議会レポート

平成11年9月


9月県議会で質問に立ち、以下の事柄について県執行部に質問しました。



介護保険被保険者の意向を

尊重した介護プランの提供を

■介護保険制度■

岡村 現在、すべての市町村において、この10月1日までに介護保険の申請の受け付けを開始しているが、県民の関心事の一つは、介護サービスが希望どおり受けられるのかということである。
 そこで、老人保健福祉計画の主なサービスである特別養護老人ホーム、老人保健施設、ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスセンターの、計画目標に対する達成率はどうなっているのか伺いたい。

佐藤社会部長 千葉県老人保健福祉計画は、高齢者の保健福祉サービス提供体制の計画的な整備を目的に、平成6年度から平成11年度を目標年度とする計画として実施している。
 平成11年度末における主なサービスの整備量、そして目標達成率は、千葉市を除き、
 (1)特別養護老人ホーム 7863床、94.8%
 (2)老人保健施設 8513床、98.5%
 (3)ホームヘルパー(常勤換算) 1807人、58.1%
 (4)ショートステイ 1785床、100.8%
 (5)デイサービスセンター 193ヵ所、62.7%
となる見込みである。
 なお、今後の高齢者の保健・福祉サービス提供体制については、現在、作成に取り組んでいる介護保険事業支援計画、次期老人保健福祉計画に基づく基盤整備の推進を図り、その確保に努めていきたい。

岡村 特別養護老人ホーム入所者のうち、要介護認定の結果、自立、又は要支援と判定された場合は引き続き入所できるものの、その期間は五年以内とされているが、このような人々への施設退所後の生活、受け皿について十分配慮がなされなければならない。
 そこで、特別養護老人ホーム入所者の中で、自立又は要支援と認定された人々の、退所後の受け皿となるケアハウス等の整備状況と、これら施設の今後の整備方針はどうなっているのか。

佐藤社会部長 特別養護老人ホーム入所者の中で、自立又は要支援と認定された高齢者が退所後利用することのできる施設は、ケアハウス、痴呆性老人グループホーム、養護老人ホーム等であり、平成11年度末においては、千葉市を除き、合わせて76施設、定員が3558人となる見込みである。
 特別養護老人ホーム退所後は、日常生活に不安を持つ高齢者も多いと考えられ、退所後の生活を支援していくことが必要であり、特に自宅での生活が困難な高齢者の生活の場の提供、生活支援を行うケアハウス等の整備を進めていくことは、一層重要になるものと考えている。
 このため現在、平成11年度末を目途に、新たな老人保健福祉計画を策定しており、この中で、ケアハウス等の具体的な整備方針を明らかにし、必要な施設数が確保できるよう努力していきたい。

岡村 要支援、要介護と認定されると、介護プランの策定、具体的介護サービスの提供へと進むわけであるが、介護プランや実際に受けているサービスに不満が出てくる場合も考えられる。
 そこで、介護プランの作成や介護サービスに不満がある場合、これら事業者を変更することができるのか。また、不満や苦情の解決に向けてどのように取り組むのか伺いたい。

沼田知事 介護サービス計画や介護サービスに不満がある場合には、介護支援専門員に相談し、介護サービス計画の修正や居宅介護支援事業者そのものの変更、さらにサービス提供事業者の変更を求めることができることとなっている。
 また、利用者の不満や苦情に対しては、当事者同士で解決できない場合、市町村、国民健康保険団体連合会、県が、それぞれの立場で、事業者に対して指導・助言を行い、苦情処理に当たることとなっている。
 県としては、この制度上の仕組みが十分機能し、トラブルの未然防止と、不満・苦情の迅速な解決が図られるよう、平成11年末を目途に利用者の立場に配慮したモデル契約書や相談・苦情対応マニュアルの作成を進めており、利用者が安心してサービスを受けられるよう対策を講じていきたい。



■放課後児童クラブ■

岡村 放課後児童クラブは、共働き家庭等、保護者が昼間、家庭にいない小学校低学年児童に、授業終了後に適切な遊び及び生活の場を与えるもので、年々その数は増加していると聞いている。
 女性の社会参加が進む中で、子育てと仕事の両立支援で果たす役割は、ますます重要になっていくものと思われ、その整備・充実が求められている。
 そこで、放課後児童クラブの設置状況及びその支援について、どのような施策を講じているのか。

