議会レポート

平成10年9月


9月県議会で質問に立ち、以下の事柄について県執行部に質問しました。



高齢者・障害者が安心して

歩ける歩道の整備を

■ダイオキシン■

岡村 昭和47年に製造が禁止されたPCBは、処理方法が確立されず、現在まで30年近くにわたって産業廃棄物として保管することとされており、PCBもダイオキシン類と同様に有害で、継続的かつ適切な保管及びモニタリングが必要である。
 そこで、次の点について伺いたい。
 WHOにおいてコプラナーPCBを含めてダイオキシン類とするとの考え方であることから、県においても世界の動きに合わせた対応をすべきと思うがどうか。

白戸環境部長 本年5月に、スイスのジュネーブで開催されたWHO欧州事務局専門家会議において、ダイオキシン類にはコプラナーPCBも含めて考えるなどの見解が示された。
 これを受けて、厚生省や環境庁において、WHOの提案に係る対応等についての検討が開始された。
 県としては、これらを踏まえ、本年8月に公表した「千葉県ダイオキシン類対策取組方針」に基づき、コプラナーPCBのモニタリングについて検討していきたい。

岡村 大気・水質等のダイオキシン類のモニタリングについて、その測定地点や測定回数の充実を図るべきと思うがどうか。

白戸環境部長 ダイオキシン類のモニタリングについて、今年度は、大気大地点で2回、水質・底質二地点、土壌二地点で各2回実施することとしている。
 さらに、平成11年度からは、廃棄物情報技術センターにおいてもダイオキシン類の測定や調査研究ができるよう、現在、施設の整備や技術の研修を行っている。
 今後、これらの整備状況等も勘案しながら、県内の実態がより一層把握できるよう、測定地点や測定回数の充実に努めていきたい。

岡村 県と市町村が行っている大気モニタリングについて、市町村と十分な連携を図るべきと思うがどうか。

白戸環境部長 ダイオキシン類の大気環境モニタリングについて、県内の広域的な状況を把握することが有益であり、市町村と一体的に実施することが必要であると認識している。このため、県及び関係市で構成する「ダイオキシン類大気環境調査に係る調整会議」を設置し、この会議で協議した結果、同じ日に測定することや、測定結果の情報交換を行うことについて、原則として合意した。
 今後とも、この会議を通じ、市町村との十分な連携を図っていきたい。

岡村 県内におけるPCBの保管状況はどうか。

白戸環境部長 コンデンサーや変圧器等のPCB使用機器については、廃棄物処理法に基づく特別管理産業廃棄物に指定されており、排出事業者には、同法の技術上の基準に従い、生活環境保全上支障がないように保管することが義務づけられている。
 また、電気事業法に基づく通牒により、国へ保管状況等の届け出が義務づけられているコンデンサーや変圧器については、平成9年3月末現在、県内で約400事業場において約3100台の機器が保管されている。
 今後も、飛散、流出、地下浸透がないことや、腐食の防止措置等を含めた廃棄物処理法に基づく保管基準に従って適正な保管がなされるよう事業者を指導していきたい。

岡村 ダイオキシン類の排出抑制対策をさらに強化することは当然のことであるが、もっとさかのぼって、発生源から絶つ必要がある。
 そこで、次の点について伺いたい。
 県はごみ処理の広域化へ向け、施設を集約化していく際には、積極的に市町村間の調整を図るべきと思うがどうか。

沼田知事 県は、ダイオキシン類の削減のため、広域化に向けたごみ処理施設の集約化を図る市町村間の調整は、大変重要であると認識している。
 そこで、昨年度から広域化計画を策定するに当たり、県内全市町村で構成する「千葉県環境衛生促進協議会」の組織を活用しながら、広域のブロック化について市町村と協議を行っている。
 今後、各ブロックにおいて施設整備を検討することとなるが、県としても、「一般廃棄物処理マスタープラン」を活用し、
 (1)ごみ処理システムの技術的な支援
 (2)市町村間の公平性を確保する手段の提示
等を行い、市町村の自主性を尊重しつつも、各ブロック内の調整を図っていきたい。

