宵明けの青空に3 -5- 魚がまた飛ぶ

  



宇宙エレベータとはあったのだろうか、
物を運ぶにしても、瞬間移動が必要な魔法世界である。
空から衛星が下りてきたのである。

「海が無くなったと思ったら空が落ちてきたか。」

ガレージを叩く音がする。
「ライアンさん、改良のアイデアがありますよう。」
「俺様もきたぜ。」

「やあやあ、街が大変だね。」
ヒッポがお茶を淹れてくれる。

「また、スノーさんに聞いてきますか。」
「余計なんじゃないですか。」
「とりあえず、フィッシュ・ジェットに乗ろう。」
「そうですね。」

四人でいそいそとフィッシュ・ジェットに乗りこんだ。
僕は機関室へ入ってシリンダーにマッチを投げ入れる。

スー シュコン
ギュキャキャキャキャ ガロガン
ズギャキャキャキャキャ ガロガン

ズキュルドュルグン
ガシコンック ガシコンック

フィッシュ・ジェットは発進した。
しかし、飛ばない。
浮き上がらないのだ。

「まずいねえ。」
ピィーピィー
二回の笛の音、鐘の音はない。

デシンデシン デン
ズーン

操縦室へ入るとジラーが言った。
「浮かないぜ、どうしようか。」
「作り直しか。」
「これは大変ですね。」


飛ばなくなった魚の中で僕は唖然としていた。
空が低いと魚は飛ばないのか、
漠然と考えていた。
空が飛べないとこの魚はモグラかな、そんなことを考えていた。