佐藤社会部長 放課後児童クラブは、昼間、保護者のいない児童の健全育成のため、公的施設等を活用して、安心してくつろげる生活の場を提供するもので、設置クラブ数は年々増加しており、平成11年5月現在で305クラブ、利用児童数は9935人となっている。県では、市町村が実施主体となる児童数20人以上の児童クラブに対しては、国庫補助と合わせ補助するとともに、国庫補助対象外のおおむね10人以上のクラブには、県単独で補助を実施しており、平成11年度は合わせて219クラブを補助対象として予定している。
 また、児童に遊び等の指導を行う放課後児童指導員の資質向上のため、研修の充実を図る等の施策を講じている。
 今後とも、放課後児童クラブの整備・充実を図るよう市町村を指導するとともに、国庫補助基準額の引き上げ等を国に要望する等、子育てと仕事の両立支援に努めていきたい。



■ファミリー・サポート・センター■

岡村 少子化対策の観点から、働く人のための支援策が求められている状況を踏まえ、国は「仕事と育児両立支援特別援助事業」としてファミリー・サポート・センター事業を創設したが、この事業は、育児の援助を行う者と受けたい者の相互援助グループを組織化することにより、勤労者が仕事と育児を両立させて安心して働くことができるようにするものであると聞いている。
 県では「千葉県子どもプラン」の中で、「子育てと仕事との両立支援」として、ファミリー・サポート・センターの市町村等での設立を積極的に促進するよう位置づけている。
 そこで、次の点について伺いたい。
 県内の設置状況及び利用状況はどうか。

石田商工労働部長 ファミリー・サポート・センターは、育児の援助を行いたい人と受けたい人からなる会員組織として市町村等が設置をするものである。県内では、松戸市、市川市に設置されており、松戸市が平成9年8月に設置し、10月から会員相互の援助活動を開始した。
 また、市川市は平成11年4月に設置し、この10月から援助活動を開始した。
 なお、我孫子市においては12月に設置を予定しており、さらに習志野市及び船橋市においては、平成12年度の設置に向けて、現在検討中である。活動を開始している松戸市の会員数は449人で、利用状況は、保育所等の送り迎えを主体に、平成10年度で3101件となっている。

岡村 今後、設置を促進するため、県としてどのように取り組んでいくのか。

石田商工労働部長 県では国とともに、センターの円滑な開設・運営を推進するため、事務局の設置に要する備品の購入やアドバイザーの活動費及び会員に対するパンフレット、会報、諸届の作成・配布に要する経費等に補助をしている。
 今後とも、勤労者の仕事と育児の両立ができる環境の整備を図るため、市町村等に対してファミリー・サポート・センターの設置の促進を指導していきたい。



■環境■

岡村 ごみを単なるごみとして処理するのではなく、資源として生まれ変わらせるためには、容器包装リサイクル法に基づき、できるだけ多くの分別収集量を確保することが重要である。
 また、リサイクルの一層の推進を図るためには、「ごみにしない」という行為が経済的に最も合理的な行動になるような誘導策を講じることが重要である。
 そして、そのための有力な施策の一つであるデポジット制度は、店頭で容器を返却すれば預かり金が戻されるという制度であり、我が国でもその実現に向け、関係者間の合意の形成を図りつつ、本格的な検討を行っていくべきである。
 そこで、次の点について伺いたい。
 ごみの減量化・再資源化に向けた取り組みはどうなっているのか。

沼田知事 ごみの発生抑制を含めた減量化と再資源化を進めるため、従来から「ごみの減量化と再資源化を進める基本方針」をつくり、その方針に基づき
 (1)容器包装リサイクル法に基づく分別収集の促進
 (2)千葉県ごみ減量化推進県民会議を中心とした全県的な普及・啓発と実践活動の展開
 (3)「千葉県リサイクルの日県民運動」及びゴミゼロ運動
等、事業者、県民、行政が一体となった取り組みを推進している。
 また、エコセメント製造施設や君津地域の直接溶融施設等、民間の技術力や資金等を活用し、リサイクル施設の整備促進にも努めている。
 今後も、市町村及び関係団体と連携し、ごみの発生抑制や分別排出の徹底、再生品の利用促進など身近な取り組みの普及を図るとともに、今年度に改訂を予定している基本方針を一層実効性のあるものとし、さらなるごみの減量化・再資源化を推進していきたい。