岡村 野焼きの中止指導をさらに強化すべきと思うがどうか。

白戸環境部長 野焼きは、煙や悪臭のほか、ダイオキシン類による汚染のおそれもあることから、県は、現地に立ち入りを行い、野焼き行為者に対し、口頭や文書により中止や適正処理の指導を行っている。
 また、県の指導に従わない悪質な者に対しては、警察に協力を求めるなどして対応しているが、昨年は3件、本年は現在まで2件、無許可処理業等の廃棄物処理法違反で警察に検挙された。
 今後は、保健所、市町村、警察等で構成する「産業廃棄物不法投棄防止地区連絡協議会」の場を活用し、地域ごとのきめ細かな監視指導を行い、野焼きの防止に努めていきたい。

岡村 「小規模廃棄物焼却炉等に係るダイオキシン類及びばいじん排出抑制指導要綱」の周知徹底をどのように図るのか。

白戸環境部長 この指導要綱は、小規模廃棄物焼却炉の設置者に対して届け出を義務づけるなど、新たな規制処置を講ずるとともに、一般家庭の焼却炉についても使用の自粛を求めていることから、県民一般に対して広く周知することが重要と認識している。
 周知に当たっては、市町村との連携を図りつつ県民の理解が得られるよう、
 (1)インターネットヘの掲載
 (2)「県民だより」や市町村による広報
 (3)事業者への説明会の開催や焼却炉製造業界への通知
等により、その徹底を図っていきたい。



■廃棄物■

岡村 環境問題は今日、生産、消費、廃棄のプロセスの中で、物を燃やして二酸化炭素を出すこと自体を問われる地球的な問題にまで拡大してきている。このため資源を過度に消費する社会経済システムを見直し、循環型社会を目指すことが必要である。
 そこで、次の点について伺いたい。
 市町村において処理されている一般廃棄物の中で、事業系一般廃棄物はどのくらいあるのか。

白戸環境部長 平成8年度の一般廃棄物の総排出量は208万9千トンであり、そのうち市町村で処理された事業系一般廃棄物は、約3割に当たる55万9千トンである。
 一般廃棄物の総排出量は、ここ数年横ばいであるのに比べ、市町村で処理された事業系一般廃棄物は平成6年度が52万6千トン、平成7年度が54万2千トンと漸増傾向にある。

岡村 県では、事業系一般廃棄物の減量化やリサイクルの推進のため、どのような取り組みを行っているのか。

白戸環境部長 事業系一般廃棄物は自己処理が原則であるが、市町村は生活系一般廃棄物の処理に支障を来さない限りにおいて、有料で処理している。
 県は事業系一般廃棄物の減量化、リサイクルを推進するため、
 (1)市町村が多量排出事業者を指導する場合の指針となる「モデル減量化計画」の策定
 (2)「千葉県ごみ減量化推進県民会議」の構成団体である製造業、流通業、資源再生業等の業界団体を通じた事業者へのごみのリサイクルの呼びかけ
 (3)廃棄物情報技術センターにおける、大規模事業所からの廃棄物の発生抑制、減量化、再資源化手法の調査研究
等を行っている。
 今後とも、事業系一般廃棄物の発生抑制も含め、減量化、再資源化の促進に努めていきたい。



■介護保険制度■

岡村 要介護認定は、調査員の調査結果を、コンピュータに入力して行う一次判定と、その判定結果とかかりつけ医師の意見書をもとに行う介護認定審査会による二次判定により行われる。
 そこで、次の諸点について伺いたい。
 本年度の要介護認定のモデル事業において示された要介護認定基準とはどのようなものか。

