鯨の共同社会とは

クジラの共同社会はどうなっているの

クジラの生態は生活場所が海洋や沖合いのためあまりよく判っていません。
しかし最近は沿岸に近づくザトウクジラ・コククジラ・シャチ等の数種類で研究がされています。

種類 項目 内容
マッコウクジラ 主にマッコウクジラはメス社会です メスと子供の10〜20頭の群れを作り、共同で子育て、交代で餌を捕り、シャチや大型サメから群れを守っています。
オス社会は3系統群です。 オスは10歳で群れから離れ、小型独身群・中型独身群の独身雄集団を作り、27歳まで繁殖に参加しません。
大型に成長すると単独大型オスとして短期間のハレム・マスターとなりメス社会に参加します。
オスの闘争 オス同士がメス獲得のためアゴ・歯を使って闘争します。大きくて強いオスが群れに参加します。
繁殖育児群 1〜2頭のオスと複数のメスと子どもの短期間のハーレム・繁殖育児群を作ります。
ハレムというと酒池肉林を想像しますがマッコウクジラは交尾が済むとすぐに数日で群れを去ります。
群れとしては「子どもをつれたメスの群れ」・「10〜26歳のオスの群れ」・「離れマッコウの単独おとな」です。
共同子育て メス社会では共同で子育てをします。
出産の手伝い 出産時に子供の呼吸の手伝いをしたり、血の匂いに集まるサメ等の外敵からも親子を守ったりします。
授乳 交代で食事中は母親同士がお互いに相手の子供に授乳したり、他でもたすけあうとのことです。
弱ったクジラの救助 他のクジラを助けたり、捕鯨船が打ち取ったクジラに沢山集まってきます。
外敵の防御 シャチに対し肩を並べる隊形、円陣を組んで強靭なアゴや尾で防御します。花形隊形も見られます。
コミニュケーション音 クジラ同士の会話・連絡・合図は主に音(クリック音)を出してコミニュケーションをとっています。
ハンドウイルカ 沿岸域での共同捕獲 アメリカ東海岸では5〜6頭で共同して、ボラの群れを浜に追いたて、自ら浜に乗り上げて捕食します
小魚漁 共同で効率よく小魚の漁をします。
同性共同 オス同士が長い期間一緒に過ごすため、メス獲得にお互いに協力しあいます。人間では問題になる集団レイプです。
シャチ レジデント (定住するもの)residennt。主に魚食です。レジデントとトランジェントのシャチがいます。
トランジェント (移動性のもの)transient。主に海生哺乳類を食べる移動性のシャチです。
家族群(ポッド) 群れは家族で構成され「ポッド」といわれています。
重層構造をもつ社会 母子を中心にした家族群(サブポット)がいくつか集まってポッド(拡大家族群)を構成します。
スーパー・ポッド(ポッドの集まり) 100頭を越える群れる「スーパー・ポッド」もあり、別ポッドのオスメスの出会うチャンスが生まれます。
近親の交配を避けるのに役立っています。
ジャイアント・ポッド 特に大きい群れをジャイアント・ポッド「大群」ともいいます。
共同捕獲大きいサケの捕獲・ニシン・オタリヤも数頭共同で捕獲します。
数頭共同でニシンを濃密な塊に集めて尾びれで強くたたき失神させて1匹づつ捉え食べます。
アラスカでは音波のビームでサケを気絶させて捕らえています。
シャチ群は共同でイルカの大群を真ん中に集めて1頭ずつ交代で襲いかかり捕らえます。
コククジラ・ザトウクジラの子供を共同で捕獲する場面をテレビで放映していました。
アルゼンチンではオタリヤを岸に追って捕らえますが、子供にも教えます。
ベビーシッター シャチは若いメスが幼い子の面倒をみます。メスどうしが餌を捕るために交代で子守りします。
