宵明けの碧空に -13-みんなみんな

  







ふむ、危機的状況だ。
このまま放っておいたら、事故じゃ済まないな。

アカデメイで一番の優等生も今回は手も足も出ない、悔しい。
しかしな、諦めつかないんだな俺も。

ライアンが魚を再現した機関士の根性があるように、俺には俺で操縦士の根性というものがあるのだよ。

見た感じ、相手に飲まれているというのが、実感だ。
分かってそうなふりだけではいけない。
みんなが分かっているから、僕らは大丈夫だという考えそのものが全くもって甘い。


そう思ったとき、俺様は気付いた。
気付いた人など誰もいないのだろう。

「ぐスノーさん、分からん。」
「げジラーちゃん、どうしたのよ。」

「ぐ気付いた人など誰もいないのではないですか。」
「げだから、調べているんでしょ。」

煽るだけの結果になってしまった、どうするかな。

「ぐここは何処ですか。」
「げ今更それなわけ、って、そうね。ここは何処よ。ちょっと、ライアンちゃん出てきなさいよ。」
「ぐそうですね、海の底にある神殿ってところですかね。」
「げんん、それは本当かい。」

よく考えなければ、本当にラークさんというよりこの場から殺気を感じるんだ。
そのとき、だった。

「ぐハントです。ジラーさん、もしかしたら、もしかするかもしれませんよ。」
「げ何じゃい、ライアン。ハズレかい。」

ヒッポが早口になってしゃべり始めた。
「ぐ僕、だんだん本気になってきたよ、何かおかしいよね。」
「ぐねえ、ライアン。ラークさんってナニジンかな。ぐねえ、ジラー。ライアンの言ってるポトフって食べたことある。」

「ぐ待ってください、ヒッポさんはいつも、カチカチパンを私たちと一緒に食べていたじゃないですか。」
「ぐそうだった、一緒になって食べていたんだった。じゃあ、ハント。僕たち、何処にいるの。」

「ぐそれだ、ヒッポ。海の底だけれど、海の底じゃないかもしれない。」
「ぐなるほど。」

ライアンがいつもの長考モードに入ったところで、もうちょっと時間を稼ぐ。
「ぐラークさんはしゃべることができたよな、少しだけだけど。」
「げ何よ、やるじゃないの。しゃべってるのはイカサマってことよ。」
「げそうさ、僕らは遂にタコサマになったってわけだ。」

ハントが思わず唸る。
「ぐんん、もう。酷い話です。やってられないのです、一体ラークとは何者だったのです。」
「げなるほどね、このケースではラークさんはイワシサマだね。けれど、ラークさんは何処から来たのかな。」

俺様はこの時点でようやく気付いた。
「ぐライアン、気付いたか。」
「ぐいいや。」


海底神殿での寒い時間、孤立したのは僕、僕、僕、
空を飛んでいたあの日が懐かしい。

しかし、それ以上にあの人、人、人が気になってしょうがなかった。
みんなみんな。