宵明けの上空に -2- 何で寝てて良いの

  





暑い日、冷房を作った。
2人が「無理をすることはない。」から、やる気を取り戻すことを願って。

何が起きるだろう、僕はわくわくしていた。
教会の奇跡が問題であることを分かっているのに関わらずだ。


「どう、涼しいよね。」

「ん、言うことないぜ。」
「悪くないですね。」


いつも通りだった。


「何か、新しく作らないか。」

「いや、要らないだろう。」
「そうですよ、十分ですよ。」


いつもよりやる気がない。
結局、犯人を捜しているのはジラーではなく僕になってしまったのだった。
ご機嫌取りをしてみたつもりなのだが、何か違う。
もうちょっと、突っついてみた。


「ハント、すべり台なんてどうだ。」
「すべり台ですか、ライアンさんには似合わないですね。無理しなくて良いでしょう。」

「ライアン、何もしたくない訳じゃないんだぜ。」


相手を動かそうとするのは執着だよな、そう思っていた矢先の驚きである。
「何もしたくないんじゃないの。」そう思っていたのだ。
やっぱり、動かそうとするのが悪いのだ。
でも、何でそんなに「無理しなくていい。」ばかり言うのか分からなかった。


「ライアンは休まなくていいのか。」

「そう、ですよ。」


あんまりに動かそうとするが悪い気がしたので、自分のためじゃなきゃなと思っていた。
生きる喜びになぞらえて物を考えていたところに、休んだらどうだ、と言われたのだった。

「なら、休むか。」

「そうそう、休もうぜ。」
「そうですね、休みましょう。」


うまく休めないけど、休むのか。何か嫌な予感。

「ライアンどうしたんだ。」
「どうしたんですかライアンさん、休むんですよう。」

「俺、休まなくていいか。」


「え、休まなくていいならいいけど、大丈夫か。」
「何言ってるのです、休むのですよう。」



分からないままに物を語るのは性に合わなかった。
けれど、少しも分からないなんておかしいのだが。
分かるようになったんだから、休むことにしたのだった。