宵明けの大空に -14- 天地弩変の普通

  



「ライアンって頭良いのか、悪いのか分からないよな。」

「そうだよな、まず寡黙だよな。」

「そうだよね、あまり喋らないよね。」



はあ、目が覚めた。
夢だったのだ。



「ジラー君はよくできるね。」

「君はリーダーシップを取ろうとは思わないのかな。」

「ジラーは漫画なんか読まないでしょ。」


わわわ、目が覚めた。
夢じゃねえか。



「ハントは何でできるんだ。」

「そうじゃなくて、そうなるのはくっそ。」

「お前いつかやっつけるからな。」


うひゃ、目が覚めました。
夢でしたか。



薄曇りの続く、晴れと呼ばれる日。
何で3人は3人なのか分かった日。
それは小さな喧嘩なのでした。


「ライアンさん、調子悪いですよう。」

「どうしたんだハント、僕も調子が悪いんだが。」

「俺も調子が悪い、何だ悪い夢でも見たのか。」

「それなんですよう。」

「それ。」

「何だよ、俺だってそれだよ。」


「何ですか、ライアンさんは分からないでも言われたんですか。」

「ハントこそ、何でできるなんて言われたんじゃないか。」

「何だそれ、いつものお前らにとっては褒め言葉だろうが。」


「ジラーさんが褒められているのはよく見ますよ。」

「いや、だから調子が悪い。」

「それは調子に乗っている話だな。」


「いや、できるのにできないふりしたりするライアンに言われたくねえよ。」

「それこそ調子ですよ。」

「ハントは出来ないところをできるにする、とんでもない奴なんだぞ。」

「だから、それでとっちめられそうではないですか。」

「なら、とっちめられような。調子か。」


「調子悪いふりしてんじゃないってんですよ。」

「言い出したのはハントだろ。」

「おいおい、ライアンによるハントの申告を無視した矛盾制裁か。」


晴れてる。
洗濯物だって乾く。
けど、辛い。


その時でした。

「君たちを助けに来たんだが、助かりそうだね。」

「「ラーク先生。」」

「ラークさん、どうしてこちらにいらっしゃるのです。」

「ライアン君のガレージを見つけてね、聞いていられなくなったのだが良いかな。」

「「「はい。」」」

「君たちは惜しい。」

「何がですか。」

「実に惜しい。」

「もったいないって意味ですか。」

「違う、君たちはもう既にやられてしまったんだ。」

「駄目ですよ。」

「そうか、分かっていなかったか。これは他人による意地悪があると言っているんだ。」

「意地悪だったら根っこがあるはずです。」

「犯人の話じゃない。君たちのできない話は聞きたくないんだ。」

「自信は自信です。」

「君たちのできるをできないと一緒にしてやっつける話だよ。気付こう。」


「そうすると、僕らのできるはできないという話になります。」

「じゃあ、帰るよ。」


「先生、ビスケットは。」

「ティータイムの時にしなさい、あと私はショートブレッドの方が好みだよ。」


「ショートブレッドですか。」






カラスが鳴いて、カー。
ウサギが鳴いて、グー。
ネズミが鳴いて、ジー。


本当に意地悪って嫌ですね。