荒社会部長 要介護認定は、介護保険に基づくサービスの必要度を客観的に確認しようとするものであり、介護認定審査会での審査判定は、全国一律の客観的な基準である要介護認定基準に照らして行うこととなっている。
 要介護認定においては、コンピュータを活用するが、その際、この透明性、客観性を高めるため、本年度、国は施設入所者4千名を対象に、要介護の程度ごとの一日当たりの介護時間を実地調査してきており、この調査結果をもとに作成した指標である「要介護認定基準時間」を用いていることが明らかにされた。
 本年度のモデル事業においては、この考え方が初めて示されたほか、調査項目が73項目から85項目に増えるなどの変更があり、また、初めて実施する地域もあることから、県としては介護認定審査会委員、調査員、市町村の事務職員に対し、要介護認定基準を含め研修を行ってきた。

岡村 心の通ったホームヘルプサービスを確保するため、ホームヘルパーの資質の向上を図る必要があると思うがどうか。

荒社会部長 痴呆のある高齢者について、コンピュータによる一次判定で要介護度が低く出るという報告は、本県の昨年度のモデル事業実施地域からも多く出され、県としてもその旨を国に報告した。
 痴呆の判定については、全国からの意見を踏まえ、コンピュータの判定理論自体を修正し、実態に応じた判定がなされるよう改善を図った旨の説明が国からなされているほか、痴呆の症状は日によって変化しやすいことに着目し、必要に応じて複数回調査することが指示されるなど、訪問調査方法についても改善が図られている。
 県としては、こうした改善を図ることもモデル事業の目的の一つと考えており、本年度においても、各地域の審査判定結果を検証の上、不都合な点等があれば、国に対して報告していきたい。

岡村 痴呆の要介護度が軽く判定されるという昨年度の要介護認定モデル事業の意見について、本年度はどのように反映されているのか。

荒社会部長 介護認定審査会は保健、医療、福祉分野の学識経験者から構成される合議体で、おおむね5名の委員によって審査判定がなされることとされている。介護認定審査会の一回の開催での処理件数にはおのずから限界があることから、高齢者が多く、要介護認定の申請も多く見込まれる市などについては、一つの審査会のみですべてを処理することは困難である。このため複数の審査会の設置を可能とし、その数については、各市町村ごとに申請件数見込み及び一カ月当たりの開催回数見込みをもとに必要数を算定できるようにする方向で、国において検討が進められている。
 県としては、要介護認定事務を各市町村において円滑に実施できるよう、地域の実情に合わせた審査会の設置数などを指導していきたい。

岡村 市町村における介護認定審査会の設置数の考え方はどうか。

荒社会部長 ホームヘルパーは在宅介護サービスの中核的担い手として重要な役割を果たしており、その資質の向上は、介護保険制度導入後においても、継続的に取り組まなければならない課題であると認識している。
 このため県では、各支庁等においてホームヘルパー養成研修を行うほか、市町村や千葉県ホームヘルパー協議会に対して助成し、ホームヘルパー研修の推進を図ってきた。
 これらの研修においては、介護技術のほか、要介護者あるいは家族の心理状況を理解することも重要な内容とされており、こうした研修を通じて要介護者の身になった、心の通う介護が実現されるものと期待している。県としては、今後とも、あらゆる機会をとらえて、ホームヘルパーの資質の向上に努めていきたい。



■福祉のまちづくり■

岡村 県では、高齢者や障害者等を初め、だれもが住みよい福祉のまちづくりを実現するため、平成8年3月に千葉県福祉のまちづくり条例を制定した。
 そこで、次の諸点について伺いたい。
 県立の公共施設について、高齢者や障害者等が利用しやすいようにするため、どのような整備をしているのか。

沼田知事 県の公共施設は模範になる施設となるべきであり、県としても努力している。
 県立病院や、県の合同庁舎等多くの県民が利用する県の施設については、高齢者や障害者を初め、だれもが利用しやすいようにすることが必要であり、新築又は改築する際には、建物の玄関までにスロープや点字ブロックを設置したり、車いす使用者用トイレを整備するなど、「千葉県福祉のまちづくり条例」の整備の基準に沿った施設づくりを進めている。
 このほか、車いす優先の駐車場や玄関の自動ドアの設置などの改善・改良について、平成8年度から平成12年度までの5カ年間で85施設、453箇所を対象に実施した。今後とも、高齢者や障害者を初め、すべての人々が使いやすい県立施設の整備に努力していきたい。

