議会レポート

平成10年2月


2月県議会で質問に立ち、以下の事柄について県執行部に質問しました。



大気環境中のダイオキシン類

調査の評価・分析を

■介護保険■

岡村 四街道市で、昨年11月から12月にかけて、県からの委託を受けて、要介護認定のモデル事業が行われた。
 このモデル事業は、調査員の調査、モデル介護認定審査会による審査判定を、本番を想定して行うものであり、この事業を通じ、要介護認定事務の課題を検証しながら、認定の公平、公正さや事務の迅速性を図っていくものである。
 そこで、本年度実施した要介護認定モデル事業の問題点は何か伺いたい。

沼田知事 要介護認定モデル事業は、昨年度鎌ケ谷市で実施されたが、本年度はその実績を踏まえ、調査票、かかりつけ医の意見書などについて改良が加えられた上で、四街道市など県内12市で実施した。
 昨年度に比較して、コンピュータによる一次判定とモデル介護認定審査会の判定結果の一致率が高くなるなど、要介護認定の仕組みが理解されてきている。
 しかしながら、保健・医療・福祉の専門家からなる千葉県高齢者ケアサービス体制整備検討委員会の検証の過程の中で、
 (1)調査員の資質の向上が必要である
 (2)かかりつけ医の意見書について、なお改善の余地がある
 (3)要介護度の区分をより明確にすべきである
などの問題点が指摘され、県として改善を図るべく国に報告した。要介護認定には、公平、公正、迅速さが求められることから、県としては、来年度すべての市町村でこの事業を実施することにより、平成11年10月から開始される要介護認定事務に対応できる体制の整備を支援・指導していきたい。

岡村 特別養護老人ホームにおいて、現在の措置制度が変更されると、ほとんど費用を徴収されていない所得の低い高齢者は、負担が急増するが、激変を緩和する対策として、経過措置があると聞いている。
 そこで、介護保険法施行時点の、特別養護老人ホームヘの入所者についての経過措置とは、どのようなものか伺いたい。

荒社会部長 平成12年4月に介護保険法が施行されるが、特別養護老人ホームの入所者については、その生活の継続性の観点から、介護保険法施行法に経過措置が規定されている。
 その内容は、介護保険法が施行される平成12年4月1日に入所している者については、その後、継続して入所する5年間に限り、
 (1)新たに要介護認定手続を経なくても、認定を受けたものとみなされ、引き続き入所できる
 (2)利用料を一割負担とすると負担増となる者については、負担能力に応じ利用料の減免を行う
となっている。
県としては、この経過措置の重要性にかんがみ、入所者を初め、市町村、施設関係者等への周知に万全を期していきたい。

岡村 介護力強化病院は、介護保険法施行後3年の間に限り介護保険施設とされ、その間に療養型病床群へ転換しなければならないとされている。
 そこで、この転換には、どのような問題があるのか。また、県内に、これに該当する病院はどのくらいあるのか伺いたい。

島崎副知事 症状が安定した慢性期の高齢者が多く入院している、いわゆる介護力強化病院については、看護・介護体制は介護保険施設の代表である療養型病床群と同等であるものの、食堂や浴室がないなど、療養環境は不十分であることから、介護保険制度においては、施行から3年間(平成14年度末まで)に限り、経過的に保険給付の対象とされている。
 したがって、介護力強化病院については、これからの約5年の間に、居室面積の拡大、食堂、浴室、機能訓練室の整備等の療養環境の整備を図り、療養型病床群への円滑な転換が図られる必要がある。
 県内には平成10年1月1日現在、51病院、6004床の介護力強化病院があるが、県としては今後とも、適時、必要な情報を提供するなどにより適切に対応していきたい。

岡村 介護保険の導入によって、これまで措置制度や老人保健制度において市町村が負担してきた公費分の負担割合は軽くなるとされているが、本当にそうなるのかどうか伺いたい。

荒社会部長 介護保険制度においては、介護給付費の21.5%を市町村が一般会計で負担することとしているが、現行制度においては、特別養護老人ホームなど老人福祉の制度における市町村負担は、50%又は25%であり、老人保健施設など老人保健の制度における市町村負担は約8.3%とされている。
 現在の介護費用は、老人福祉分と老人保健分とが全国平均で、ほぼ1対1であることから、老人福祉分の37.5%又は12.5%(市と町村で異なる)の負担減と老人保健分の4.2%分の負担増とを考え合わせると、個別の市町村ごとに多少の事情の違いはあるが、市町村の負担は下がることとなる。

