宵明けの上空に -3- 極度の疲労

  





休んで休んで3日、本当は長い月日が経った。
薄曇りの空にガレージで、うだっていた僕らに鉄槌が下ったのである。

キュイキュイキュイキュイーズイーン

バスーン

2つのフィッシュ・ジェット2号を付けたようなマシンから爆風が届く。
「そんなものは我がルボータン王国の知恵には無意味だ。」

隣のカブラークス王国に影が見える、どうやら向こうにも何かあるみたいだ。

ガシッコンク、ガシッコンク、ガシッコンク

ルボータン王国から空飛ぶ象が一台飛んで行った。
「答えてもらおう、教会の奇跡とは何だ。」

カブラークス王国から声がする、
「教会との交流は経って400年、勘違いは止めてもらおうか。」

ズシンズシン音がする。

教会の奇跡と言えば僕の悩みでもあった。
物を言おうとする集中力が腕に現れると運動神経となりハンドスラップすることで避けられる原理だ。
つまりは、物を言おうと腕を動かしたらギターがあって音になるようなものだ。
ならば、音で腕を動かしたら物を言われちゃうんじゃないの。

でも音で腕は動かないだろう。
考えるのがやっとで、まだ動かなくするようなものはない。
僕からすれば、王国は諦めたのだ。そう言えなくもなかった。


そう思っていた時だった。
「ダレダ、王国が諦めたなんて思っている奴は。」

象が一台ガレージに飛んできたのである。大変だ。

「カブラークス王国、深く非礼を詫びる。まだ我が国に懸念が幾らでもあった。ライアン、答えろ。」

とんでもなく大きな音でご挨拶された。

「どうしても、音だと思うのか。」

「はい、思います。」

「何だ、聞こえない。」

「はい。思います。」

「良し、そうだな。帰る。」


象が帰ったのだった、何か違うみたい。
僕は僕の頭をようやく疑ったのだった。



ようやく吹いた、熱い風。
みんなの気持ちは一つだったのに、本当に僕だけ違うのか。
異端だなんて思うのは意外だ。
でも、納得の上で進むらしいこの国に安堵を覚えたのだった。


「ライアンさん、寝てるのではなかったのですか。」
「ハントこそ眠そうだね。」
「あの象が何だって言うのですよ、我々の生活は我々の生活です。仕事の邪魔になりますよ。」
「そうか、休むか。」


結局、最後まで戦いそうで嫌だった。