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英文テキストブック

                    

将来、サウジが産業立国の道を歩んでいこうとするならば、なんとしてでも基礎科学、とりわけ、化学教育の整備が必要と考えた。聞き及んだところだは、東部地域には、Aramcoが設立した技術系の大学があり、かなり充実した教育をしているとのことであったが、西部地域では、国内第二の都市と言われるジェッタにある大きな大学でも、ほとんど技術系の学部はないとのこと。一つだけ、材料科学を研究をしている先生があるとの話。これが事実かどうかは定かではないが、確かに、町の本やに行っても、なかなか技術系の専門書等見当たらない。

という事で、教育を使用にも適当なテキストがない。これではなかなか化学系の技術屋さんが育たないのではないか、なにかいい教科書はないか、という事になった。また、どの程度の教育をすればよいのかも、皆目見当がつかない。そこで、アメリカで高校の化学と物理を教えている大学時代の友人に、英語で書かれた優しい化学の入門書のようなものはないかと尋ねた。と、彼も同じような悩みを経験していたらしい。そして、返ってきたアドバイスは、「生徒のレベルに合わせて、自分で作るしかないよ。」とのこと。確かに、的を得ている。とは言え、此方は、先生をしているわけではないし、限られた時間しか残っていない。そこで、必至になってインターネットで検索。そして、日本のある私立高校の先生が、自分の生徒のために、化学の教科書を作成しており、非常に明快だし、いろいろと身近な例を引き出して、化学に興味を持たせるような内容のだった。これだと、と思った。しかし、日本文ではどうしようもない。かといって、これを専門家に翻訳してもらうにしても、かなりの費用と時間がかかる。当時、自分にはあと半年の滞在期間となっていたので、日本に帰るまで、どこまでできるかわからないが、自分で翻訳して英文のテキストをつくることにした。

 こうして、毎日必死に昔習った化学の専門用語を思い出し、説明の内容についても化学的に考えて間違いは直したりしながら、英文のテキストを作った。そして、何とか、基礎化学と有機化学、そして、生活の中の化学現象を解説する章まで翻訳できたので、これに、自分で作成した優しい高分子の話なども付け加えて、四分冊のテキストが出来上がった。

 現状のサウジの教育体制からすれば、すぐには役に立つとは思えないが、今、海外に留学して化学を学んでいる若者がサウジに戻ってきて、手にしてくれたり、あるいは、サウジの大学でも、基礎的な知識習得のために利用する等の、その手助けになればと思っている。

是非、活用してほしいので、各分冊の目次を掲げた。

 また、快く翻訳と教科書としての利用を認めていただいた長谷川裕也先生には心より感謝する次第である。

    分  野 著  者 ページ数
1 Basic Chemistry    vol. I by Yuuya Hasegawa    

    Translated by Seiji Suzuki

                         

187
2 Basic Chemistry    vol. II 96
3 Organic Chemistry 194
4 Science of Natural  Phenomena 131
5 Polymer what is it? by Seiji Suzuki 13

 

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