岡村 介護保険によって給付の対象とならなかったサービスはどのようになるのか伺いたい。

荒社会部長 介護保険のサービスメニューは、訪問介護、短期入所生活介護などが法定されているが、これ以外の配食。サービスなどについては、市町村は、条例により特別給付という形で実施することも可能であり、また、一般財源による福祉施策として行うことも可能である。
 県としては、高齢者に対する保健福祉サービス提供の在り方については、介護保険制度によるものだけでなく、要介護状態にならないようにする保健予防事業なども含めて、それぞれの市町村の事情に応じて、総合的に検討することが必要と考えている。
 今後、各市町村において介護保険事業計画の作成、老人保健福祉計画の見直し作業を行うこととなるが、介護保険対象外のサービスについては、新たな老人保健福祉計画づくりの中で多角的に検討されていくものと考えている。介護保険制度の円滑な実施に向け、市町村においては、保険者の立場から、また、地域の保健福祉全般を担う立場から、様々な課題があると考えられるので、県としても、市町村と一体となって準備作業に万全を期していきたい。



■ダイオキシン■

岡村 昨年1月に厚生省は、「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」を示し、また、全国のごみ焼却施設のダイオキシン排出実態調査結果を公表した。
 このような中で、昨年12月には大気汚染防止法と廃棄物処理法の施行令等が改正施行され、ダイオキシン排出基準値が定められ、既存ごみ焼却施設については、5年以内にこの数値を達成することとされた。
 また、県は昨年9月30日付で、県の出先機関や市町村の小型焼却炉の使用を原則として中止するよう協力要請したと聞いている。
 そこで、次の諸点について伺いたい。
 今回、発表があった大気環境中のダイオキシン類の調査結果について、その評価、分析を行うべきと思うがどうか。

沼田知事 大気環境中におけるダイオキシン類の調査結果の評価については、国の通知によると、少なくとも夏、冬の2回測定を行って、年平均値を算定し行うこととされているので、本年夏の調査結果が判明し、年平均値が算定された段階で行うこととしている。
 なお、今回の調査結果では、一立方メートル当たり0.02ないし2.7ピコグラムで、環境庁が全国規模で行った調査結果等とほぼ同程度であるものの、一部の地点で若干高い数値を示したことから、調査日の気象条件や他の大気汚染物質の動向等との関係について解析を行うとともに、今後とも、調査を継続し、その推移を把握していきたい。

岡村 国のガイドラインの緊急対策基準を超えた市町村等の、7カ所のごみ焼却施設の改善状況は、どのようになっているのか。

高山環境部長 緊急対策基準を超えたごみ焼却施設の改善状況は、2市1町1組合が工事を完了し、稼働又は試運転中である。残る3市は、それぞれ焼却炉が二炉あるが、一炉の工事が完了し、試運転中であり、残る一炉の改善工事は、引き続き実施されている。
 県としては、平成10年度も引き続き改善工事を行う3市に対し、早急に完了するよう指導するとともに、工事が完了した施設については、ダイオキシン類の測定結果の報告を求め、改善状況を確認していきたい。

岡村 今回、新たにダイオキシンの排出基準が設定されたごみ焼却施設の改造工事については、5年間の経過措置期間があっても、早期に実施するよう市町村等を指導すべきであると思うがどうか。

高山環境部長 国は、ダイオキシン類の排出抑制を目的に、廃棄物処理法に基づく焼却施設の維持管理基準を改正し、平成14年12月1日から適用することとしているが、県としても早期の対策が必要と考えている。
 そこで、県は、この維持管理基準に対する市町村の対応方針を調査中であり、その結果に基づき、早期に改造工事に着手するよう指導していきたい。

岡村 県及び市町村が所有する小型焼却炉の対応は、どのようになっているのか。

高山環境部長 教育庁を除く県機関における小型焼却炉の設置状況は、昨年8月時点で194機関であり、平成10年2月末現在で、96機関が既に焼却炉を廃止し、84機関が今年度末までに廃止し、やむを得ず動物等の死体等の焼却を継続するものが14機関である。
 また、公共施設に小型焼却炉を設置している63市町村に対し、使用の廃止を要請したが、平成10年2月末現在で25市町村が廃止し、さらに、今年度末までに29市町村が廃止することとしている。残る9町村についても、早期の廃止に向けて指導していきたい。

岡村 平成10年度に計画している水質と土壌のダイオキシン類調査の内容は、どのようなものか。

高山環境部長 平成10年度におけるダイオヰシン類の調査は、水質については東京湾内湾を、土壌については市街地周辺及び人為的な発生源の影響が少ないと判断される地点を、国が定めた「ダイオキシン類に係る土壌調査暫定マニュアル」などに基づき、一般環境調査として行うものである。
 なお、この調査結果については、国及び他の調査実施都府県のデータとの比較等を行い、今後のダイオキシン類対策に活用していきたい。



■道路■

岡村 住宅開発の進展が著しい、御成台研究学園都市から国道51号を横断し、総武本線の四街道駅方面へ連絡する県道浜野四街道長沼線は、国道51号と交差する四街道市吉岡地先の交通渋滞が激しく、その整備が急務である。
 そこで、県道浜野四街道長沼線の四街道市吉岡地先のバイパス事業の進捗状況と今後の見通しはどうなっているのか伺いたい。

