宵明けの上空に -12- 遠くの友人

  



空に花飾り、お祝いのそよ風が君を包む。
日々は風の立たぬものだった。

苦節を共にしたものものは動きたくないと背伸びをしている。
美味しい空気とはあるのだ。


海底神殿の脱出の証明が終わり、教会の潔白が明らかとなった。
王国との契約のないライアンは錬金術師ではない、
だからこそライアンには王国の問題ではないと分かっていたが、
教会の奇跡が教会に依るものなのか分からずにいた。

しかし、海底神殿の脱出であるスノーさんとの役割交換で、
スノーさんは偽ラーク先生と話すことになった。

一方、スノーさんといえば錬金術師であり、契約により何かしら奪われるのは、
当然のことだと思っていた。
しかし、これもライアンがスノーさんと入れ替わっていた時に話していた相手が何を言っていたのか。
ライアンにはまともな人の発生、つまり何らかの情報戦における欠陥が生じたのである。

教会の思惑とは科学の足並みをそろえることにあったが、アカデメイの思惑とは、全体を信じることにあった。
教会の奇跡とはなんだったのか、忌み言葉で出来ていると考えられる。

王国でも教会でもアカデメイでも無かった、では海底神殿でのやりとりはなんだったのか。
これこそ教会の奇跡と呼ばれる忌み言葉だったのだ。

ハッチがチョコソフトが発生したと言っている。
多分、民衆はお金を通したのだと思っているから、お金が壊れたのだろう。
当然、壊れるお金もあるわけだ、直せばいい。

海底神殿からの脱出とは忌み言葉からの脱出である。
田舎があるなら、田舎に帰りたい気分だった。

教会のある世界で教会の奇跡と呼ばれる情報セキュリティテロが起きた。
教会のせいではない。
ライアンなら言える。
ジラーとハントには悪いが遠くの友人でもいたらなあ、と思ったのだった。