宵明けの青空に3 -3- 表面張力

  






港は干上がっていた、潮が引いてもここまでからからではない。
超常現象はあっても、こんな天変地異はなかった。

「間違えた、こっちじゃない。」
遠くから大きかったであろう声が聞こえる。
僕は振り向いた。

ザザーン
いきなり潮が還ってきているのがわかる。
津波じゃないか。
僕は丘へ急いで登って行ったのだった。

港から丘へ登る人々は何かを見つめていた。
そう、海の真ん中にマシンがいるのだ。

あれはロブスターだ。

ロブスターが宙に浮いている。
鋏の周りはあまりよく見えない。
何やら光って宙に浮いているらしい

「リューケイオン、あれシュリンプだっけ。」

僕は何やら呟いていた。
エビでもない、ロブスターだ。
潮が迫ってくることはなさそうだった。

紙袋を抱きかかえて街に戻ることにした。
「これは、ジラーに聞いてみるか。」

月がありありと輝く日に、
ころころころがる野菜や果物。
たどっていけば、見たことのないマシン。
赤が眩しい海が似合う船だった。