議会レポート

平成9年6月


6月県議会で質問に立ち、以下の事柄について県執行部に質問しました。



ダイオキシン対策に

県として積極的な取り組みを

■環境■

岡村 四街道市内にある住宅街の千代田団地北側1キロメートルの範囲内で市境に接する佐倉市において、産業廃棄物業者が自社処分と称して、建築廃材のいわゆる野焼き行為を6ヶ所で行っている。本年1月に発行された週刊誌に四街道市の千代田三丁目の黒松の針葉から21.4ピコグラムのダイオキシンが検出されたとの調査内容が掲載され、地元では、住民の健康に与える影響はどうなのか、ダイオキシンの発生源は何か、行政は何らかの対応策を打ち出すべきだ等々大きな反響を呼んでおり、市民の間に不安感が広がると同時に、さきの四街道市議会でも大きく取り上げられたところである。
 この調査は六カ6ヶ月を経過した黒松の新芽に蓄積しているものを抽出したデータであり、それと直ちに一般大気中の濃度を比較することは適当ではないが、大気汚染防止法など関係する法令を調べても、このダイオキシンに関する一般大気中の濃度について定めたものは見当たらないが、近々国では何らかの対策を行う予定であるとのことである。
 そこで、一般大気中のダイオキシンについて、国の動向も踏まえ、県ではどのように対処しようとしているのか伺いたい。

沼田知事 環境庁ではダイオキシン類の大気中への排出抑制対策について、去る6月20日に中央環境審議会からの答申を踏まえて、早急に関係政令の改正等を行う予定であると聞いている。
 その主な内容は、
 (1)ダイオキシン類を、大気汚染防止法に基づき人の健康にかかわる被害を防止すべき物質として指定する
 (2)廃棄物焼却施設等について、当該物質を排出・飛散させる施設として指定するとともに、その排出抑制基準を設定する
 (3)施策実施の指針となる大気環境濃度を設定する
などである。
 県としては、これらの状況を踏まえて、今後ともこれら国の動向を見きわめながら、大気、環境調査等必要な対策を検討していきたい。

岡村 ダイオキシンについては、市町村が設置するごみ焼却施設からの排出が取り上げられているが、一般廃棄物処理施設から排出されるものだけではなく、産業廃棄物の焼却によるものも問題にしなければならない。いわゆる野焼き行為によって、高濃度のダイオキシンが排出されているとしたならば問題である。
 そこで、ダイオキシンの発生源の一つと考えられている産業廃棄物のいわゆる野焼き行為に対して、県はどのような指導を行っていくのか伺いたい。

高山環境部長 産業廃棄物の焼却に当たっては、法令により、焼却設備を用いて処理することとなっている。したがって、野焼き行為に対しては適宜立ち入り検査を実施し、中止の指導を行っている。特に指導に従わない悪質な者に対しては、警察と連携をとりながら対処している。昨年度の検挙件数は五件である。今後はさらに警察との連携を深めるほか解体業等関係する業界を通して、適正な処理について積極的に指導をしていきたい。

岡村 市町村のごみ焼却施設については、本年1月にごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインが厚生省で策定され、これに基づき市町村は年1回のダイオキシンの測定と公表が義務づけられたと聞いている。
 今後、市町村による自主的な測定が実施され、その結果、ごみ焼却施設周辺の住民の不安が解消されることを期待するところである。
 そこで、市町村のごみ焼却施設のダイオキシンの測定は年1回義務づけられているが、その時期はいつになるのか。また、県としてその結果をまとめ、公表すべきと考えるかどうか。

高山環境部長 厚生省が定めたダイオキシン発生防止にかかるガイドラインについては、ごみ焼却施設のダイオキシンを年1回測定し、その結果を公表するよう市町村に対し義務づけている。ただ、測定時期についての具体的な定めはない。そこで県は昨年の厚生省の指導による実態調査に準じて、年度内を目途に測定及び県への報告を行うよう指導していきたいと考えている。なお、測定結果については、県全体の状況が把握でき次第、公表することとしたいと考えている。

岡村 最近の一般廃棄物の発生量増加に伴い、市町村のごみ処理経費は年々増加し、平成7年度は約711億円、平成元年度の約436億円に比ベ275億円も増加しており、財政状況が厳しい中で何らかの対応を図る必要があると考える。
 本県の市町村のごみ焼却施設の中には、一日当たりの処理能力が15トンから20トンといった小規模な施設も見受けられ、ごみ処理経費の増加に対応するためには、人口の少ない市町村であっても近隣市町村と連携して集約化を推進する必要があると考える。
 しかし、市町村がごみ処理の効率性の観点から広域化を進めようとしてもそれぞれの個別の事情があり、調整が難しく、市町村同士だけではなかなか進まないのが実情ではないかと思われる。
 そこで、市町村単独での施設整備が困難な場合、広域処理の観点から県が積極的に広域化を指導していくべきと思うかどうか。

