宵明けの碧空に -6- 価値のあるものとは

  










この事件はみょうちくりんです。
犯人と犯人探す側で用いる装置が同じとはこれ、どういうことなのでしょうか。
きっと犯人のほうが優れた機器を持っているから、なかなか捕まらないのでしょうが、
それにしても。ライアンさんが疑われるほど恵まれた人間関係にあるとはちっとも思えないのです。


どうするのです。
こんなやつらに飲まれてるほうも飲まれてるほうなのです。

技術に目の眩んだ大人たちが集まってるとしか思えず、
とは言え、私の好奇心もここからなかなか離れることができない。

どうするのです。

ラークとかいう先生とは会ったことがないのです、ですけど。
あのお宝は本当に素晴らしいものだった。
なのに、理解を示さない。
ライアンさんだけでなくみんながむっとするのもわかる話なのです。


しかしながら、あの入り口に書いてある
タイムトラベル理論は悪い理論に他ならないと思うのです。

人に光線を当てると、その色により、人の行動確率を制御し、
時間を操作しているとしか思えないのですよ。

つまり、どうするのです。そんなの戦えるわけないのです。

でもさっきからライアンさんの「ふわー。」という感嘆を聞いていると、
私もこの遺跡のすばらしさに感嘆せざるを得ないのです。


「ライアン君、ちょっとこっちへ来ないかい。」
スノーさんが手で制止する。

「え」
「はい、行きますよ。」

みな、驚いていたが、協会がいることで警戒をしていた私たちは、
何となくスノーさんの殺気に気が付いたのでした。

同時に、アカデメイ、ツナグループ社長、ルボータン王国の一団と協会グループの二手がやって来て、
アカデメイには見知った顔も出てきていたのです。

「ん、まさか君たち。」
私はびっくりしたのです、何故ならウル総長先生に声を掛けられたからなのですが。
「。」
「。」
「。」
「。」
「。」

「このことはご内密に。」
「分かった、ラ。」
「駄目ですって。」

ラークとかいう先生が声をかける
「ん、ライアン君。」
「そ、そうよ。」

この機転にジラーさんが吹きそうになりながら、相槌を打つ。
「そうね。」

私も勇気を出して、
「そうなのです。」

そうしてウル総長先生は
「そうなのね。」

そう言って、何かを探しに行かれたのでした。

しっかし、まぁ。世の中にはほんっとーうにびっくりなこと、
そしてライアンさんのあほたれー、と言わねばならないことがあるのです。
そうなのです、協会から声を掛けられるのです。
こそこそっと聞こえます。

「君たち、ライアン君たちだね。」
「苦しかっただろう。」
「もう大丈夫だから。」

私たちはぎょっとして顔を見合わせます。

「え、協会さん。」
「どういうことなのですか。」

「ハントちゃんだね。実はね、ライアン君の舌だけじゃなく、目、耳、口、胃が奪われているのを知っているかな。」
「そしてハントちゃん、どうやら言ってないようだけど、君もライアン君のように耳、口に聞こえるのだろう。」

「ライアンさん。」
「ハント。」

「もうライアン君気付くね。」
「ジラー。」
「分かってなかったのかよ、ライアン。」

「どうやら、これはデジタル存在とアナログ存在が関係しているようなんだ。」
「重要なのは紫外線だ。」
「何故かと言えば水道水には不純物が含まれているだろう。」

「それが光触媒となって逆反応を起こすと考えられる。」
「つまり、紫外線が出ているんだよ。」

「でもなんで、」
「実はこの世界には電波というものが飛んでいてね。」

「FM変調をすると、固定された明かりの元では零点調整が効くんだよ。」
「勿論AMでもいいんだけどね。」

僕らを制止してトロイアさんが言った。
「馬鹿野郎、そんなものあるのか。」

トロイアさんにしては珍しく怒っていた。
問題は聞こえてしまうことなのです。

そして協会はこう続けます。
「実は、カブラークス王国のエデュケスで、タイムマシンの研究が進んでいるのだ。」
「我々はそれを監視していてね。」
「どう見てもタイムマシンはジェネレータだったんだよ。」
「なぜなら精度がトゥエルブナイン、といって99.999999999999%現実に近いデータという話なのだが。」
「常用対数で表すと-12dBの差分があるということなんだ。」

「この世界が少なくとも無量大数で表すことができるとすると10^34だろう、そうするとパラメータが10^22個は操作できるという話なんだ。つまり、精度は-12 dBしかないというのが正しいのさ。」

パ、パラメータ?どういうことなんです。
もう全然分からない、そして絶対許せない。

でも教会って凄い。そう初めて思ったのです。