池尻土木部長 県道浜野四街道長沼線については、国道51号と交差する吉岡十字路から千葉市側1.6キロメートル区間について、バイパスの整備を進めている。平成9年度末の用地買収の進捗率は約77%であり、吉岡十字路の改良工事を実施している。
 今後とも、地元の関係者の協力を得ながら、残る用地買収の推進を図るとともに、整備に努めていきたい。

岡村 県において整備が進められている、都市計画道路鹿放ケ丘半台線は、四街道市を東西に横断する総延長3020メートルの都市計画道路であるが、大日交差点から東側の区間約700メートルが未完成である。
 この区間は、県道千葉臼井印西線のバイパスとして街路事業で整備を実施しており、交通の隘路となっているJR四街道駅周辺を迂回し、千葉市に至る大変重要な路線となるものである。
 そこで、都市計画道路鹿放ケ丘半台線の整備の進捗状況と完成の時期はいつごろになるのか伺いたい。

齊藤都市部長 都市計画道路鹿放ケ丘半台線については、四街道市大日字緑ケ丘地先から栗山芋細野地先までの695メートルの区間を、街路事業として整備しているが、平成9年度末での用地取得率は約96%となる見込みである。
 平成10年度は、残る用地の取得に努めるとともに、一部工事に着手することとしており、平成11年度には、引き続き工事を進め、年度内には事業の完成が図られるよう努力していきたい。



■教育■

岡村 今日、人々が学習を行う場となる施設には、公的な施設も多様にあり、とりわけ小・中・高等学校など、地域住民に身近な施設としての学校は、地域に対し開かれたものとなることが求められている。
 そこで、次の点について伺いたい。
 県立学校の学校開放の状況と取り組み状況はどのようになっているのか。

中村教育長 県立学校は、地域社会において最も身近で利用しやすい生涯学習の場として、住民の開放の要望が多く、その役割は重要性を増していることから、広く地域に開放している。
 県立学校の開放については、教育機能の開放と施設の開放があり、教育機能の開放としては、高等学校、盲・聾・養護学校、44校において、学校の特色を生かした園芸、陶芸、パソコン等の多彩な分野で開放講座を実施しているほか、施設開放として、文化ホールなど文化施設を7校、運動場や体育館等の体育施設の開放を74校で実施している。
 また、本年度は新たに、地域住民が、バレーボールや楽器演奏など多目的に利用できる、地域交流施設の開放を一校実施した。
 今後とも、開放に関する県民の要望に留意するとともに、学校と協議を図りながら学校開放を進めていきたい。

岡村 多様なスポーツ熱の高まりにこたえるため、体育施設の開放をさらに進めるべきと思うがどうか。

中村教育長 県民の多様なスポーツニーズにこたえた生涯スポーツの充実を図るため、本県では、活動の場の整備・充実や機会の拡充に努めており、この柱の一つとして、地域住民に身近なスポーツ活動の場を提供するため、学校体育施設開放事業を推進している。
 県立学校については、昭和47年度から計画的に開放を進めており、平成9年度までに74校を指定し、運動場、体育館、武道場などを定期的に開放している。
 なお、平成8年度の実施状況は、野球、サッカー、バスケットボール、バドミントン、剣道、空手など27種目、延べ8695団体、約18万人の利用があった。
 平成10年度は、新たに県立高校3校を加えて開放する予定であり、今後も、多様な県民のスポーツニーズにこたえるべく、この事業の充実に努めていきたい。



■はいかい老人SOSネットワークシステム■

岡村 県警では、痴呆症などにかかり、行方がわからなくなった老人を早期に発見するため、「はいかい老人SOSネットワークシステム」を構築していると聞いている。
 そこで、次の点について伺いたい。
 「はいかい老人SOSネットワークシステム」の概要は、どのようなものか。

古賀警察本部長 「はいかい老人SOSネットワークシステム」とは、警察を含む地域の行政機関・団体などが連携をとりながら、外出したものの家に戻れなくなり、さまよっている、いわゆる徘徊老人を速やかに発見し、必要な保護活動を行うほか、このような高齢者に対する福祉サービスなどの必要なアフターケアを行うことを目的に組織されたネットワークである。
 具体的には、市町村など関係行政機関や病院、コンビニなどのほか、タクシー、バス会社、鉄道の駅などの交通機関にも加入してもらっており、警察からの発見依頼を基に、これらの関係者の協力により、早期発見・保護を行ってもらっている。

岡村 同ネットワークシステムの現在の構築状況は、どのようになっているのか。

古賀警察本部長 本県においては、平成8年12月に我孫子市で構築され、本年2月末現在、7警察署管内の6市2町2村からなる6ネットワークが構築されている。
 これまでの運用状況を見ると、最近の例では、防災無線を聞いた白井町の住民からの通報により84歳の老人が、さらに、松戸市内のコンビニの店員からの通報により83歳の老人が、発見・保護されたという事例がある。
 今後、本格的な長寿化社会の到来に伴い、高齢者をめぐる問題が一層深刻化していくことが予測されることから、警察としては引き続き、関係行政機関・団体などと連携を密にしながら、ネットワークの充実に努めていきたい。

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