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宵明けの碧空に -9- この星は
「ハントちゃん、これがどういうことか分かるかな。」
「装置の悪用、これが発生しているとしか思えないんだ。」
「ちょっと待ってください、じゃあ、ライアンさんに掛かっていた教会の奇跡と呼ばれる、味がしないって話はどうして解決したのです。」
「覚えていないのかい。全く、君たちときたらさ。月にあるモノリス、破壊したんだろ。」
「な、なんのことです。」
ハントが何とか勿体つけるのが分かる。
こっちは6人、向こうは8人はゆうに越える。
「お月さまタイムトラベルだよ。」
「え、え、あ、あの。」
ジラーがハントの足を踏んづける。
「ハ、」
ヒッポがライアンの足を踏んづける。
「何。」
「いや、ちょっと待ってください。泣かしちゃだめですよ。」
すかさずトロイアさんが割って入っていった。
「ハ、ハントは怖くて泣く寸前ですよう。」
ハントがうずくまる。
「分かった、分かった。でも君は賢い、で有名だ。何かお月さまタイムトラベルについて知らないか。」
「何で私が知っているのです。」
「そ、そうか。」
ちょっと教会の人々がたじろいだ。
どうやら、ハントの頭の中で人間関係の整理がついたようだ。
「でも、ちょっと待ってください。」
「どうして私たちにそんなにも教えるのです。」
「気付いたかな、私たちは教会。神と祈りをささげる。」
すると、トロイアさんが名乗りを上げた。
「分かった、月にある装置を破壊したのは私だ、トロイアという。」
「どういうことだ、飛んだのはライアン君たちではなかったのか。」
「待て待て、違うのじゃい、わしじゃ、ロップじゃ。ピロプロパロで分かるか。」
ロップじいちゃんが白状した。
「おお、あなたでしたか。」
「しかしピロプロパロ、ということは。むむむ。爆撃されたのですか。」
「まぁ、爆撃したのじゃが、あれは爆撃にも耐えるじゃろ。」
「では、どうされたのです。」
「ライアン達から、星の実を受け取ってな、まあ、オーパーツの一種じゃ。」
「ということは、もしかして。あっちか。馬鹿たれ。」
「あれは、いけない装置だよ。でもお月様とも、、、ああああああああ。分かったぞ。凄いじゃないか。」
「モノリスをピロプロパロしたのですか。」
「ライアン達に星の実という名のオーパーツをわしがローンチしただけじゃよ。」
「「ローンチ。」」
「では、オーパーツはどうなったのです。」
「ライアンさんが持ってますよね。」
「ん、ああ。フィッシュ・ジェット2号に置いてきたかも。」
「馬鹿たれ、そんな大事なもの何故持ち歩かないのです。」
「お月さまタイムトラベルとは、どんな関係があるのです。」
ハントが元気になって言う。
「月の後ろに同じスピードで回る衛星があるのだよ。原理は、んー、省略してもいいかい。」
「はい。」
その頃、スノーさんとラーク先生は、ある状況で話をしていた。
「良くきたね、ライアン君。」
「何よ。」
ある状況とは、アカデメイ、ツナグループ社、ルボータン王国の揃った状況である。
カブラークス王国が来てないわね。どうなってんのよ。
エデュケスだけじゃない。
「さあ、教えてくれ、オーパーツは何処だ。」
「やっぱりね、何かおかしいと思った、」
「おかしいと思ったんだよ。」
ウル総長先生がぼそっと呟いた。
「何だかね、呼ばれちゃったからには元をとらないとねえ。」
その脇で、私に合図を送ってくるものがいたのよ。
もうやんなっちゃうわね。
「どういうことかな、ライアン君。」
ルボータン王国の皇帝までいらっしゃったから驚きよ。
もう、ライアンちゃんの振りなんてするんじゃなかったわ、ラークじゃないのよあいつ。
どうすんのよ、時間稼ぎでもするかしら、でもトロイアもライアンちゃんも気が利かないものね。
もうしょうがないわね、正面突破よ。
「何してるんだ。」
「な、教会。に、おちびちゃん達。」
「そいつはライアンじゃないぞ。」
「ライアン、ってあんたね。トロイア。遅いのよ。でも最高のタイミングよ。」
「根暗の姉さん、これまずいよ。」
「ラークさん、目的は何よ。」
「分かるだろう、君は何故分からない。」
そのとき、スノーさんはむっとした。
「何よ。」
ラーク先生がウル総長先生に話しかける。
「私の目的はウル総長、あなたなら分かるね。」
「何だ。」
ツナグループ社長にはこう言ってのけた
「私の目的、分かるだろう。」
「一体何だっていうんだ。」
ルボータン王国の皇帝にも言った、
「私の目的はね、」
「何だ。」
その間に僕らは考えなければならないと思うように仕組まれていたのだ、
いや、それはマインドコントロール、答えを引きずり出すための話し方だったのだ。
