宵明けの碧空に -12- Astronotes land

  







「ラークさんですか。」
「ふはははははは、ぐぐぐ、いえラークです。つうううう。いや違うんだ、私はラークじゃない。」

私たちはどういうことになっているのか良く分からなかったのです。
しかし、ライアンを殺そうとしているタイムトラベラーのラークはこの人だし、
タイムトラベラーでライアンを殺そうとしているラークもこの人で、
2つは一致していたのでした。

そして、ラークが何だかせめぎ合っている、つまり一人で葛藤しているように、
傍から見えたのです。

「ラークさん、何処を旅してきたのですか。」
「何処って地球だよ、みて分からないのかい。ぐぬぬ、いえエデュケスで教鞭を。つぬぬぬぬぬ、特にないさ。」

むむ、些かおかしいですね。
ライアンさんが質問を入れる。

「ラーク先生なのですか、顔つきが変わってはいませんか。」
「変わってやいないさ、君たちこそ本当にライアン君なのかい。ぐふ、ライアン君ちが」

教会の人々がざわめきだして、
「まさかね、ラークさん。あなたは戦っているのでしょうかいな。」
「愛と執着の戦いか、これはいけませんっすね。」

そして、ルボータン王国の皇帝が言ったのです。
「ライアン君と言ったな、君だけが特別ではないのかね、だから、人は愛なんだよんか。もっと勇気をもってみたまえようね。」
「はいない。」

私たちは言うことが滅茶苦茶になってしまったのは変わらぬようだった。

ライアンさんがキョロキョロし始めて、何かを探し始めたようだった。
そして、聞こえることになるのです。

-聞こえるか-
-なんですか、スノーさん-

-私の言うことを聞くんだ、いいね-
-スノーさんは私のことをハントちゃんと呼ぶのです-

-ハントちゃん聞こえるかな-
-もう聞きたくないですね-

何時になくこういう悪いものをさっさと見破ることができてよかったのですが、
ライアンさんが何時になく真剣にラークさんの顔をまじまじと見ていた。

その時だったライアンさんがこっちに来て、私にメモを渡したのです。
その文字は未だに、良く分かりません。

ですけど、ライアンさんが10秒後にささやいたのです。
「ぐ鏡文字だ、ハント。」

それまで、何だか良く分からない惑星記号のような文字が、
私たちがいつも使っている言語の鏡文字だと気づくことができたのです。

私は思わず叫んだのです、
「ラーク先生の中に宇宙人が送信されてるに!」
「どういうことだい。ぐふう、負けないよ。ああ。」

「ぐライアンさん、どうして分かったのです。」
「ぐハント、よく聞いてくれた。実はテレパシーかと勘違いするような超常現象が起きてね。」
「ぐ相手の話を聴いていたら、物の名前と僕の名前が等しい扱い方をしているようでね。」
「ぐちなみに今日の晩御飯はライアンさんの苦手なポトフですよ。」

するとジラーさんが割り込んできて
"「ぐ待て、ライアン俺からも報告だ、相手がYesNoで答える質問しかしてこないと思ったら、何か違うことを聞いてきたぞ。どう思うってどう思うよ。」"
「げライアン、僕からも報告、どうも何だか声が出づらくてね。このままじゃ僕、声でないかも。」
「ぐヒッポ、それはまずいな。それからポトフについてどう思う。」

「げライアンちゃん、こっちにも聞こえてるのよ。ポトフでいいんじゃないかしら。」
「ぐそうだね、僕もそれには賛成だ。けどね何だか、「あ」でも、「い」でも何を言っても答えてくるしほっといていいんじゃないかな。」
「ぐちょと待ちいな、分かるかの。名前が適当ということは、もしかしたらみんなに聞こえてるのではないんかい。」

「ぐ、てえとな、おめえらと言葉が違うから探り探りってことよう。」
「げなるほどね、ロップさん。つまり、何か本当に伝えたい内容があるってことね。」
「げでも、そうすると、僕、声でないんだけど。」
「げなら、早く伝えたほうがいいわね。」

-ちょっとあんた-
-何かあるのですか-

-何か話したいの?-
-私がですか-

-そうよ-
-はい-

-何を話したいのよ?-
-私がですか-

-だからそうだって言ってるのよ-
-はい-

-?-
-聞こえるか-

-何よ-
-分かるか-

-そうだったわね、聞こえるわ-
-SOS、分かるか-

-SOS!!分かるわよ-
-SOS!!助けて-


「げライアンちゃん、SOSだったわ。」
「ぐスノーさん、SOSでしたか。」


如何やら、われわれまずいことになったみたいです。
いま思うと教会さんと、ルボータン王国の皇帝は良いことを言ってくださったんだなと思います。
でもこれ、本当に大変で、どうしようか、ライアンさんについてきて初めて不安になったのです。