パート・アルバイト育成制度の基本理念

基本理念は、人材の育成です。
 なぜなら、店舗を経営するのは「人」だからです。社員は社員の責任を、パートアルバイトはパートアルバイトの責任を全うしてもらうために人材の育成をす るのです。


1.なぜパートアルバイトを戦力化するのか

 店舗の人員は、パートアルバイトが圧倒的に高い比率を占めています。そのパートアルバイトが「自発的に動かない」「暇があるとおしゃべりをし てしまう」 「スピーディーに動いてくれない」ということでは、店に活気が出ません。売り上げも低迷してしまいます。売上を上げる第1歩は、まず、パートアルバイトの 戦力アップです。店にいるスタッフ全員(もちろん社員も含めて)が活気ある行動をとり、はつらつとしていれば、店のイメージがグーンとアップします。売上 を向上させ、店に活気を出し、楽しく仕事ができるようになれば、個人の作業レベルも定着率もアップします。パートアルバイトの戦力アップなくしてお店の発 展はあり得ません。パートアルバイトの戦力アップは経営戦略の点からも非常に重要なポイントになります。
 では、具体的にどうするのか。それを明確にしたものがパートアルバイトの育成と戦力化システムです。店舗の目標を明確にして、それを具体的項目に細分化 して、行動目標を作って、計画的に実行するのです。


2.パートアルバイトは社員を見習う

 では、まずどうして、パートアルバイトが「自発的に動かない」「暇があるとおしゃべりをしてしまう」「スピーディーに動いてくれない」のかを 考えてくだ さい。新規に採用したパートアルバイトは、研修担当や社員が徹底した教育をする企業もあるので、当初は、あまりそうした問題は発生することは少ないでしょ うが、時が経つにつれやはり同様の問題が出てきます。その原因をよく調べる必要があります。

 パートアルバイトが「自発的に動かない」「暇があるとおしゃべりをしてしまう」「スピーディーに動いてくれない」原因の多くは社員にあるのではないで しょうか。店長、社員が明確な指示を与えないままパートアルバイトに作業をしてもらっていると、パートアルバイト(P/Aに限ったことではありませんが) の担当の作業が自己流になり、果ては、手の空いた時間は、おしゃべりの時間になってしまいます。これらの行動は、社員のパートアルバイトに対する管理が甘 いか、社員のまねをしているケースがほとんどです(モデリング現象)。つまり、パートアルバイトの行動にもっとも大きな影響を与えているのは、社員自身と いうことです。この大きな存在感のある社員がいい加減な仕事をやっているとパートアルバイトはすぐにまねをします。良いことはなかなかまねをしてくれませ んが、悪いことはすぐにまねをしたくなるのが一般的な傾向なのです。

 一般にパートアルバイトの質が悪いのは、「時給が安いから」とか「労働条件が悪いから」とか「地域性がこうなんだ」などと自分以外に原因を求めがちです が、実は社員自身のレベルに問題があるからこうなってしまうのです。店舗全体の活気は社員のレベルに正比例します。社員は、このことをよく理解する必要が あるのです。


3.社員がまず姿勢を正す

 パートアルバイトを戦力化するためには、まず、社員が姿勢を正しパートアルバイトを教育する必要があります。情けない店長は、上司に「うちの 店のパート アルバイトは、接客が悪いので教育して下さい」などといって教育を依頼します。基本に立ち戻るためならそれも良いですが、このような態度は、店長自身が 「教育は自分の仕事ではない」といった責任回避、自分で教育する自信のなさ、あるいは、能力のなさを証明しているようなものです。

 パートアルバイトは、店の社員が全責任を持って教育すべきです。そのような姿勢を持っている社員には、必ずパートアルバイトはついてきます。「厳しくす ると嫌われる」、「すぐに辞めてしまう」などと考えるのは間違いです。

 何も指導しない、注意もしないで気軽な話しかしない社員は、パートアルバイトにとっては、社員としての存在感もなく、パートアルバイトと同レベルに見え るものです。したがって、敬語も使ってくれません。こういう社員は、会社から見れば、時給がばかばかしく高いアルバイトなのです。