僕の前にジラーが聞かれてしまった。
「私の目的は何だと思う。」
ジラーが言ってしまう。
「あなたの目的はもしかして、オーパーツを用いた世界征服ではありませんか。」
ラークが大きな声で高らかに嬉しそうに言う。
「そうだ。」
「ということはどういうことだ、ラーク。」
ウル総長先生が聞いてしまう。
「そういうことなんだよ、分かるかなライアン。」
「良く分かりません。」
「良く分からない、どういうことかな、何が分からないんだい。」
「あなたの言、ぐ」
ハントがものっそい勢いでライアンの足を踏みつける。
「分かっていながら、ライアンさんはどうして話に応じてしまうのです。おかしいじゃないですか。」
ライアンをハントがものすごい勢いで叱った。
それを見てラークが苦々しそうに笑う。
スノーさんは笑っていなかった。
先生も、社長も皇帝も、笑っていなかった。
僕らの頭の中ときたらこうだ、ラークは話を引きずりだすだけで中身がない。
いや、そんな訳あるわけなく、間違いなくラークは僕らをこのような状況に持ってきたのだった。
「ハント君、1+1=3は聞いたことあるかな。」
急にラークがハントに話を掛けた。
ハントは答えなかった。
ウル総長先生が代わりに答える。
「あるわけないだろ。」
ハントの目つきが鋭くなるが、ウル総長先生はもっと厳しく睨み返した。
「では総長、1+3はいくつになるでしょう。」
「4だ。」
「お見事。」
ラークが言う。
「じゃあ、超能力はありますかね。」
ウル総長先生が答える。
「ない。」
「では、これは何でしょう。」
ウル総長先生が嫌そうに言う。
「何のつもりだ。」
ラークが言う。
「これが超能力です。」
「待ちなさいよ。」
スノーさんが割って入る。
「あんた何した、ぐ」
トロイアさんがスノーさんの足を踏む。
「分かっ、ぐ」
トロイアさんが何とか止める。
「それ、超能力じゃないでしょう。」
ラークが驚いたように言う。
「何のことだい。」
そのとき教会が妙なざわつきをしていた。その中からとても偉い恰好をした人が出てきた。
「ラークというのかい、君は。」
「教会ですね。」
「ラーク、やめないか。君は怒っているのだろう。」
「何を言っているんだ。」
ラークが突然声を荒げた。
「私が怒っている、なんでわかるんだ。」
「怒っているのは君だけじゃないからだ。」
「ではなぜ君たちは平気そうな顔をしているんだい。」
ツナグループ社長がこっそりある令をだした、
「人工無能はいるか。いるなら、この式を使ってくれ。」
「ラークはタイムトラベラーでライアンを狙っている=ライアンを狙っているタイムトラベラーはラーク。」
「この式が一致すれば、ラークがどんな人物だか分かるかもしれん。もしかしたら、未来人かもしれない。」
「ラークさん、あなたもしかして。」
そのときだった、ハントにラークが何かささやいていた。
ハントが言う。
「ライアンを殺します。」
「どうしてだ。」
「何でなんだ。」
「何でよ。」
「分かるじゃろ、その超能力とやらで誰かを殺すとでも言われたのじゃろ。」
「どうするのじゃ、ラーク。ロップじゃ。百戦錬磨じゃ、相手してやるかの。」
「ロップさん、私の目的は何だかわかりますね。」
「何じゃなんじゃ、おなかでもすいたかい。わしのおにぎりでも分けてやるかの。」
「な、何です。」
「要らんのか、不誠実な奴じゃの。」
「ロップさん、超能力はありますかね。
「なんじゃ、飲み物が欲しいのかい。」
「要らない。」
「何じゃい、失礼な奴じゃの。」
「ライアンを殺さないとさっきの超能力でヒッポを殺す。」
「何じゃ、耳が遠くての。お小遣いが欲しいのかいな。どうじゃ、300トラスじゃい。」
「ふざけるな、私をおちょくっているのか。このじじい。もういい、みんな殺してやる。」
「ぶっ壊れてしまえばいい、こんな星。」
何が起きるのだろう、僕には良く分からなかった。
しかし、あの日と同じように何かに気付くべきだと僕は気付いた。
そう2番シリンダーに気付いたあの日。
なぜ光る星の実が僕の魚に入っていたのか、何度も何度も考えた。
よくよく考えると、あの魚が飛んだ原因は星の実そのものではなかった。
つまり、シリンダーに熱が籠った場合、それを考えなければならなかったのだ。
きっと、もしかしたら。今回も見逃しがあるはず。
魚の夢には間違いがたくさんあった。
何でなのだろう。全部使えるようになっては国の防衛機能が下がるからか、
そのような政治体制だったのだろうか、
教会とはどのような場所だったのか、何だ、おかしい。
「ライアンちゃん、ちょっと遅いんじゃない。」
「もっと自分を信じなよ。」
「ラーク先生、僕と勝負です。この自然科学、自然世界に対する愛はありますか。僕の愛は先生に負けません。」