岡村 本県におけるごみのリサイクル状況はどうか。

白戸環境部長 平成9年度において、市町村が収集したごみから約25万トンが資源化されるとともに、町内会や子供会等の集団回収により約18万7千トンが資源化されている。
 この結果、一般廃棄物の18.8%に当たる約43万7千トンが資源としてリサイクルされている。
 なお、本県のリサイクル率は、全国統計が始まった平成5年度から現在公表されている平成8年度まで4年連続全国第1位となっていることから、県としては引き続き、関係機関や県民の協力を得ながら、リサイクルの推進について一層努力していきたい。

岡村 容器包装廃棄物のリサイクルを推進するためにデポジット制度が有効と思うかどうか。

白戸環境部長 デポジット制度の導入は、リサイクルの推進や散乱ごみの減少を図る上で有効な手段の一つであるが、売り上げの減少や費用負担の在り方等、幾つかの課題が指摘されている。
 そこで、平成7年度から平成10年度にかけて、7都県市首脳会議において、広域的デポジット制度の在り方とその導入の可能性等について調査・検討を行ってきた結果、現行法との関連や関係者間における合意形成の必要性等から、直ちに導入することは難しいものの、容器包装リサイクル法の施行状況や世論の動向を踏まえ、国や業界に対し、制度の導入に向けた働きかけを行うこととした。
 県としては今後とも、情報収集に努めるとともに、7都県市と協調を図りながら、必要な働きかけを行っていきたい。

岡村 県では平成9年3月に「ちば新時代エコオフィスプラン」を策定し、エネルギー利用の抑制等、自らの事務事業について、全庁的に地球温暖化防止の取り組みを率先して行っているが、このような取り組みを市町村にも広げていく必要があると思う。
 そこで、県として市町村における地球温暖化対策の取り組みをどのように促進していくのか。

白戸環境部長 市町村においては、庁舎内の節電や紙使用量の削減等により、既に地球温暖化対策を講じているところもあるが、平成11年4月、「地球温暖化対策の推進に関する法律」が施行され、すべての地方公共団体に自らの事務事業に関する温室効果ガスの排出抑制等の措置に関する実行計画の策定が義務づけられた。
 実行計画では、庁舎のほか公立の学校や病院等も含め、
 (1)エネルギーの使用量の抑制、低燃費・低公害車の導入
 (2)冷暖房の適正な温度管理、水の有効利用
 (3)ごみの分別、廃棄物の減量化
等の措置により、その取り組み目標を定めるとともに、温室効果ガスの排出量の削減目標を定めることとされている。
 県としては、今後、市町村が速やかに実行計画を策定し、積極的に地球温暖化対策に取り組むことができるよう、県と全市町村で構成する千葉県環境行政連絡協議会等を通じ支援していきたい。

岡村 マニフェスト制度は、排出事業者が処理業者に委託した産業廃棄物の処理を伝票により追跡把握する制度で、平成10年の12月1日からはすべての産業廃棄物について、処理業者に委託して処理する場合にはマニフェストを使用することが義務づけられており、不法投棄や野焼き等の不適正処理を防止する上で有効とされるこの制度について、県はさらに積極的な普及を図るべきと思われる。
 そこで、マニフェスト制度について、どのように普及を図るのか伺いたい。

白戸環境部長 マニフェスト制度については、平成9年の廃棄物処理法の改正により、産業廃棄物を委託処理するすべての事業者に交付が義務づけられ、平成10年12月から平成11年3月までの4ヶ月間で、千葉市を除く県内5825の事業場で交付している。
 県では従来から、事業者団体及び処理業者の講習会や県広報紙による広報等を通じて普及・啓発を図るとともに、事業場への立入検査について指導・確認を行ってきたが、おおむね定着してきているものと認識している。
 今後とも、各種講習会等を通じて指導・啓発に努めるとともに、マニフェスト制度を遵守していない不適正処理事業者等に対する指導の強化等により、マニフェストの使用を徹底していきたい。

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