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宵明けの青空に3 -8- 私の船
「空の上にはこんなものもあるのね。」
私が飛んだ先には宇宙エレベータの入り口があった。
管制室は誰もいなかった。
「地上が見渡せるわ。」
海の無くなった大海原は砂地がむき出しになっていた。
ルーメン王国の方を見ると、浮き輪をつけた戦車が今にも海を渡ろうとしていた。
「嫌ですね、やっつけちゃいましょう。」
そう、私は空から戦車の行く手を阻んだのである。
ビビーン ガーン
「不公平は駄目ね。」
海の反対側に宇宙エレベータの帆を向けたのだった。
「ロブスターは海水を集めているわね。」
赤色のハサミをつけたマシンが渦の中心で浮かんでいる。
泡がぶくぶく沸いて核融合反応を彷彿とさせる。
何だか急いていた、私はとても忙しかった。
あの辺境の地ララレイまで突撃しているようにしか見えなかっただろう。
違うのですよ、私はこの発明を手中に収めたかっただけだった。
けれど、宇宙エレベータは発見するし、ビームは撃つわで、とても一人の働きには見えない快進撃だった。
「この海の向こうには何があるのかな。」
そう、私もわくわくしていた。
船なんかあったって仕方がない、そう思いつつこのエレベータに乗っかった。
「ようし、これだけの海水があれば飛んでいける。」
「ロブスター、オフ。」
大海の渦巻きが止まり始めた。
「船も悪くないな。」
空の宇宙エレベータは危ない空中戦艦だった、
でも、私は研究室を離れ、研究結果を存分に発揮していた。
そう、憧れの大冒険だったのです。
最高の気分、全部上手くやって見せる、私は意気揚々としていた。