宵明けの大空に -7- どこまでおかしいの

  




私が思い返せば、いまは何ともないから無事なのですが、

問題というものに差し当たっては、思い返しても思い返しても、
一人では何ともならないから事件と言われるケースがあります。

ライアンさんは自分で何とか出来れば事件ではないというロジックに陥っていました。
一人では何ともならない事件には悪意を感じますが、
自分で何とかできないから事件なんだという意識はライアンさんにはありません。

自分で何とかするのは社会ルールとしてまあ当たり前なのですが、
自分で何とかできないときに助けを求めるのも普通の話だとして、
出来ないのは本人の資質に問題があるという対処をライアンさんが自ら行っているように、
端から見てみれば心当たりがあります。

しかし、問題はあの用心深いライアンさんが、事件なんだという意識を持っていないことにあるのです。
特に本人の資質に問題があるなんて対処をライアンさんが嫌うのは勿論のことです。
それにも関わらず、私には心当たりがあるのです。

だとすれば、一人では何ともならないものにぶつかったライアンさんは、
本人の資質に対する自分では何とかできない問題に対処を働いていると思うのです。

それは、事件ではないんだとライアンさんが証明をしようとしている働きであり、
ライアンさんが守っている、自分で何とかするという社会ルールの維持であり、
それでもライアンさんが頑張っているようなら、助けは解決には成っていないということであります。

すると、ライアンさんの友達として、私は思うのですが、
事件ではないんだと証明しようとしているライアンさんは、
事件という意識はないのでしょう。
しかし、自分で何とかしようとする社会ルールの維持に際し、
助けが解決には成っていないということは、
社会ルールを維持できない事件がライアンさんに起きていることになります。

それって、ライアンさんが社会ルールを維持できない状態にあるかと言えば、
「ないです。」
逆を言うとですよ、みんなの助けが解決に成らない事件のある状態で、
社会ルールの維持を一貫として自分で何とかするからと、
一人では何ともならない事件に本人の資質に問題があるかのように、対処を続けるライアンさんは、
みんなの助けが解決にならなくて、一人では何ともならない事件に
社会ルールの維持を名目に本人の資質に問題があるかのように振る舞う
きちがい探偵なのです。

そりゃ、本人は事件ではないと証明をしようとしているのであり、
きちがい探偵ではなく、被害者本人が事件隠しの本人とかいう謎の犯人に加担する最大の協力者でありますが、
そうです、私がここまで言うのですから、
ライアンさんに文句、いえ、問題があるのです。
「事件です。」

怒らないでよ、ライアンさん。
「事件だとしたら、僕をきちがい探偵だといったのはハントだよな。」
「おい、聞け。」
「ふざけるな、まじでハント調子に乗るな。事件じゃないで進める。」
「馬鹿野郎。」
「事件じゃないから、立場があるんだぞ。」
「じゃあ、一人だけ解決しててくださいね。」

ライアンさんに言われる前に解きたいのですが、
毎度、ここで厳しい4手目が来ます、それは5手目と変わりません。
「きちがい探偵扱いは本人の資質に問題があるかのように見えるハントの問題だろ。」
「な、「みんなの助けが解決にならなくて、一人では何ともならない事件に対して、事件だなんてテロだ。」

「みんなって社会のことかよ、よくルボータン王国にテロが発生しているなんて気付けたな。」
「それはですね。」
「一人では何ともならない事件とか言いおって、一人じゃどうにもならないから事件だよ。」

で、ジラーさんとヒッポさんは置いてゆくこととなったのです。
「ハントはスノーさんが僕の代わりに海底神殿に出て行ったときにウル総長達がいたのを覚えているか。」
「覚えてますよ。」
「あのとき、スノーさんはエデュケスのラーク先生と話をしていたはずだ。」
「そうですね。」
「話を逸らして済まないが、ハントはもっと素直に喋ることは出来ないのか。」
「そんなの、ライアンさんにはノーヒントってことですよ、逆に言えば助け舟出してるのですけどね。」
「なら、それでしょうが。」
「そうですね。」

「事件はライアンさんがどうあれですよ。
「なら、僕は解決を遂げた。」
「どうしてなのです。」
「当たり前だろ、みんなの助け舟が届ききらないだけで出てるのだろう、それはノーヒントってことだ。」
「なら、ライアンさんは、助け舟が正しければ一人で事件を解決していると。」

へえ、そうですか。
ああ、むかつく。というより、解けているのですね。むむー、しまった。

「何かできたっけ。」
「いろいろできましたよね。」
「じゃあ、それか。」
「なんです。」
「先生方は助け舟は正しいけど届くことはない、違うだろうか。」
「なら、ライアンさんは一人、解決をしてるけど、事件だってことですか。」
「でしょうね。」

「終わりですね。」
「僕が居るだろ。」

「私は分かってません。」
「じゃあ、ボケナスだ。」

「事件はみんなが助けても助けても解決しないんだろ。」
「一人だけ解決してるって、そりゃ理屈の上ではそうですが。」
「へい、超ばーか。」
「越えろって、ガー。」

「事件は、僕が自分で何とか出来れば事件ではないというロジックに陥っていたことだね。僕が自分で何とか出来ないところに事件があって、僕だけ解決してる。」
「それって、みんなが困ってるってことですね。」
「でも、みんなは助け舟が正しいけど、届くことはないね。」
「誰の助け舟も届いていないんですか。」
「いや、助かったよ。けど、誰もいないね。」

「しっかりしてくださいよ。」
「困ってるのはお前だろうに、分かったってことでいいよ。」
「じゃあ、先生方は、がっちり組んでますけど。」
「それね、教会は異端を探すだろう。」
「それだとスノーさんが困っているのではないですか。」

「そうだろうね。」
「ライアンさんも素直さが足りないのではないですか。」
「僕は冷や冷やしたけど、スノーさんはライアンしてたよね。」
「でも、ということはスノーさん大丈夫ですねは届かなくて、スノーさんはスノーさんでラークさんと話をつけたということですか。」
「だとしたら、スノーさんにとってはラーク先生でも、ラーク先生にとってはライアンってことか。」
「ラーク先生、スノーさんですよう。は、届かなくて、ライアンさんってことですか。」

「なら、思い通りの謎な世の中だね。」
「だから、あれだけ結託するんですね。」

「みんな正しいけど、届かないってのに。え。」
「ラークさんは間違えたってことは、届いたんですか。」
「なるほろ。こんがりーバードだ。」

「悪についてはどうする。」
「いまさら、嫌ですよ。」
「教会がいるものね。」
「何か、不安ですね。」
「ハントはな。」

「ライアンさんのせいです。」



真っ暗闇の中は怖いから、色んな不思議を考えてしまう。
けれど、一人で答えは出せない。そう思ったのですが。
突っぱねても良かったんだけど。
やっぱり、悪い人もいるから、要を得ないのは駄目です。

しかし、ジラーさんとヒッポさんには2度手間ですね。