3.社員がまず姿勢を正す

 パートアルバイトを戦力化するためには、まず、社員が姿勢を正しパートアルバイトを教育する必要があります。情けない店長は、上司に「うちの 店のパート アルバイトは、接客が悪いので教育して下さい」などといって教育を依頼します。基本に立ち戻るためならそれも良いですが、このような態度は、店長自身が 「教育は自分の仕事ではない」といった責任回避、自分で教育する自信のなさ、あるいは、能力のなさを証明しているようなものです。

 パートアルバイトは、店の社員が全責任を持って教育すべきです。そのような姿勢を持っている社員には、必ずパートアルバイトはついてきます。「厳しくす ると嫌われる」、「すぐに辞めてしまう」などと考えるのは間違いです。

 何も指導しない、注意もしないで気軽な話しかしない社員は、パートアルバイトにとっては、社員としての存在感もなく、パートアルバイトと同レベルに見え るものです。したがって、敬語も使ってくれません。こういう社員は、会社から見れば、時給がばかばかしく高いアルバイトなのです。


4.パート・アルバイトの定着率が悪い原因

 意識を高める教育を怠っていると、パートアルバイトにとっても自分がレベルアップした自覚がなく、目標や向上心を失ってしまいます。もちろん「作業効 率」も低下してきます。パートアルバイトは、単に時給だけで働いているわけではないのです。もちろん、時給は大きな動機づけの一つにはなりますが、必ずし も定着につながるということはありません。時給が高いから辞めるのがもったいないと思っている人がいたとしても、それだけではいずれ近いうちに辞めてしま うでしょう。定着がよい要因の中には、職場の人間関係も重要なファクターです。作業効率を高める一番の要因は意識を高めることです。店長や社員がこの人間 関係や意識に注意深く目を行き届かせ、配慮する努力を惜しまず行動していれば間違いなく定着率と作業効率は上がるでしょう。この人間関係を無視したり、意 識レベルの低い行動をとっている無頓着な店長や一般社員がいる店のパートアルバイトは不幸です。その店は、外から見ても雰囲気が悪く、募集しても応募効果 が上がりません。採用してもすぐに辞めてしまいます。ひいては、慢性的な人手不足に悩まされることになるのです。もちろん、慢性的な人手不足の店舗がすべ て「店舗の人間関係」が悪いと言うことではありません。地域によって、労働力人口の少ないところもあるでしょう。しかし、人間関係の悪い店は、間違いなく 人手不足になっています。自分の店の人間関係をよく振り返ってみる必要があるのではないでしょうか。

 当然、「人間関係に無頓着であったり、意識レベルの低い店長が、よく振り返ったとしても何も気づかないではないか。」というご指摘もあるでしょう。しか し、何回も振り返っているうちに必ず気がつくことがあるはずです。それでも何も気がつかない店長は、自分で自分の無関心さを証明したことになります。悪い ことは言いません。今すぐ店長を辞退しなさい。

 自分の部下を思いやれない店長は、顧客本位の仕事などできるわけがありません。顧客が何を求めているかわからないからです。つまり、売上を上げることは できないということです。

5.給与に不満がある理由

 パートアルバイトの定着問題は、人間関係が大きな要因であることは間違いありませんが、それがすべてではありません。給与の問題もあります。 同じような 仕事であれば、給与の高いところに魅力を感じるのは自然なことです。

 では、「自分の給与は安い」という不満を漏らす人は、どこと比べて、あるいは、だれと比べて「安い」といっているのでしょうか。また、高い給与とはいく らのことをいうのでしょうか。時給が1,000円をいうのでしょうか。2,000円をいうのでしょうか。もし社員である皆さんが「今月から君の給与を 100万円にします」といわれたら、今は「高い給与だ」と思うかもしれません。しかし、その100万円が10年続いたとしたら、10年後でも「自分の給与 は高い」と思い続けているでしょうか。人間の感覚は、次第に麻痺してきます。たぶん、10年もたたないうちに「自分の給与はいつまでたっても上がらない」 と不満を漏らすようになるでしょう。