宵明けの天空に -8- 決戦、ルボータン王国2

  



伝統を重んじる赤色のカーペットに緑色の高級なカーテン。
目の前には、空と海を思わせるような碧い絵があった。

王宮に着いてから、僕らは帰れなくなってしまった。
テロリストによる侵略が発生した。
そして、僕らは匿われているからである。

「大変なことだ。」
「守ってもらうって柄ですかって、おいライアン。私がハントだ。」
「何さ。」
「私たちをさっさと連れてけ。」

科学こそは国だった。
そして、僕らの宗教とは未だ知りえないものであり、
ハントのような存在が怪しまれるのもおかしくない話だった。

「良く分からないな、全部が新興宗教による催眠攻撃だったというのか。」

「7000人問題も偽ラーク先生も、矛盾問題も、錬金術師たち教会の奇跡も全部、テロリストの仕業なのか。」
「それら全ての問題がテロリストの仕業と考えれば解決するよ。」
「矛盾が無いだけではないですか。」

「何言うより、当たってる方が良いってことだろ。」
「推理のおかげさ、これ以上の答えはないだろうよ。」
「そうですけどね。」

「ライアンさん、我々はどうやって海底神殿を脱出したのですか。」
「そりゃ、嘘発見器みたいな物のおかげだよ。」
「それって矛盾問題は問題が問題って事で良いのですか。」
「あの水槽問題か、あれも催眠攻撃だよな。」

絵の中の鳥を見ると震えている、日光が気持ちよさそうだ。

「例えば、相手が嘘発見器を持っているような話しぶりだとするよ。そして、僕らが嘘発見器みたいなものを持つんだ。」

ハントが僕を見る、ジラーも良く分からないみたいだ。

「それってライアンさんの負け惜しみじゃないですかね。」
「それでも、初めからテロリストの仕業だと分かっていたならと、今なら考えられるだろうよ。」

ルボータン王国皇帝が階段を下りながら言う。
「なら、その悩みは誰の問題かな。」

「教会の悩みですか。」
「はい、新興宗教です。」


赤い塵が見える気がした、風が吹いて真っ赤に燃え上がりそうだった。
一生懸命な世界が一瞬見えて、すべてを冷やした。
この文明がその宗教を忘れるまでと言ったら気の長い話だった。
科学が致命的で国が危ないのだ。