Ju87製作資料③

Ju87の製作参考資料として(個人使用目的)

部隊記号と迷彩

2014/07/22 NEW  


牧 浩一 著〈季刊 丸 写真集 ドイツの軍用機より)

色彩で見せるドイツ軍用機

◆機体の迷彩と部隊記号あれこれ◆

<ひとめでわかる各種の部隊記号>
 
 最初に、ドイツ機を見て気がつくことは、胴体側面に記された、 いろとりどりの山型のマークや、アルファベット、 数字などであるが、これらは、部隊記号と個有機記号、指揮官記号で、 昼間戦闘隊と、他の部隊では、システムがことなっていた。

  単座戦闘隊
 単座戦闘機は、胴体の鉄十字をはさんで、数字や、いろいろな図形が書い てあるが、鉄十字の後方に描かれた図形が、大隊をしめす記号で、なにも書 いてないのが第1飛行隊で、第2飛行隊は水平の線、第3飛行隊は波形(1940年末から垂直の線)、 第4飛行隊が円または十字である。色はいずれ も黒色で、白いふちどりがしてある。  鉄十字のまえに、山型や円のかいて ある機は指揮官機で、指揮官以外の隊員機は、数字を記入してある。この数字は原則 として1から12、または15までの数字を使用し、各飛行隊の第1番目の中隊 が白、第2番目の中隊が赤、第3番目 の中隊が黄、第4番日の中隊が青の各色で記入したが、1は、中隊長機が使用した。  なお、機体の塗装によっては、数字に黒でふちどりした機もあった。

 飛行隊記号
 ━  第2飛行隊  ~~  第3飛行隊  |  第3飛行隊  ●  第4飛行隊  +  第4飛行隊
 隊長記号
 <<l  航空団司令  <l  航空団副司令  <-  作戦将校  <l○  航空団訓練幹部  <ll  補佐官
 <<  飛行隊長  <  飛行副隊長  <○  飛行訓練幹部

  地上攻撃航空団
 胴側の黒い三角形の位置で飛行隊を 示す。この三角形が鉄十字の前にあるのが第1飛行隊で、 後にあるのが第2飛行隊、そして第1飛行隊は鉄十字の後、 第2飛行隊は前にアルファベットを記入しているが、 この文字の色が飛行中隊を示している。中隊色は単座戦闘機隊と同じ。

黒い三角形が鉄十字の後ろ側に有り、文字が赤なので第Ⅱ飛行隊第6中隊です。


  その他の部隊
 前記の二つの航空団以外は鉄十字 の前と後に二字ずつ文字を記入しているが、これが所属、機番などを示して いる。  この記号は左から書き始めてあり、 第1字目と第2字目(左側面では鉄十字の前、右側面では鉄十字の後)が 所属航空団を示す。  第3字は中隊内の機番を示し、色は 中隊色または黒で、黒の場合は、中隊色でふちどりをした。 中隊色は各飛行隊の1番目の中隊が白、2番目の中隊が赤、3番日の中隊が黄である。  第4字目は所属の飛行隊および飛行中隊を示すもので、 Aは航空団直属分隊で色は青、BからFは各飛行隊直属分隊でBが第1飛行隊直属、 以下、Cが第2、Dが第3、Eが第4、Fが第5の順。色は緑。  H~ZはⅠ、J、0、Qの四字をのぞき、H=1、K=2……Z=15といったぐあいに 順次第1中隊から第15中隊までに割り当てられた。色は各飛行隊の第一番自の中隊(1、4、7、10、13中隊)が白、 第2番目の中隊(2、5、8、11、14中隊)が赤、第3番目の中隊(3、6、9、は、15中隊)が黄。  この他、部隊マーク、連隊マーク、個人機マークもある。

6-Ⅱ/St.G.3 第3急降下爆撃航空団第Ⅱ飛行隊第6中隊


<季節によって変わった迷彩ぶり>
  昼間戦闘機隊

 開戦時の昼間戦闘機の標準塗装は、 上面がブラック・グリーンという、暗緑色よりも黒に近い色で黒緑色ともいう. 下面は空色であったが、ポーランド戦終了後は、上面の塗装が、 黒緑色と暗緑色の折線もようの迷彩に変更された.この暗緑色というのは、 オリーブがかったみどりである。  対フランス戦、バトル・オプ・ブリテンなどに参加した戦闘機は、 みなこの塗装で、1940年11月まで使われたが、同年末から、インク・スポット、 またはモットルとよばれる迷彩が採用され、終戦まで標準塗装となった。  これは、胴体側面をライト・グレー に塗り、その上にダーク・グレーの斑点を塗ったもので、下面の空色は胴体側面で、 ライト・グレーにとけこんでいるので、この二つの部分の塊界ははっきりしない。  なお、このグレーは、やや黄色みがかったグレーである.  主翼上面は、従来どおり黒緑色と暗緑色の折線迷彩である.  胴体上面は、最初は主翼上面とおなじ折線迷彩であったが、 後期にはインク・スポットのものも出てきた.  このほか、北アフリカや地中海で使用した戦闘機は、サンディ・ブラウン という黄色みがかった茶色のうえにし暗緑色のまだら迷彩をしていた。  アフりカの星といわれた、マルセーユ大尉機の塗装もこれである。 なお後期にはダーク・グレーとグレーの折線分割も使われている。

  長距離戦闘機
1941年春までは、上面がブラック・グリーン、下面が空色で、 これ以後は、昼間戦闘機とおなじようなインク・スポット式迷彩となったが、 第5戦闘連隊のMe110には、ライト・グレーとダーク・グレーの折線ぬりわけ 迷彩をしたものもあった。

  夜間戦闘機
 夜戦闘機が編成された1940年から1941年なかごろまでは、 全面が黒一色であったが、1941年なかごろからは、全面をライト・グレーまたは ベール・ブルーにぬり、上面には、この上にダーク・グレーまたは ダーク・ブルー・グレーの斑点を描いていた.  なお、夜戦の胴体の鉄十字は、ふつうの白と黒でなく、グレーでかいたものが多かった。

  爆撃隊
 開戦当時のドイツ爆撃機の標準塗装は、上面が黒緑色と暗緑色の折線で 塗りわけ、下面が空色であるが、1943年から1944年ごろ、夜間攻撃に使用された爆撃機は、 下面を黒に塗り、上面がライト・グレーの地に、黒に近いダーク・グレーの インク・スポット迷彩をしたものであった.  また、ソ連戦線での冬期には、白色塗装が採用されており、海上で行動し たものは、波模様の迷彩をしたものもある。

  急降下爆撃隊
 対ポーランド戦と対フランス戦当時のJu87は、上面が黒緑色と暗緑色 の折線を塗りわけてあったが、対英作戦のさいは、黒緑色一色にあらためられた.  そして、バルカン作戦の始まった頃からは、 インク・スポット迷彩が使用されるようになった。北アフリカ で行動したものは、ライト・ブラウンであるが、この方面のHs129の中には、 ライト・ブラウンのうえに、白のメロメロを入れたものもある。

  偵察隊
 だいたい、爆撃隊と同じようであるが、1943年末から、長距離偵察隊 のJu88とJu188は、ダーク・グレーの地に、ライト・グレーのメロメロ迷彩をほどこしていた.  おなじ長距離偵察機でも、地中海で 使用されたものは、サンディ・ブラウンと、データ・ブラウンの塗りわけ迷彩で、 全面サンド塗装であった。  またロシア戦線では、冬期は白色迷彩を使用している. この白色迷彩は近距離偵察隊でも採用しているが、近距離偵察隊の標準色は、 上面が黒緑色、下面が空色である.



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