ベビーシッティングとも云われます。
遊び 数頭で遊んでいたり、とった餌を数頭でゲーム的に渡しあったりもします。
声の伝統 シャチ同士の会話・連絡方法は独自の声のレパートリーを持つ、同じ声のポッド構成員に受け継がれていきます。
ザトウクジラ バブルネット(単・集団) 1頭又は数頭が泡を口から出してニシンやシシャモを泡の網で包囲・集め一気に呑み込みます。
泡は単独では直径4b、集団では20〜30bの大きい輪になリます。
リーダーの指揮 集団摂餌ではリーダーの合図で潜水、高く早まる音の合図で浮上一気に捕食します。
若いクジラは集団には参加できず、付近で傍観しています。共同での捕食が難しいからとのことです。
バブルネット・フィーディング 泡=バブルの網をバブルネットといいます。この摂餌方法をバブルネット・フィーディングといいます
数頭のザトウクジラが大きい口をあけてガマガエルのように腹を膨らませてニシンを順次食べます。最近はテレビでもよく見れる場面です。
歌をうたう 群れの連絡は「ソーシャル・サウンド」、採食行動時の会話は「フィーディング・コール」とも云われます。
ザトウクジラは恋の歌をうたうと云われます。
ブリーチング(跳躍) 仲間、メスに対して跳躍します。このジャンプは態度で示すコミニュケーションとも云われています。
オス同士2頭の威嚇しあい ブリーチング(跳躍)はオス同士のメス獲得の威嚇しあいにも使います。
母子を守るようにエスコートするオス オスは親子を守って遊泳するのがよく見られます。
ナガスクジラ バブルネット(2頭) ザトウクジラのバブルネットは有名ですがナガスクジラもバブルネット・フィーディングします。
ニタリクジラ バブルネット(単独) ニタリクジラもバブルネット・フィーディングしますが共同場面はないようです。
セミクジラ 交尾時のオス同士の協力 セミクジラの場合は1頭のメスを数頭のオスが協力して交尾させる場合があリます。これもレイプかな?。
跳躍 セミクジラ同士のコミニュケーションとして跳躍が見られます。
音のコミニュケーション 音による個体同士の長距離コミニュケーションがあります。海面上下の潮吹き音によるコミニュケーションもあります。
共同捕獲 2頭のうち1頭がいつも斜め5メートル後で採食するのが観察されています。
精子戦争 セミクジラはオス同士がメスをめぐって争うことはありません。
乱婚のため精子が多いオスが他のオスの精子を数で圧倒し、卵子を求めての競争に勝つようです。
ホッキョククジラ 共同捕獲 ホッキョククジラも2〜14頭が隊列を組んで捕食します。
軍艦や戦闘機のような梯形(テイケイ)編隊を組んで採食するのが観察されています。
ハラジロカマイルカ 共同捕獲 共同でボラの群れを囲い込み、ふいに割り込んで1匹ずつ捕らえます。
タイセイヨウマダライルカ メスの集まり 育児中はお互いに交代で食事します。
クリック音で砂中の小魚を気絶させて捕食します。
雄の群れ 同性同世代で集まリ共同ですごすようです。
コビレゴンドウ 育児 繁殖年齢が過ぎたメスが同じ群れの幼い子供の育児・授乳の役割を持つようです。
ハラジロカマイルカ 同性愛 若いオス同士。社会的に地位が低く、体が小さくてメスに接近できない為にオス同士の同性愛があります。
バンドウイルカ 同性愛 若いオス同士。社会的に地位が低く、体が小さくてメスに接近できない為にオス同士の同性愛があります。
ハシナガイルカ 同性愛 若いオス同士。社会的に地位が低く、体が小さくてメスに接近できない為にオス同士の同性愛があります。


