宵明けの天空に -2- 友達への遠慮

  




飲み水が泡立っている気がする。
誰かが振ったのだろうか。
美味しくなくなっているのが分かる。
僕は喉が渇いていた。


先日、郵便を出した。
オルフ氏だ。

元気そうで何より、風邪などひかぬよう。
そんな話だった。


その日の夕刻だった。


ハントがポトフの用意をしている、みんなの分だ。
「ライアンさんはポトフ嫌いでしたよね。」
「メニューを変えてくれるのかな、ハント君。」

「ライアンさんポトフの日ってポトフの日なんですよう。残念ですねえ。」
「ん。」
「ん、じゃないんだから全く。手伝いなさいよ、機関士さん。ポトフったらポトフ。」

ハントが喋りだしたのである。

「手伝うのか、嫌だなあ。」
「嫌ですか、ならしょうがないですね。」

ハントがまた喋らなくなったのだった。


「ライアンさん、ポトフでも良いんですか。」
「いいですよ。」

僕は調子に乗ってみた。

「ライアン、ポトフを食べる気になったのは良いことだが、ニンジンくらい切ってくれよ。」

ジラーは変わりなかった。
これは、ポテンシャルエネルギーか。不可解だった。

その日の晩、ジラーが来てくれたのだった。
「ライアン、寝てていいのは何でだと思う。」
「それ、聞きたかったんだけど、どうしてなんだ。」
「分からないなら話す価値なんかねえよ。俺がそう思うからさ。もっといろんな所に連れて行ってくれよ。」
「じゃあ、次は飲み水の秘密でも探るか。」

「そうそう、そういうこと。もっと昔は機械の作り方が分からなくなって滅びたんだ。とか、言ってくれよ。」
「一番変わっちまったのはライアンじゃねえかな。」

「すまないな。」
「いいえ、許しません。ほい、俺のジュース分けてやるよ。」

ジラーからジュースを分けてもらった。
「美味い、何だこれ。」
「それは飲んじゃってくれ、じゃないと味が変わる。」


「何だか自信なくなってきたな。」
「頼むぜ、ライアン。」


酔いつぶれそうな心の日、
彼らは正気だったのである。
僕はそんなつもりでフィッシュ・ジェットを作ったつもりはないのだけれど。
一番は僕だとしたらやる気を出さなくてはと思う反面、力が出ないのだった。