宵明けの大空に -11- ライアンが上手い

  






「ライアンさん、何かないんですか。」

「干物みたいな言葉いつ使う気になったんだ、ハント。」

「それはライアンさんが何でもくれるからですよ。」

「たまには受け取りなさいってことか。」

「そんなんじゃない、ライアンでも良いってことだろ。」

「お前らまとめて、450トラスでどうだ。」

「破滅の道です、23兆トラスはしますね。」

「俺は13兆トラスなのかね、ならライアンセットAは35兆トラスだな。1兆トラスは割引だ。」

「いつからそんなに高値になったんだ、3人でご飯食べて1500トラスだろ。」

「そんなの要らないのですよ。」

「要らないな。」

「何だってんだ。」

「ライアンさんはまあだ、余裕あるんですね。」

「本当、本当。ハントが本当。」


僕の頭の中ではハントとジラーが喧嘩を売ってきているようにしか思えなかった。
何だこいつらは、不良になったのか。
全く、困ったもんだ、せびられているのかと思えば、面白いも要らない。
ベンチマークテストかこれは、友達の態度とは思えなかった。


ガラガラ、ドカン

「こんにちは、ライアンさんはいますか。ハッチと申します。」
「何ですか。」
「ハッチさんって誰だ、ライアン。」


「知らないな。初めましてハッチさん、ライアンは私です。」
「ああ、そうですか。実はですね、表に出ていたランプが国の基準と違うので発注いかがです。」

「え、ランプ、どれどれ。」
「何言ってるんですか、もう。」
「いや、要らないだろ。」

「こちらでございます。」

そう言って、うやうやしくハッチさんは丁寧にランプを示してくださった。
分かりやすく、絵を持って、脇に法律辞書を抱えている。

「国の基準だと、もうちょっと大きくってことですかね。」
「そうです、そうです。」

「ライアンさん要らない。」
「そこは要らないだろ、ライアン。」

二人がこそこそ話している。



「このビンをどかして、ガラスケースに入れたら良いのですかね。」
「ああ、それならば良いのです。」


「ライアンさん、それじゃ相手の商売敵ですよ。」
「それだと、みんな真似してご飯が食えないだろ。」

何だか、二人のこそこそがハッチさんに聞こえたみたいだった。

「えー、私の名前はハッチ・アゥストラダ・ワン。国の法律において商いの阻害とは、をライアンさんに論じます。」
「ここに、ライアン。あなたは私の行う仕事においてその邪魔をしています。」
「ランプの正しきを提供できるものに対してあなたは感謝できますか。」
「そのランプが正しくないのであるならば、あなたは国の法律において裁かれるでありましょう。」
「その様でないとき、あなたはランプを新しく買うべきです。私の商いとは正しいランプの提供にあります。」


「な、何を言うのだ。あのこんこんちき。憎いですね。」
「ライアン、要らないんだそれは。」


「んー、ランプはいくらです。」


「え、買うのですか。」
「高くつくだろそれ。」


「20万トラスです。」
「びぇー、高っけえでやんの。」


「嫌です、嫌です。涙です。」
「何やってんだよライアン。」


「要らん。」
「そうですか、他には。」
「要らん。」
「それでは。」


「何でそうなったんだ。何で、スゴい。」
「良かった、びっくりした。」




僕は僕で、かなりの心労と焦りを抱えたのだったが、
父さん母さんの教えが効いているなと思ったのだった。
しかし、仲間に不安があるように、自分の知己を疑うきっかけになったのだった。
正直、冷や汗ものである。