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葉擦れの地

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「ウジュード/空白の海・岸」~岡崎よしゆき

詩ページ:「ウジュード/空白の海・岸」
作者サイト:束の崩壊(閉鎖)
彼の作品には、海にまつわるものが多いように思う。また、その言葉は、さらさらと砂をなめる波のような感触を持っている。 最初は、それで興味を持った。

 作品に”描かれた情景”は、まるで現実の海を眼前に見るような気がするほど、読者の五感にひたひたとしみこんでくるのだけれど、 その一方で、突然、描写そのものを目的としていない言葉が現れてくる。 実は、それがあるために、最初は奇妙な違和感を覚えていた。

 ところが、読み進めていくうちに、これは現実の海ではない、あくまで言語の上での「海」ではないか、 この作者は、立体空間上の海岸にいるのではない、言語空間上の抽象的な「海」に居るのかもしれない、と思い始めた。

 比喩、という言葉があるが、それは、立体空間上の海を、なんらかの形で描くことを前提にして、 別のなにものかを訴えようとすることであろう。

 しかし、彼の場合は、海にまつわる言語そのものを部品として、 別の世界を”構築”しようとしているのではないだろうか、と思えてくるのである。

 あるいは、絵画の世界のキュビズムのように、これらの作品も、さまざまな実際の対象を、 いったんバラバラに部品化し、再構築することによって編まれたものなのかもしれない。

2005/8/14