宵明けの天空に -9- 決戦、ルボータン王国3

  




教会と王国は違う。
王国に神様はいない。

「国があるのは今のうちだ、早く好きに生きなさい。」

「この星の真実と科学の進歩に入れ込んだみたいだな、ライアン君。」
「教会は大きな節目を迎えたのだろう、多くは分からないが。」

「誰にも生きるがあるよ。」

「何だ。」


「神への信仰を背景とした政治体制を築いたのではないのですか。」
「それは教会だ、人々は我々が守る。」
「王国の意図ではないというのですか。」
「科学による追究でも考えていたのか、ルボータン王国にはそもそも科学がある。」


すでに科学とはあったのだ。
僕の話が大きく転んだ。
それは、目の前が大きな舞台に変わってしまったような気分だった。
胸が高鳴るのを感じた。


「僕は天国への階段のようなものを探すつもりでした。」
「それ。」
「本当のことが知りたい、確かにそうです。この話を聞く前までの気持ちです。」

「違うんですか、ライアンさん。」

「この世界にある大きな愛を集めてきます。きっとこの文明の役に立つでしょう。」
「そう。」

「それなら、これを探って欲しい。」
「ついてきたまえ。」

そう言って、ルボータン王国皇帝が次の話をしてくれた。

「鯨の自動迷宮、聞いたことはあるか。」
「証拠はこれだ。」

一枚の写真。美しい地球だった。
「君たちで一枚の証拠を取ってきて欲しい。」

そう言って一冊の本を手渡してくれた。
「行ってくるといい。」


緊急事態なのに何も手伝うこともなかった。
「分かるから。」と追い出されてしまった。
いつものことだとルボータン王国皇帝が伸びをしながら笑いかけてくれた。
科学でも宗教でもなく、新しい旅が始まろうとしていた。