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宵明けの青空に2 -4- チーム オリエント
空に音の逃げてゆく感じがする。
確かこの間はミートソースの匂いがしたのだった。
帰り道か、違う。上か。
僕は上方を見たのだった。
「チーム オリエントの登場だ。」
空に広がるサインボードに眩みそうになる。
そのときにはもう消えていた。
「何ですか、あれ。」
「3人組かよ。」
嫌な予感がした。
「タート、キュレーを探しに行こう。ルボータン王国の皇帝に連絡だ。」
「何でですか。」
「音を当てられると困るのは、敵だったんだよ。」
「そりゃ、上手い方が良いよな。」
「下手だと困るのは僕らだったんだよ。」
「相対の逆発想でしたっけ。」
「神がいないと知ってるのも敵だったよな。」
「さっき3人組を見ただろう、僕らの偽物だきっと。」
「僕らがいないことを知っている、だから出てきたんだ。」
「そりゃ俺たちはテレビには出てないけど、タートとキュレーは本物だろう。」
「教会の奇跡では人々は神様を名乗る敵に閉じ込められた。」
「じゃあ、偽物のタートとキュレーが人々を閉じ込めてるとかか。」
「タートとキュレーがテレビにいないことを知っている敵が、コンサートを行っているのさ。」
「何それ。」
「どういうことですか。」
「音を外した奴は処刑だったよな、神様を信じない奴ってのは上手い奴だってことだろうよ。」
「探すべきはタートとキュレーの本物ってことか。」
「わくわくしてきましたね、緊張しますよ。」
「でもそっちって、本当に本物なのか。本物はもういるだろう。」
「ルボータン王国の皇帝が言ってただろうよ、誰が死んだんだってさ。」
「教会の奇跡ならぬ、コンサートの奇跡は既にあるってのかよ。」
「そうだ。」
葉っぱを散らすように風が吹く、そこをのける僕が珍しいか。
この寒い風に意味はないか、僕はそれを気がかりにしていた。
誰かに記憶を与えられてはいないか、
淡い期待を込めて、僕らはフィッシュ・ジェットへ急いだ。