宵明けの上空に -7- イワシの先に何かいる

  





寒いのに雨まで降って、誰かの行く末を案じる。
自分ではないかと思うそんな陰気だった。



ライアンが寝ている。
俺様もこの状況には嫌気が差している、いつ終わるのか。
しかし、よく見ると何やら腕を振っている。
楽器でも弾くのだろうか。


「ライアン、楽器か。」
「ちょっと待て、今魔法中だから。」


ライアンの両腕がNo.1ポーズを取り終える形でぶらんとしている。

「魔法って、魔法かよ。」
「多分、No.1ポーズだと思う。」
「意味が分からないぞ。」

「ジラー、あいつ分かってない。」
「何が。」
「No.1ポーズの位置にいるあいつだよ。」

「」

No.2ポーズが俺様によって発生した。
代わりに喋れない。

ただ、このポーズは片腕に半分しか発生していない。

ライアンが言う。

「No.2ポーズのところに何かいるぞ。」

「」
「こいつ、分かってないな。」
「そうだろうね。」


「で、どうするんだ。」
「イワシの話でもするか。」

「そうかよ。」



いつものげんなりする日々が一瞬でも戻った。
やっぱりライアンは諦めないみたいだ。
完全に負けてるのが分かるけど、まだ終わってない。
終わる頃には勝っていて欲しい。

ライアンの実験台なんて呼ばれたくない俺様は、窓側でそんなことを考えていた。