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宵明けの上空に -1- 目覚ましい発見
晴れてる日、暗がりのガレージに相変わらず僕はいた。
「何なんだ、最近の僕は。」
自分だけなら扇風機は点けない。
調子の悪い中に身を置いていた。
贅沢を他人に回すお人好しなんて、的外れな気もしている。
僕がお祈り用アミュレットなんて買ってしまっては、まるで別人である。
「なんじゃそりゃ、調子悪い。」
このアミュレットを持ってみんなの気持ちと一つになれば、願いが叶うというのである。
「むむむ。」
-ガレージが涼しくなりますように、なるわけないけど。-
何か涼しくなった。
馬鹿な話である。畜生、涼しくなった気がするのである。
気持ちがそうさせるのではなく、ムカついているのだ。
そういや、ガレージに冷房を作ると提案してから、数ヵ月が経つ。
「そんな無理しなくても、扇風機があるからいいですよ。」
「そうだな、無理することないぜ。」
ハントも、ジラーも冷房は要らないという。
なのに、扇風機の前からは動かないのだ。
「何で涼しくなったんだ。」
教会の奇跡、これほど悩んだものはなかった。
しかし、ついに尻尾をつかんだ、そんな気がしたのだった。
「無理をすることはない、ジラーがそんなことを言うのは教会の奇跡に都合が悪いからだ。」
「今日は冷房を作る。」
あのイリュージョンを見てから、正直調子が悪かった。
しかし、よっくよく考えると、あれこそが言い訳に使われている最大の祝辞なのである。
お祝いはお祝い、しかしそれを悪用する輩がいる。
それに対して、僕たちときたら、無理をすることはないで済ましてきたのだ。
ルボータン王国もびっくりである。
「お祝いの言葉を逆手に取る奴がいるとは、僕らのことかよ。何でそうなった。教会の奇跡か。憎い。」
憎い。
けど、とりあえず。
教会の奇跡を無効化し、ジラー、ハントのやる気を取り戻す。
いや違う、僕のやる気を取り戻す。
そうしよう、じゃあ、冷房だ。
暑くなった日和、窓を開ければ風が吹いた。
ムカついているのは僕だけなんだ。
神様にお願いするとしたら、「僕の必要はみんなの必要となった。」
この言葉、嘘にはしたくないな。そう伝えといて、なんて思うのだった。