総合的に支援するための地域福祉の充実を理念の三本柱の一つに掲げ、ゴールドプラン21の四本柱の一つにも支え合う地域福祉の形成を掲げ、住民同士による支え合いのネットワークづくり、地域活動の拠点づくりを積極的に展開しようとしている。
 また、社会福祉法が公布、施行され、社会福祉協議会が地域福祉の推進役として明確に位置づけられた今、地区社会福祉協議会の地域福祉活動に対する一層の支援が必要である。
 そこで、県は、地区社会福祉協議会への支援策をもっと充実すべきと考えるかどうか。

沼田知事 地区福祉の推進に当たっては、県民の相互連帯に根差した自発的福祉活動が重要な役割を果たすものである。
 そこで、市町村における地域福祉活動の中核となる地区社会福祉協議会に対し、補助期間を五年として活動費の一部を助成し、地域のニーズに応じた幅広い福祉活動の促進を図ってきた。
 県としては、これらの活動が充実・発展するよう、今後の支援の在り方について、市町村の役割や連携などを考慮しながら、検討していきたい。



■福祉行政■

岡村 施設入所者は、夕食時間が早過ぎたり、おむつ交換等プライバシーをもっと考えたケアをしてもらいたい等の施設の福祉サービスに対する様々な要望、苦情を抱えており、また、虐待等人権にかかわるものもある。
 施設入所者が施設側と対等の立場に立ち、入所者の意向が十分に反映された福祉サービスが適切に行われることが大切であり、施設においての処遇向上がなされるよう県として積極的に取り組んでもらいたい。
 そこで、社会福祉法の施行に伴い、県は、社会福祉施設における入所者の適切な処遇の確保を図るためにどのように取り組むのか伺いたい。

沼田知事 社会福祉法の施行により、施設入所者の保護を目的とする苦情解決の相談制度が創設され、社会福祉事業者に対し苦情解決の責務が課されるとともに、苦情を受け付け、解決をあっせんする機関として、都道府県社会福祉協議会に「運営適正化委員会」を設置するとされた。
 県では、この制度の円滑な導入・運用がなされるよう、健康福祉部内に連絡協議会を設置し、すべての社会福祉施設に対し、苦情解決の自らの取り組みについて指導するとともに、近く設置される「運営適正化委員会」とも十分な連携を図っていくこととした。
 また、指導監査においても、本年度から新たに苦情処理体制の確立を重点事項の一つに掲げ、指導を徹底している。 今後とも、施設において適切な入所者処遇が確保されるように努めていきたい。



■ダイオキシン■

岡村 県は、ダイオキシン類の発生源対策として、市町村のごみ焼却炉の構造及び維持管理について、指導の強化や廃棄物の野焼き対策等を実施した。
 また、本年1月に施行したダイオキシン類対策特別措置法では、大気汚染防止法で規制対象外であった小規模焼却炉についても法の網がかけられる等対策は進められているが、依然として大気環境基準を超過している地点が見られる状況にある。
 ダイオキシン類の排出をさらに抑制し、県民の健康を守っていくためには、環境の実態を把握するための継続した環境調査を実施するとともに、その結果を活用した有効な排出抑制対策を行うことが重要である。
 また、ダイオキシン法において規制対象とされた1時間当たり50キログラム以上の焼却能力を持つ焼却炉等、大気基準適用施設に対する排出基準の遵守状況の監視等、厳正な法の運用も重要である。
 そこで、次の諸点について伺いたい。
 県は、平成12年度、大気環境調査をどのように実施しているのか。

東城環境生活部長 平成12年度の環境調査は、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、環境庁が定めた「ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル」に従い、県内では、昨年度より10地点多い86地点で調査を行っている。
 このうち、県では、昨年度と同様に12地点で、市町村では、大気汚染防止法の政令市等18市2町が74地点で実施している。
 なお、今年度の調査は、原則として年4回実施することとしており、第1回調査については、5月に試料採取を終了している。

岡村 環境調査結果を有効に活用し、ダイオキシン類の排出抑制対策を進めるべきと思うがどうか。

東城環境生活部長 環境調査結果を有効に活用するためには、関係自治体との情報交換を密にするとともに、広く県民・事業者に分かりやすく、かつ正確に情報を提供し、ダイオキシン類に対する理解を高め、家庭用小型焼却炉の使用の自粛、廃プラスチック類の除去等のダイオキシン類の排出抑制対策について協力を求めていくことが必要である。
 このため、県では、パンフレット、広報紙、インターネットのホームページ等を活用し、ダイオキシン類についての情報を提供しているが、今後とも、内容を充実させ、より理解を深めていきたい。

岡村 ダイオキシン法に基づく大気基準適用施設の届出状況はどうか。

東城環境生活部長 ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、県に届出された大気基準適用施設は、平成12年3月末現在、685施設である。
 その内訳は
 (1)廃棄物焼却炉が663施設
 (2)アルミニウム、合金製造施設が17施設
 (3)焼結炉等が5施設
となっている。
 なお、このほかに政令指定都市である千葉市に届出された大気基準適用施設は、115施設であると聞いている。

岡村 届出施設に対するダイオキシン類の指導はどのように行っているのか。

東城環境生活部長 県は、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく届出施設に対して、同法に基づく立入検査を行い、廃棄物焼却炉設置事業者に対し、廃棄物焼却量、稼働時間等の運転状況の記録・保存、廃プラスチック類の除去等、排出基準の遵守に必要な施設管理に関する指導や排出ガスの自主測定の実施等について指導を行っている。
 また、比較的規模の大きい廃棄物焼却炉等に対しては、立入検査によりダイオキシン類の測定を実施して、排出基準の遵守状況を確認し、その結果に基づいて適切な指導を行うこととしている。
 県は、今年度、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、230の事業所を立入検査する計画であり、6月未現在、43事業所の立入検査を実施し、そのうち30事業所に対して、排出基準の遵守に必要な施設管理等の指導を行った。
 今後とも、計画的に立入検査を実施し、ダイオキシン類排出抑制のための適正な指導を進めていきたい。

