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ソーティング会社の話
市民権の話

ソーティング会社の話

 

ソーティング会社というのをご存知でしょうか。アメリカには、歴然とこのような会社が今、急成長を遂げています。特に私の場合には、車の部品メーカーにおりましたので、特別かも知れませんが、今では、この類の会社はどの業種にもあるようです。何をする会社かといえば、名目は、品質検査を代行する会社なのですが、その実態は、たとえば、車の部品の場合には、GMとか、フォード、さらには、クライスラーなどのメーカーに入れる部品の検査をする会社です。しかも、その名のとおり、選別をする会社です。もともとは、こうしたメーカーの受け入れ検査をしていた部門の人たちが、別会社を作り、これらの会社に入れる部品の不具合を検査しているのです。検査と言っても不良品の選別です。

 納入部品で、品質の不具合がありますと、全量選別を言いつけられます。ところが、アメリカの場合には遠距離納入があたりまえですから、部品メーカーはすぐに選別に飛んでいくことができません。そこで、その近くにある選別会社に選別を依頼するわけです。そして、一品、一品、実に丁寧な検査と選別をしてくれるわけですが、そのコストが実に高くつきます。なにしろ、もともとが一流メーカーに勤務していた人たちですから、サラリーがとても高いのです。選別という作業を特種な技能のように位置づけしているのです。そして、問題のあった項目を検査するのですが、それが、終わるときに検査の結果を報告すると同時に、この検査の間に、全く関係のない不具合を発見し、それを、報告書にまとめて、メーカーに提出します。不良があれば、これを見逃すわけには行きません。たとえ基準がなくても、彼等の基準で不具合と判定されれば、また、その項目で、全量選別が実施されます。もちろん、その費用は、部品メーカーが持つわけです。こうして、次々に、選別の作業が生まれ、延々と続くわけです。部品のコストには、この費用など入っていませんから、これをやられると部品メーカーの収益は一辺に吹き飛んでしまいます。さらに、悪いことには、受け入れ検査だけでは、不十分だと判断すると、今度は、出荷検査に入ります。高級ホテルに泊まり、わざわざ遠方まで高い費用で出かけてきます。そして、検査、選別、をすべて、部品メーカーの費用で実施するのです。というわけで、部品メーカー、特に、日本の部品メーカーをターゲットにして、こうした会社が急成長を遂げているというわけです。

 アメリカでのビジネスにはなかなか厳しいものがあります。

 

 市民権の話

 外国人がアメリカで働いて、サラリーをもらうには、ビザが必要です。一般にはワーキングビザが必要ですが、これには、二種類のものがあります。H-1ビザとE-ビザです。

H-1ビザは、アメリカ人にはない特種な技能を持ったひと、専門職としてアメリカに技術をもたらしてくれる人に与えられるもので、期限は3年です。一回の更新が可能ですから、都合6年は、このビザでアメリカで働くことが出来ます。一方、E-ビザの場合には、一般的には、会社の経営者とか、あるいは、投資家のように、アメリカに資金を持ち込んでくれる人にあたえられ、5年の有効期間と、一年ごとの延長が可能です。

 最近、アメリカの失業率が増加し、H-1ビザの発給が極端に制限されています。一時は、毎年、日本人に6万人くらいの枠があったそうですが、今では、数千人に制限されているそうです。しかも、この申請が、ある人数に達すると締め切られてしまい、その期間は、僅か、2 3日だけという厳しいものだそうです。これだけでも時間的にとても手に入れにくいものなのですが、じつは、この申請には、アメリカで働くためのうけ入れ企業の雇用保証がないと、申請できないのです。ところが、企業のほうでは、H-1ビザを持っていることを、雇用の条件としているところが殆どですから、これでは、H-1ビザの申請はできないということになります。ですから、余程の準備をしないとH-1ビザは取れないということになります。アメリカの大学を卒業しますと、一年間のインターン制度があり、留学生のまま、企業で一年間働くことが出来ます。この間に、企業にお願いして、雇用の保証をしてもらい、極めて短い間にH-1の申請をします。この申請には弁護士に申請書を作成してもらう必要がありますが、その弁護士費用は決して安いものではありません。と言うわけで、この方法も苦学生には無理な話です。こんな状況ですので、アメリカに留学した学生が、実際に就職するには非常に難しい条件だと考えてください。

では、企業に勤めているひとはどうなるでしょうか。

 日本の企業の従業員の場合、E-ビザを取得しているケースが多いようです。しかし、このE-ビザは、企業のかなりうえの役職のひとでないと許可されないはずです。そこで、各社は、E-ビザ申請中ということで、アメリカで働いています。ビザはないのですが、申請中ということで働くことは出来ます。

 こうして、H-1ビザも、E-ビザ申請中でも、数年の滞在、つまり、アメリカにそれ相当

税金をはらったということになりますが、そうなると、グリーンカードの申請が出来ます。グリーンカードは、アメリカでどこでも働くことが出来る、半市民権です。選挙権はありません。しかし、会社に束縛されないものですから、アメリカで自由に転職できます。このグリーンカードは抽選でも取得することができますが、それは宝クジのようなものです。ですから、アメリカの移民局にグリーンカードを申請して、延々とその許可を待っている人たちが沢山います。勿論、H-1ビザでも、その内容により、すぐにでもグリーンカードが取得できるのですが、通常の申請では、その取得は非常に難しい問題です。

 グリーンカードを取得するか、或いは、E-ビザで、さらには、E-ビザの申請中ということで、都合10年間アメリカで税金を納めると、市民権が得られます。勿論、兵役に服してなどという特種なケースもありますが、この十年間を正規の形で税金を納めるということがアメリカ人となる最低の条件です。

 アメリカに単身渡り、一旗揚げようというのであれば、一番の近道は、特種な技能を身につけることだと思います。アメリカで認められる特種な技能ということになれば、とにかく、ドクターをとることではないでしょうか。これは、万人の認めるオーソライズされたものですから、アメリカでも十分通用します。

 アメリカに語学留学し、バイリンガルになれば何とかなるというのは、全くもって甘い考えです。バイリンガルなどアメリカでは、なんの魅力もないことです。アメリカに語学留学し、英語は話せようになったけれど、就職できない若者が、アメリカには、沢山おります。彼等に必要なことは、特殊な技能をもつことなのですが、それには、もう一度、日本で大学に入って勉強することが必要なのではないでしょうか。