レム・レム -1- VS ドクター・キミドリ

  







少年は通りを歩いていた。

「キミドリさん退院ですね。」

-キミドリおじさん退院なの、怪我ですか-

-少年か、困っただけだ。-


中央町病院からキミドリ先生が退院した。
キミドリは駅の方へと歩いていく。

-ついていって見るか-

-来なくていいんだ。-


早歩きでキミドリががらんどうレッドステーションの人ごみに紛れようとする。

-どこへ行くんだキミドリおじさん。-

-言いたかないね。-

-ワタシヲツカマエテミタマエ-

駅の看板から声がする。
地下鉄に乗るのかなと思っていたら、プラットホームの奥の方をずっと歩いていく。

-そこ歩くのダメじゃん-

その時キミドリがダッシュした。

-あ、逃げた。-

少年が猛追跡、駅のプラットホームはとある扉に続いていた。


-少年、入館証無しには入れない、そのカードを首にかけなさい。-

-キミドリおじさん、科学者だったの。-

そこはクニタチミュージアムの地下倉庫だった、

-何してるの、仕事ですか。-

-違う、私は戦いに来たんだ。-

-何、テロ。-

-何だって勝てる、お気に入りを選べ。-

そこには古い壺とか銅像で一杯だったのだが、少年は傘立てから傘を選んだ。

-こういうのが強そうじゃない。-

パキ

-おじさんは怒っているんだ、傘は地面に絵を描く、だが殴るためじゃない。ドクター・キミドリと呼べ。-

-じゃ、これ-

古墳時代の青銅剣を指さした。

そういうのはSwordと言う。焦土になって残ったものだ。

-本当かよ。-

ドクター・キミドリは実に胡散臭い。

-どういうのにするの-

-これだ。本当は選びたくないんだが。-

そうしてドクター・キミドリは人体模型を持ってきた。

-何するの。-

-これに喋らせる。そうすればひとまず回避できる。-

-それ防御じゃん、キチガイ言われたくないんでしょ。-

キミドリが無視した。

-そんな君には光楽器なんかお似合いだ、まずは私と戦ってみると言い。-

ドクター・キミドリが何だか支度をしている。

-光楽器って何。-

-違法な電波の出る楽器だ、君の心が相手の心を決める-

-何で音じゃダメなの。-

-音は壁を通らない、まあ使ってみろ。嫌になる。-


ドクター・キミドリが光ギターを光マイクをセットしてくれた。
弾いたり歌ったりするとまぶしく光る。

「宇宙の美しさと、世界のかなしみとすべての裏切りを受け入れること♪」

-な、聞こえないだろ。-

-あいつの声が、消えた。-

-その分なら3日間は持つ、純情少年私と組まないか。-

「僕らの勇気のほとんどが誰かの理解を得られなかったっとしても、すべては君のうちにあるよ、壊れているね愛し地球よ♪」

-何だこれ、ずっきゅんきた。駄目だおじさん、こんな装置使っちゃいけないよ。-

-勝つんだ。あのシルクハット・ムラサキをぶっ飛ばす。日本がアポンじゃ困るんだ。-

「何言ってるんだちゃんとダイナミックマイクロホンで戦え。」

-ぐ。痛いなそれ、ムカつくぞ。-

「屋上へ向かうついてこい、チビ。」

-ムカだ。-



少年はトランジスタメガホーン型の光楽器を持って、

ドクター・キミドリを追いかけたのだった。