神様のいない世界で -1- イスタンブールの祈り

  



雨がふる桜並木。
「俺は死ぬのか。」

桜は応じてくれた。
「神様を信じるのね。」
「良く分からないな、お迎えか。」
「あの子が東京駅で待っているわよ、行ってきなさい。」

トルコ、イスタンブールの礼拝堂。
「私には私の祈りがある、邪魔しないでくれ。」
そう言うと、男は水の中を入っていった。

アメリカ大使館。
「イギリス国教会は文明のためには戦争もあるというが。」
「日本政府はスムーズな移行を考えている、戦争はしない。」
「10億年間の文明が100億年間の文明と交差するんです。」
「宇宙人からの襲撃ということにしておかないか。」

日本、東京の昼間。
「東京駅だ、いないな。」
死ぬわけではない人と殺害されたプログラムのコードが積み重なっていった。

「やあ、久しぶりだな。」
「私の祈りを邪魔するんじゃない。」
「邪魔しないさ。」
「分かってないな、日本人。神様は神様だ。」
「私たちは繋がっているのだよ。」

フランス第一メディアよりお知らせです。
「どう。」
「ニュース番組もバラエティ番組も作れたわ。」
「すごい時代がきたもんだ。」

彼はトルマリンブレスレットをしていた。