岡村 ダイオキシン類の健康影響については、世界保健機関(WHO)において、平成10年5月に、安全の目安となる1日当たりの摂取量の見直しが行われた。
 このような状況の中で、生活環境審議会水道部会の専門委員会において検討が行われ、水道水質にかかわるダイオキシン類の基準が定められたが、県民生活に欠くことのできない水道水の安全性確保のために適切な水質管理を行うことが重要であり、適切に対応する必要がある。
 そこで、県営水道においては、ダイオキシン類にどのように対応しているのか伺いたい。

梶水道局長 国は、平成11年12月に水道の水質基準を補完する項目として設定してある監視項目に、ダイオキシン類を追加し、健康への影響をもとに、指針値を1リットル当たり1ピコグラム以下とした。県営水道では、国の動向を踏まえ、平成11年度からすべての浄水場でダイオキシン類の検査を定期的に実施している。
 その結果、水道水中のダイオキシン類の濃度は、いずれも指針値を下回っており、安全性は確保されていると考えている。
 ダイオキシン類は、浄水処理により大部分が除去されることから、今後とも、適正な浄水処理を行うとともに、水質管理に努め、安全で良質な水道水の供給に努めていきたい。



■フロン対策■

岡村 廃棄された冷蔵庫等から放出され、成層圏に達したフロンガスは、地上に降り注ぐ有害な紫外線を吸収しているオゾン層を破壊することが明らかにされている。
 オゾン層を破壊するフロンの生産は、先進国においては既に平成7年末までに禁止されているが、冷蔵庫、カーエアコン、業務用の冷凍機等では、現在も機器内に大量に使用されており、これらの機器を廃棄する際に適切にフロンを回収することがオゾン層を守る上で最も重要なことである。
 そこで、次の点について伺いたい。
 フロンの回収状況はどのようになっているのか。

東城環境生活部長 フロンについては、主に家電製品、カーエアコン及び業務用冷凍空調機器に使用されているが、県内におけるこれらの機器からの平成10年度の回収状況は、県全体で約18トンである。
 その内訳は、家電製品については4.7トン、カーエアコンについては9.7トン、また、業務用冷凍空調機器については3.8トンである。

岡村 フロンの回収を促進するためにどのように取り組んでいるのか。

東城環境生活部長 本県のフロン回収の取り組みについては、家電製品、カーエアコン及び業務用冷凍空調機器等の業界ごとにフロン回収を推進するため、県、市町村及び各種団体で構成する「千葉県フロン回収処理推進協議会」において回収・処理システムを構築し、平成10年4月から組織的に回収を始めている。
 また、フロン回収処理を一層促進するため、同協議会において、回収技術を有する専一定の要件を満たすフロン回収事業所等を認定する「フロン回収に係る事業所認定制度」を平成12年2月に発足させ、これまで83事業所を認定した。
 今後とも、認定事業所の増加を図り、この制度を県民に周知することにより、フロン回収・処理がより適切に行われるよう努めていきたい。



■情報教育■

岡村 児童・生徒があふれる情報の中で主体的に情報を選択活用し、情報の発信、受信の基本的ルールを身にづけることや情報化の影響等について理解を深めることは、学校教育において今後一層重要なものになっていくものと考える。
 文部省のミレニアムプロジェクト「教育の情報化」では、
 (1)平成13年度までに、すべての公立小・中・高等学校がインターネットに接続し、すべての公立学校教員がコンピュータの活用能力を身につけられるようにする
 (2)平成17年度を目標に、すべての公立小・中・高等学校等からインターネットにアクセスでき、すべての学級のあらゆる授業において、教員及び生徒がコンピュータを活用できる環境を整備する
等の指針を示している。
 このように、今後より一層情報化が進む中で、平成14年度から小・中学校で、平成15年度から高等学校で、新学習指導要領に沿った教育が展開されると聞いている。
 そこで、次の点について伺いたい。
 新学習指導要領における情報教育は、どのような内容になっているのか。

中村教育長 今後、高度情報通信社会がより一層進展する中では、すべての児童生徒が情報活用能力を培うことや情報化の影響等についての理解を深めることは大変重要なことである。
 新学習指導要領では、小・中・高等学校を通じて系統的な情報教育が行われるような内容となっており、具体的には、
 (1)小学校段階では、新たに設けられる「総合的な学習の時間」等でコンピュータ等になれ親しみ、適切に活用する
 (2)中学校段階では、「技術・家庭」でコンピュータの基礎的な操作技術の習得を必修とするなど、生徒がコンピュータやインターネット等の情報手段を積極的に活用できるようにする
 (3)高等学校段階では、各教科・科目でコンピュータやインターネット等を活用した学習活動の充実を図るとともに、情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な技能の習得のため、新しい教科「情報」を開設し、これを必修とする
等である。

岡村 県教育委員会として、今後どのように情報教育に取り組んでいくのか。

中村教育長 県教育委員会は、指導者育成及び学校の情報環境整備の観点から、情報教育に関する各種研修講座の実施、情報処理技術者派遣事業、高等学校の教育用コンピュータ等の計画的な整備を行い、情報教育の推進・充実を図ってきたが、今後とも、情報環境のより一層の整備に努めるとともに、平成14年、15年度からの新学習指導要領に沿った新教育課程の円滑な実施に向け、高等学校の新教科「情報」の免許付与を計画的に進め、小・中・高等学校の指導者養成研修等を充実させ、情報教育の推進に努力していきたい。

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