レム・レム -1- VS シルクハット・ムラサキ

  








西暦 20XX年 人々は通勤と通学に人生の大半を注ぎ込んだ。
日本人はくたくただったのにレム・レム事件が発生する。

令和時代となった世の中に戦後最大の屈辱が訪れた。
誰も気付かないように誰も気付けないように日本の敗北が訪れようとしていたのだった。

令和 3年、小学6年生、愛の最終決戦が全てを変える。

時に少年、何にイラだっているのかな。



-ワタシヲツカマエテミタマエ-

-うざい。-



少年語りかけているのはテレビ。
彼にはテレビの誰もが紫のシルクハットをかぶり、「ワタシヲツカマエテミタマエ。」
と言っているように聞こえるのだった。



「ティース!こんばんちゃん。」

ほら、同級生が話しかけてきたぞう、

-ニュース怖いね。-

-そのTシャツうざい。-

少年にはワタシヲツカマエテミタマエとTシャツから声がするのだ。
じゃあ、食卓はどうかな、

食卓にはしょうゆと化学調味料が並んでいる。
母親がテレビを指さしている。

-あなたが正体を現しなさいよ。

-うざすぎる-

少年はSHOW YOU!じゃねえと今にでも言いたそうだ。


コンビニエンスストアでも宣伝が聞こえる。

-ワタシヲツカマエテミタマエ-

-こんなの無理だ-

少年の眉毛は吊り上がっている。
眠れないワールドは既に完成してしまったのだ。


「この世は駄目だ、こんなの消耗戦である!」

-何だあのキミドリ色のおじさん。-


-何だあのチビども、学校はどうしたんだ。-


-おじさんは分かってるみたいでいいよね。-



おじさんは何にも分かってないのです、人生はいろいろです。
学校がなくなったら、学歴なんかないじゃん。

とある書類が詐称であると考えられることを理由に、大企業から銀行、警察から国家公務員、全員が言いました。
「私たちはみんなだ、だから不正はない。」

これはつまりこういうことなのです。

書類は正しい人の書類となり、戸籍は正しい人の戸籍になります。そして、正しく働いたお金(不良債権)は正しく働いた人のお金(みんなのご飯)となり、正しい日本は一躍めでたしなのであります。


少年にはそれがきこえてしまったのです。
「無職が仕事をしているだと、嘘つきだ。」

さすがに少年は、またテレビから何か聞こえます。


-フリーランスじゃない無職は仕事に就くべきだ。-
「じゃあ無職は仕事しない人のことかよ。」

まだ少年は怒っていたのです。


「無職なんていていいわけない、捕まえなきゃな。」
-ワタシヲツカマエテミタマエ-

「フリーランスじゃない仕事ってなんだよ。」
-ワタシヲツカマエテミタマエ-

「私たちはみんなのことですから不正はありません。」
-ワタシヲツカマエテミタマエ-

「日本を捕まえろってか、何だこの声共は。」

「僕たちは僕たちです、必ず犯人を捕まえてみせます!あんな奴信じません、僕たちで解決します!」

このとき少年の眉毛は完璧に縦だった、学校の先生はチンプンカンプンだったのに。

「犯人を見つけないと犯人がいたとは言えないよね。」

「1+1=2なら正解でしょ、1+1=3は不正でしょ、そのときの3+1=?とか3+2=?なんて分からなくない。」


おおっと少年がはまってしまった。

-シルクハット・ムラサキなんているの?-


キミドリ色のおじさんは何となく思ってました。

-犯人はいるに決まってるだろ、体が痛いんだから。-

-いるの?-

-何、聞こえるの?誰。-

-目の前。-


少年とおじさんの目が合いました。


-何、君。-

-少年でいいよ。-

-少年、面白い奴だ、聞け、矛盾がある。-

-分かった。-


少年の戦いが始まったのだった。