岡村 県が管理する歩道の整備は、どのような方針で進めているのか。

池尻土木部長 歩道の整備を進めるに当たっては、高齢者や障害者等を含め、すべての人が利用しやすい施設とすることが必要である。
 特に、駅、病院、集会所、福祉施設等、公共的な施設周辺での歩道整備に当たっては、障害物や段差を少なくし、2メートル以上の幅員を確保できるように努めている。
 今後とも、すべての人が安心して快適に利用できる道路環境を整えていきたい。

岡村 歩道の整備は毎年どの程度行われているのか。

池尻土木部長 歩道の整備については、毎年度、用地費を含め約75億円前後の事業費により整備を進めてきており、毎年平均約20キロメートルの供用が図られている。
 なお、平成10年度は、事業費約74億円で整備を進めている。今後とも、地元関係者の協力を得ながら、歩道整備を積極的に推進していきたい。

岡村 だれもが利用しやすい鉄道にするため、一つでも多くの駅にエレベーターやエスカレーターの整備を促進すべきと思うが、県はどのような支援策を講じていくのか。

荒社会部長 鉄道駅は、県民の移動手段として重要な公共交通機関の一つであるが、駅の階段が、高齢者や障害者等にとって、大きな障壁になっており、この改善策としてエレベーターやエスカレーターを設置する鉄道事業者が増えてきている。
 「千葉県福祉のまちづくり条例」では、事業者は、その所有し、又は管理する施設等について、高齢者及び障害者等が安全かつ快適に利用できるように必要な措置を講ずる責務を有することとなっているが、大量輸送を行う交通機関としての公共性と、エレベーター等の整備の緊急性にかんがみ、平成9年度に「鉄道駅エレベーター等整備補助事業」を県の単独事業として創設した。
 現在、国においても、鉄道事業者への補助事業が検討されているが、県としても、地元市町村と調整しながら、エレベーター等の設置が促進されるよう努めていきたい。



■雇用■

岡村 長引く景気の低迷により、我が国の雇用情勢は極めて厳しく、とりわけ障害者については、一たん離職すると、その再就職が容易でないという状況の中で、より効果的な雇用対策及び雇用環境の整備が必要と考える。
 そこで、次の点について伺いたい。
 本県における障害者の雇用はどのような状況にあるのか。

内田商工労働部長 本県における平成9年6月1日現在の状況は、実雇用率1.42%、雇用されている障害者数3833人で、前年より42人増加した。
 常用雇用労働者の規模別で見てみると、100人から299人及び1000人以上の企業で前年水準を上回っている。

岡村 不況の中であるが、障害者の雇用を促進するため、どのような対策を講じているのか。

内田商工労働部長 「障害者の雇用の促進等に関する法律」の一部改正により、本年7月1日から、算定基礎に知的障害者を加えた新たな法定雇用率が設定され、一般民間企業については、1.6%から1.8%に引き上げられた。
 具体的な雇用対策としては、
 (1)未達成企業及び未達成市町村等への知事親書による雇用勧奨
 (2)身体障害者雇用促進合同面接会の開催
 (3)公共職業安定所幹部を中心とした特別求人開拓
 (4)障害者雇用促進セミナーの開催
 (5)障害者を雇用する優良事業所及び優秀勤労障害者の知事による表彰等を内容とした激励大会の開催
等により、雇用の促進に努めている。

岡村 一般企業に雇用されることが難しい比較的程度の重い障害者の福祉的就労の場である授産施設等の整備状況は、どのようになっているのか。

荒社会部長 福祉的就労の場としては、定員・職員配置・施設等の基準が法律等で定められている授産施設と、おおむね授産施設よりも小規模な福祉作業所がある。
 これらの施設では、雇用されることが困難な障害者に就労の場を提供し、自活に必要な訓練を行っており、現在、授産施設は31施設、定員1409名分、福祉作業所は89施設、定員1598名分が整備されている。
 県として今後とも、障害者が作業・訓練を通して企業等に就労し、自活できるようにするため、授産施設等の整備促進に努めていきたい。

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