宵明けの碧空に -8- presense

  








「それでね、デジタル・アナログ装置は-12 dB精度があるって話を出したのだけれど。」
「分かるかな、その特定の時間にアクセスをしたつもりでも、-12 dBのずれ幅が発生すると考えられる。」
「つまり、滅茶苦茶なんだ。」

「でもね、時を考えるにあたって重要なことがある、現在地点だ。」
「どうも世の中アナログというものは、いっくらでも動き回って桁が尽きない、見た瞬間固定値になってはそれはデジタル数字になる。」
「それはね、アナログというのは輪っかなんじゃないかなってやっぱり喩えることができるのさ。」
「なんで喩えかって言えば、どこ行ったっていいからさ。」

「つまりね、現在ってものは、未来と過去の間にあるのかもね。でもね、一つじゃないのさ。」
「どこ行ったっていい場所は、全部現在なんだよ。もう、分かるよね。」

「呪文みたいなもんだけど、覚えておいて。この世界に存在している自分と自分の想像する、自分ってこんなもんだな。が、だいたい一致していればいいのさ。」
「じゃあ、いいね。Presenseでは何ができる。ハントちゃん。」

「ど、何処へでも行ける。」

「おおおおおおおおおおっ、その通りだよ。何処へでも行けるんだ、但し、正確には。自分である限りね。」