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サウジアラビアの将来 Vision 2030  

原油価格の高騰で潤沢な資金を保有するサウジアラビア。過去10年間で急速に経済が拡大し、国全体がその恩恵を授かった来た。税金のない国、そして、医療費、学費は無償という手厚い保護、失業手当だけで生活できる環境。国家財政の歳入は、9割近くが石油依存といわれる。この状況が今、一遍に代わろうとしている。オイルシェールの開発により、原油価格が暴落した。イランやロシアはOPEC主導の石油の生産調整に非協力的だ。国の財政は、2〜3年後には保有している資金が底をつくとも言われている。押し寄せる財政危機、贅沢に慣れてしまった国民、労働力を海外からの出稼ぎに頼る産業。

サウジアラビアは、こうした課題をどのように解決して行けばよいのだろうか?

問題は明確ではあるが、その打開策は、必ずしも容易に見出せるものではない。折りしも、現国王はこのような課題を背負ってサウジアラビアの将来を指導してゆこうとしている。国家財政のなかでの石油収入は、数分の一に減少した。これをサウド家がすべて補完できるかと言うと、現実はそれほど甘くはない。それを何とかしなければならないのが現国王に課せられており、これに対処する政策を早急に明示しなくてはならない。

問題があまりにも大きく、小手先の対策で之が解決できるとは思われない。世界的な視野に立って、解決策を見出していかなければならない。サウド家は、建国以来の最大の窮地に陥っているといっても過言ではないだろう。それだけに、これまでの政策の延長では、ことは解決しない。

 こうして、サウド政権は、今年の四月に、これからのサウジアラビアをどのように立て直し、世界の中で生き抜いていくかの基本政策を発表した、。ことの重大性、深刻さは、その政策の中に十分に反映された。発表された政府の提案は、「ビジョン2030」と言うももの。つまり、2030年のサウジアラビアのあるべき姿を明らかにした。今から15年後のものである。

 

 そのビジョンの内容は、

サルマン国王橋の建設

アラムコの民営化・株式公開、株式市場への投資基金の設立

グリーンカード

失業率の低減、

電力、水力の値上げ

軍事費の透明化

イスラム盟主国としてのサウジアラビアの立場の堅持

である。

そして、この政策の担い手を、第二皇太子モハンムド王子とした。今の国王は既に、80代の半ば、そして、第一皇太子モハンムド・ビン・ナイーフ王子も70歳を超えている。15年後の政策を遂行するには、年を取りすぎていることは明白。と成れば、現在、30代半ばと言うムハンムド第二皇太子がその担い手になることは納得できる。しかし、第二皇太子の政治的な手腕は未知数のところが多い。政策は最もとしても、これをどのように進めていくかは、担い手たるムハンムド第二皇太子次第だ。

そのあたりのことは、サルマン現国王も十分承知だ。

サウド家の国家統治の難しさは、国王の継承問題にある。

外部のものがこれを議論するのは、出来ないことだし、国家的な機密事項でもあるので、これに言及することは危険なことでもあるので差し控えたい。

 

ここで、サルマン国王が、ビジョン2030の担い手として任命したムハンムド第二皇太子について説明する。 

ムハンムド第二皇太子は、サルマン現国王の7男で、現在30代半ば(一部には、30歳という報道があるが・・・)だ。サルマン国王の寵愛を受けている。しかし、その若さゆえ、そして、サウジ王家のしきたり、政府内での権力バランスなどの問題があり、前途は多難だ。

現国王は、リヤド州知事のときに、前国王から、国王の取り巻き連中の思惑で避けられていたムハンムド皇子を政治的な修業という名目で自らのそばにおき、サウド王朝の中での生き方を鍛えた。そして、自らが皇太子に任命され、空軍指令官に任命された後も、この息子を自分の監視下で働かせ、そして、軍部の中にも着実な地位を築かせていた。第二皇太子には、現国王の息子で有能な兄が沢山いる。現存している一番上の兄・スルタン殿下は、サウジの観光評議会の議長として、今、サウジの観光業を隆盛し、サウジ人の雇用創出に大変な尽力を払っている。又、4男の兄は、ナイミ元石油・鉱山相のもと、副大臣として石油戦略に辣腕を振るい、今もその実力を認められているアブドルアジス王子である。さらには、政府内でも重要なポストであるメディナ州知事として活躍しているファイサル殿下が居る。しかしながら、現国王は、サウジ政府の機構を改革し、内閣府の中に主として国内問題を取り仕切る第一委員会と、経済・産業問題を統括する第二委員会を設置し、その第一委員会には、第一皇太子ムハンムド・ビン・ナイフ殿下を、そして、第二委員会の委員長に第二皇太子ムハンムド・ビン・サルマン殿下を任命した。これにより、産業・経済に関する多くの権力が第二皇太子に集中することとなった。これは、第二皇太子のサウド家の中での地位をゆるぎないものにするという、現国王の路線でもある。その結果、第二皇太子は、ビジョン2030に向けて、矢継ぎ早にサウジ国内の改革を推進している。急激なサウジ国内の統治の変化、そして、権力のサルマン家、ひいては、スディリーセブン一族への集中が、少なからずサウジに波風を立てていることは確かだ。当面は、36家からなっている、サウジ政府内の陰の権力構造の中心「忠誠委員会」にどのように受け入れられていくかが、今後のサウジの運命を左右している。

 

Vision 2030 とは McKinseyがサウジアラビアの現状を分析し、サウジアラビアの立て直しについての提言をしたレポートの要約。

この提言に沿って、サウジはVision 2030の変革ブログらラムを進めようと動き出しました。

世界の識者たちはどう見ているか Mckenseyの提案に対する海外の経済学者たちのコメントです。端的なコメントが寄せられています。

しかし、変革は必要なのです。国民目線でどのように進めるかの提案、主導は、コメンテーターが提案していく姿勢を示してほしいものです。(鈴木)

Royal, who believes in change, is quietly transforming Kingdom このプログラムの推進者は、ムハンムド王子。当初は第二皇太子でしたが、今は皇太子に任命されました。一体、王子はどんな人物なのでしょうか? 彼のこれまでの人生を紹介しています。

これから皇太子の意気込み、やり口が見えてくるのではないでしょうか?

Economic objectives outlined Vision 2030に関する、具体的な内容に関する皇太子(当時、副皇太子)との一問一答。

2030までは、道のりは険しい。時間はあまりない。さて、どのように進めるのか・・・・それが問題です。

Citizens main focus of new plan Vision 2030について、国民目線で疑問に答える。

変革の主体は、あくまでも国民だ。国民の意識変革をどのように進めるか・・・・それが問題です。

 

動き出した Vision 2030 ムハンムド王子は皇太子になり、いよいよVision 2030が本格的二始動しました。具体的な変革の動きについての現状をまとめました。

女性の解放、税の導入、新都市の計画、サルマン橋の建設など。難問山積、前途多難。変革の主体は、国民だ。変わらなくっちゃ。

 情報を提供してくださった方には、感謝いたします。

サウジの行き先は、目が離せません。

サウジアラビアの未来