世の中には、この曲への作曲技法・オーケストレーションに対して批判的な人もいる。しかし、この曲は、作曲者のシューマンは精神的に限界に近い状態で熟考の上で産み出した作品であり、全てに亘って作曲者自身の意図が反映された作品である。従って、我々演奏者は名曲だと信じて取り組まねばならない。
★1楽章 ・テンポは生き生きとLebhaft≒Allegro ・メロディーには起伏(ライン)がある。 ・リズムを崩さないように。 ☆冒頭、内声の刻みをよく聴くこと。 ・冒頭は15,16小節を頂点とするように進めること。 ・76,77小節目は軽く(短め)。 ・127-130,
131-134, 135-138小節は各々4小節フレーズ。 ・275小節の3拍目、VnI,
IIのパートにのみsfが無いが、今回はsfとする。
★2楽章 ・冒頭、少し重く、9小節目からは軽く。 ・詩を読むように演奏する。 ・冒頭のVcの旋律の重みは、本来小節の1拍目だが、リズムは2拍目の付点、音の高さでは3拍目、 というように、複合的になっている(焦点が定まらないように設計されている)。 ・33から48小節目までは、管のゆったりした4分音符+表情のある3連符+弦の表情が最も少ない16分 音符の3種類の異なった旋律で成り立っている。 ・100小節目には飛び込まない。ここで、今までにない謎の旋律が出てくる(5小節間)。 その後、F-dru,
B-dur,
G-durと転調を経て喜びの旋律(確信に満ちた旋律)へ。 ・120小節から終わりまでのdim.はppになっても喜びに満ちたままで終わる。
冒頭の伴奏パートの弾き方(分奏から) ・練習方法としては、楽譜に無くても、まずダイナミクスを大げさにつける (1フレーズに対し、mfで始まり、mpを経てfで終わるなど) ・次に、楽譜どおりのダイナミクスの中で表情をつける。
★3楽章 ・楽譜には明に書かれていないフレージングをしっかりする。 フレーズの終わりは収める方向へ、直後の開始は前向きに演奏する。 旋律や和声を見れば、句読点なのか段落の変わり目なのかが見えるので、弾き方も変える。 ・句読点の箇所の例:6小節目のアウフタクト。11,
13,
16小節目のアウフタクトも同様。 段落変わる例:18小節目のアウフタクト。 ・40小節4拍目と41小節2拍目はやわらかいアクセント。 ・51小節目のアウフタクトから52小節目の3拍目まではClをよく聴くこと。
★4楽章 ・Feierlich
= 厳粛に。戴冠式のような厳粛な音楽。 ・22小節目の念押しのfはより強く。 ・61から62小節目の旋律はVa,
VnII, Cl,
Fg。 ・終わり3小節のfpは鋭く。 ・最後の小節のfpは、速やかにpにする。
フーガの部分の練習方法(分奏から) ・細かい動きのあるパート(今回は低弦ほど多い)を鳴らす。他パートはそれを聞ける音量で弾く。 ・長い音のパートは、上記の動きが聞こえる範囲で音楽的な表情を表現する。
★5楽章 ・個々の音を大事にし、美しく並べることで、全体像が見えてくる。 ・冒頭、Lebhaftでfだが、dolce。全体にfとpの差は、他のロマン派作曲家よりも少ない。 ・表情(はずむ、なめらか、強弱、音の長さなど)にメリハリをつける。 ・冒頭の4分音符は跳ねる。2小節以降の4分音符も冒頭の4分音符と同様。 ・17小節目から3小節間はp. ・26小節の1,2拍目を決める。3拍目休符で十分に息。4拍目からやわらかく。 ・29小節の1拍目からのスタッカートではガラッと表情を変える。 ・30小節目のアクセントは忠実に。74小節目は同型だがスタッカーと無し。 ・97小節目から109小節目までは各パート落ち着く方向へ。 ・134小節目から140小節目にかけて、8分音符はHrの雰囲気と同様のびのびと。 ・253小節目は弓をたくさん使う。255から263小節目までは2小節ずつ重い/軽いを交代で、 272小節目からテンポを戻す。 ・295小節目からHrに合わせて少し重く、299小節からのSchnellerを効果的にする。
(更新:2014/11/1)
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