高山環境部長 県は厚生省から一般廃棄物、焼却施設におけるダイオキシンの恒久対策として、焼却能力が日量100トン未満の焼却施設については、大規模施設へ集約するよう指導されている。そこで、県は本年度ダイオキシン対策として、有効な溶融などの新技術を活用した広域処理システムの方向について検討をすることとしている。その検討結果を受けて、県内全市町村により構成されている千葉県環境衛生促進協議会の組織を活用して、市町村と十分な協議をしながら広域化計画を策定する等ごみ処理の広域化を積極的に推進していきたい。

岡村 阪神・淡路の大震災のように多量の廃棄物が発生するような事態が起こった場合は、個々の市町村では対応し切れないことは明らかである。また、突発的な事故が発生し、処理施設が故障した場合、清掃事業が停止し、県民生活に大きな影響を及ぼすことになりかねない。
 このように災害や事故等が発生した場合、近隣の市町村が相互に援助し合いながら清掃事業を進めることが必要と考える。そこで、災害時の緊急対応のために近隣市町村で相互援助方式の形がとれるよう、県で指導すべきと思うがどうか。

高山環境部長 市町村の清掃事業については、日ごろから、災害時の緊急事態に対応できるよう必要な措置を講じておく必要があると認識している。そこで、千葉県環境衛生促進協議会において、災害時等における廃棄物処理にかかわる相互援助の細目協定について本年5月に承認され、7月末までに県内全市町村間で締結をされることとなっている。県としては、この細目協定の運用により、災害時等の廃棄物対策が円滑に行われるよう積極的に指導していきたい。



■介護保険制度■

岡村 介護保険制度は平成12年度にスタートする予定であるが、さまざまな課題が残されている。まず、市町村で介護サービス基盤の整備が間に合うのかという問題がある。現在、各市町村では老人保健福祉計画に基づき基盤整備に努めているところであるが、市町村によって基本的なサービスの整備状況に差がある。この地域による格差をそのままにして新しい制度に移行することにならないように、国、県及び市町村は責任を持って介護基盤の整備に努めてほしい。
 また、保険者となる市町村は国民健康保険事業を運営しているが、平成7年度では四街道市を含めて多くの市町村が赤字となり、一般会計からの繰り入れなどを行っており、その運営に苦慮している状況である。市町村では介護保険が第二の国保になるのではないかという不安を抱いている。このため、介護保険制度においては市町村の保険財政安定化のためのさまざまな措置が講じられ、県においても一定の役割を果たすことになると聞いている。そこで次の点について伺いたい。
 地域格差が生じないよう介護基盤の整備に県としてどのように取り組んでいくのか。

荒社会部長 介護保険制度に的確に対応するためには、介護サービス基盤の整備は非常に重要であり、各市町村において策定された老人保健福祉計画に掲げられているサービスの目標量を確保することが必要不可欠である。老人保健福祉計画の進捗状況を見ると、県全体として見ればおおむね順調に推移しているが、地域別、あるいはサービス種類別に見るとおくれぎみの部分もあることから、今後とも平成11年度の目標達成に向けて、
 (1)ホームヘルプサービスなど、在宅サービスの一層の強化
 (2)特別養護老人ホームなど施設の計画的な整備
 (3)看護に携わるマンパワーの確保
などに取り組むとともに、市町村高齢者福祉担当課長会議、あるいは地域老人保健福祉計画推進委員会などの積極的な活用を図りながら、市町村と一体となって老人保健福祉計画の推進に努め、介護墓盤の整備に積極的に取り組んでいきたい。

岡村 県による市町村に対する財政安定化措置制度の仕組みはどのようなものなのか。

荒社会部長 介護保険制度においては、市町村の保険財政の安定的運営を図るために、国、都道府県、市町村が三分の一ずつ出捐して、都道府県に財政安定化基金を設置することとされている。この基金の設置により、保険財政の運営を行う市町村において、保険料の収納率の悪化によって介護保険財政に不足が生じた場合、あるいは保険給付費が当初予算の見込みより多くなるなど財政収支の不均衡が生じた場合には、この財政安定基金から資金の交付または無利子の貸し付けが行われ、市町村において一般会計から赤字補てんのための繰り入れをしなくても済む仕組みになっている。
 県としては、財政安定化基金制度を的確に運用することにより、市町村が安定した財政運営を行うことができるよう、市町村を支援する立場に立って取り組んでいきたい。



