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「愛ということ」~animica
詩ページ(2005/10/12現在):「愛ということ」 |
作者サイト:夜明けの崖 |
何という美しい詩だろう。 この詩を語ること自体が、この詩に余計な音符を加えてしまうかもしれない、という怖れさえ抱いている。 けれども、そのようなことはない、と信じる。私が何を語ろうとも、ひとたび、あるいはふたたびこの詩を読むならば、 私の語ったことなど霧が晴れるように消えてしまうだろうから。 雲と糸―――そのふたつが水というものを仲立ちにして惹かれ合うさまが、糸の側から描かれる。 詩の中で2度現れる次の言葉は、何と印象的にこころを撫でることだろう。 ”糸は思う” もつれ合い、からみ合うのではなく、包み、包まれるという感覚に満たされている。 それを感じさせるのは、風であり、そして、実は大気なのだ、と私は思う。水、大気――― そういった仲立ちによって、雲と糸は惹かれ合う。 「愛ということ」・・・。糸の思い、そして風の集まる場所にいる雲は、作者の心の中で、それが、 ある「時々刻々変化し、けれどなおかつ、ただひとつであるもの」としてイメージされているような気がする。 これを読んでいるうち、私はふとDNAの2重螺旋構造を想った。太古の昔、地球上ではじめて、 DNA同士が出会い、混ざり合った時の、まるで緩やかな舞踏のような、そのときの様を・・・。 詩は、次のように結ばれている。 ”糸は水になって 瞬く間に雲になる” 何という美しい詩だろう。 2005/10/12 |