宵明けの上空に -8- くたばるリスト

  







キタブ・アルフィリスト、その本たちは中世にまとめ上げられ、十字軍遠征により、
アラビアに残ることになった。
ルネッサンスを迎え、錬金術について詳しい本として古代ギリシアの科学は、
産業革命期の科学技術の発展に受け継がれていく。

しかし、その一方で、キタブ・アルフィリストとは神学者の名前でもあったと、
記録に残る。
アラビアから再びヨーロッパへと還る大きな科学の流れに、
私たちの暮らしは先祖によって作られたもので、その意志は、遺すという考えにあったと考えられる。


その一方で僕はファンタジーに、この様にも考えていた。
中世時代の科学は進み過ぎていて、滅んだのではないかと。


一方、この文明には電気がない。
電気がない世界でフィッシュ・ジェットがビームライトを使っていたのだ。


「ライアンさん、顔が変ですよ。」
「ハントも、終わったな。」

「そうですね、もう寝ている必要はないですね。」

「違法電波は無理だな。」
「サーバーに届けて蹴ってもらうなんて、まだまだ分からない解決方法ですよね。」

「まじでアンテナとか考える気になるか。」
「ライアンさんらしくないですね、でも絶対嫌ですよ。」


珍しくハントが計算をしている、お金の計算だ。
ケチになったのか。いいことだ。
僕はお金に困った時のことしか頭になかったので、
お金の計算をしているハントに安心感を覚えたのだった。


「フィッシュ・ジェットの旅とか中世書物とか夢を見ていたのだが、要らないな。」
「要らないのですか、要りますよう。」

ハントが文字を書いている、何だか"そうですね"と、書いてある気がしてならない。

「また、遊びに来るよ。」

ハントに手を振った。
ハントが手を振り返してくれた。

そのときだった。
「ライアンさん、何を考えているのですか、この世は滅んでいるなんて思ってないですよね。」
「自転車は漕いだ分しか走らない。分かっているさ。」

「この世はみんなのおかげなんですよう。」
「そうだな。」


カランコン カランコ


変な話になったなと思う。
尖るのも大変だ。
何もいらないって滅びてるよな、じゃあ尖るのは愛か、ってそうじゃないと思う。
この世の悪を意識した。