■交通安全対策■

岡村 本県における交通事故は後を絶たず、本年は交通事故件数、死傷者数において昨年を上回り、特に交通事故死者数は、現在、全国ワースト1位という憂慮すべき状況が続いている。そこで、悲惨な交通事故を減少させるためには、県民一人ひとりが交通ルールとマナーを守ることが大変重要であることから、それぞれの年齢層に応じた交通安全教育を充実していく必要がある。また、自動車に乗車中の事故での死亡者が増加しているが、このような事故は、シートベルトを着用していれば約40%もの人が助かったのではないかとの調査結果もあり、シートベルトの着用は大変重要である。そこで次の点について伺いたい。
 子供と高齢者の交通安全教育についてどのように取り組んでいるのか。

今泉企画部長 子供と高齢者の交通事故防止を図る上で、交通安全教育は非常に重要であると認識している。
 このため、県では子供の交通安全教育として、
 (1)幼稚園教諭や保母等、幼児交通安全教育の指導者を育成するための研修会
 (2)学校等の交通安全教育のために交通安全教育推進員を派遣したり、映画やビデオの貸し出し等に努めているところである。
 また、高齢者の交通安全教育としては、
 (1)自動車教習所等の協力を得て想定された危険場面を体験し、安全な行動がとれるようにする研修会
 (2)老人クラブの交通安全に関するリーダーを育成するシルバーリーダー研修会
 (3)運転適性診断機を積載したバスを巡回することによる運転適性診断
等を行っている。
 今後とも交通弱者である子供と高齢者の交通安全教育を一層推進していきたい。

岡村 シートベルトの着用を推進するため、どのような対策を講じているのか。

今泉企画部長 シートベルトの着用は、交通事故による死傷者の減少に極めて有効であり、着用率を高めていくことは重要な課題であると認識している。そこで、県では昨年定めた第6次千葉県交通安全計画において、シートベルトの着用の徹底を重点施策として掲げるとともに、本年度の交通安全県民運動基本方針においても重点目標としているところである。
 特に平成7年からは6月をシートベルト着用強化月間としてキャンペーンを行い、広報啓発活動、警察による取り締まりの強化及び着用率の調査等を実施しているところである。
 その結果、本年はキャンペーン開始前と比べて、着用率が3.1ポイント向上して、60.3%の着用率となったところであるが、依然として低い状況である。
 今後とも関係機関、団体との緊密な連携のもとにシートベルト着用の徹底を図り、安全な車社会の実現を目指していきたい。



■公共施設整備■

岡村 近年、住民の価値観、ライフスタイルの多様化などにより、行政に対する要望はますます広範囲にわたり、複雑化、かつ高度化の傾向にある。これらに対応するため、それぞれの市町村において、図書館等の文化施設や体育館、テニスコート等のスポーツ、レクリエーション施設などの整備が積極的になされてきたところであるが、これら施設の整備は市町村における地方債残高の増大を招き、また、その後の施設の利用状況と運営に要する経費を見ると、必ずしも効率的とは言えない施設もあるようである。
 これからの公共施設の整備には、それぞれの地域の特性を生かしながら、効率性をも考慮して行うことが必要であると考える。
 住民の日常生活圏が拡大している今日、それぞれの市町村の文化施設やスポーツ、レクリエーション施設などを周囲の市町村の住民を含めて広域的に利用していくことは十分可能であり、むしろその方が限られた財源の中で住民の要望に応じたよりよい施設が整備できるのではないかと考える。このため、今後、市町村の公共施設の整備に当たっては、市町村間の広域的な連携のもとに行うことが望まれる。
 そこで、県としても市町村が公共施設を整備するに当たって、広域的な整備を促進すべきであると考えるがどうか。

沼田知事 市町村の広域的な連携による施設整備については、従来から病院、上水道、ごみ、し尿処理などの分野で一部事務組合を設置し、実施されているが、今日ではさらに住民の日常生活圏が拡大する中で、まちづくり地域づくりの面で施設の有効利用や財政の効率性などにも配慮しながら広域的な事業の推進が望まれている。
 このような状況のもとにあり、県としてはそれぞれの地域の創意工夫を生かし、広域市町村圏単位で広域的な調整を図りながら実施されるまちづくり特別対策事業を促進しているところである。このことについては国のさまざまな財政支援措置もあるので、これをうまく活用していきたいと考えているが、今後とも市町村等の広域的な連携のもとに個性と魅力のある地域づくり事業が実施されるように努めていきたい。

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