鯨の社会性と群れの数
通常ヒゲクジラは群れも小さく、社会性は薄いようです。多夫一妻、夫婦関係は乱婚です。
ハクジラは群れをつくり社会性が強く一夫多妻です。共同社会・生活をします。

種類 名前 名前の由来 体長 群れの大きさ
ヒゲクジラ類 セミクジラ類 ホッキョククジラ 北極海のクジラ 19m< 3頭あるいはそれ以下。回遊期・摂餌期には大きい集団になることが多い
セミクジラ 背中が美しい背美クジラ 17< 12頭以下、単独か2頭連れが多い。回遊期・摂餌期には大きい集団になることが多い
コセミクジラ コセミクジラ 小型のセミクジラ 6.5 8頭までの群れ、単独〜2頭が多い。他のクジラやイルカともいる
コククジラ コククジラ 児(小)クジラ 15 3頭以下。回遊期・摂餌期には16頭の群れ
ナガスクジラ類 シロナガスクジラ 白い長い須(うね) 31 単独〜2頭が多い。繁殖海域では10頭前後かそれ以上
ナガスクジラ 長い須(うね) 26 やや社会性があり2〜7頭。回遊期・摂餌期にはあるいはそれ以上
イワシクジラ イワシを食べるetc 18.3 2〜5頭
ニタリグジラ ナガスに似ている(似たり) 15.6 単独〜2頭連れが多い。回遊期・摂餌期には10〜20頭のグループ
ミンククジラ マインケさんの獲ったクジラ 10.7 単独、2〜3頭が多い。回遊期・摂餌期には数百頭
ザトウクジラ 盲目の琵琶法師の後姿に似ている 18 単独、2〜3頭連れが多い。回遊期・摂餌期にはより大きな群れをつくる
ハクジラ類 マッコウクジラ マッコウクジラ 竜涎香の香り=抹香 20.5 50頭以下の中程度から大きい群れを作る
コマッコウ コマッコウ 小さなマッコウ 3.3 5〜6頭以下で発見
オガワコマッコウ クジラ研究者小川氏の名 2.7 5頭以下が多い。最大10頭
イッカク イッカク 一本の歯が(一)角に見える 4.7 2〜10頭の群れ。数百〜数千か大きく散開し群れの一部である
シロイルカ 体が白いイルカ 5.5 15頭以下のグループが多い。時に数千頭の群れも発見。
カワゴンドウ カワゴンドウ 河・浅海にいるため 2.75 6頭以下。15頭まで観察。
アカボウクジラ類 ツチクジラ 藁をたたくツチに頭部が似る 12.8 5〜20頭。時に50頭に及ぶグループもある。
ミナミツチクジラ 南のツチクジラ 9.75 6〜10頭。80頭の群も見られた
アカボウクジラ 赤ん坊の顔に似ている 7.5< 1頭、2〜7頭の小さいグループ
キタトックリクジラ 頭がトックリ状のクジラ 9.8 たいていは4頭。時に20頭。
ミナミトックリクジラ 頭がトックリ状のクジラ 7.45 10頭以下が普通。時に25頭以上も見られた
オオギハクジラ 歯の形が平たく扇に似ている 5.25 5〜15頭の群れ
ニュージランドオオギハクジラ 歯が扇に似ている 4.43 たいてい2頭連れ。
ミナミオオギハクジラ 歯が平たくイチョウの葉に似ている 5.64 1頭〜2頭の目撃が多い。28頭のマス・ストランディングもあった
ヨーロッパオオギハクジラ 歯が扇に似ている 5.5 1頭〜2頭のストランディング記録
ヒモハクジラ 歯がヒモ状 6.15 3頭まで観察。
コブハクジラ こぶ状の顎と歯 4.73 3〜7頭程度の記録。1頭〜2頭連れが多い。
マイルカ シャチ シャチホコのシャチ=グランパス 9.75 1〜55頭
オキゴンドウ 沖にいる頭が大(巨)きいクジラ 5.96 10〜60頭が多い。より多くもある。
ユメゴンドウ 実在が定かでなく夢みたいだった 2.6 数百頭。普通50頭以下。
カズハゴンドウ 歯の数が多い 2.75 普段100〜500頭。最大2000頭。
ヒレナガゴンドウ 胸ヒレが長い 6.3 高度な社会性。20〜100頭。千頭以上もある。
コビレゴンドウ 胸ヒレが小さく短い 7.2 数百。多種と遊泳。社会性が強い
マイルカ 真(マ)のイルカ 2.6 数十頭〜一万頭。
シナウスイロイルカ 体色が薄い 2.8 10頭以下。たまに30頭。
アフリカウスイロイルカ 体色が薄い 2.8 大体5〜7頭。ときに25頭もある。
シナウスイロイルカ 体色が薄い 2.8 10頭以下が多い。30頭もある。
シワハイルカ 歯にシワがある 2.8 10〜20頭が多い。100頭を越える場合ある。
コビトイルカ 身体が小さい 1.9 河川20頭あるいは海50頭。多くは4頭以下。
ハンドウイルカ 中途半端(半道)なイルカ 1.9 普通20頭以下。数百頭の発見あり。
スジイルカ 筋模様のあるイルカ 2.6 多くは100〜500頭。ときに数千頭。
ハシナガイルカ クチバシが長い 2.16 50頭以下〜数千頭。
クライメンイルカ ギリシャ神話の娘Clymeneから 2 普通50頭以下。
マダライルカ 斑のあるイルカ 2.57 通暁百頭以下。外洋では数千頭あり。
タイセイヨウマダライルカ 斑のあるイルカ 2.3 普通50頭以下。
ハナシロイルカ 鼻が白い 3 50頭以下。数百頭の観察例もある。
タイセイヨウカマイルカ 背びれが鎌状 2.8 数百頭の観察もある
カマイルカ 背びれが鎌状 2.5 数百〜数千頭。多種との混合群も作る。
ハラジロカマイルカ 腹が白い 2.1 普通20〜500頭。時に千頭以上も。
ミナミカマイルカ 背びれが鎌状 2.16 5〜30頭。
ダンダラカマイルカ 体色の段だら 1.83 普通1〜6頭。40頭の発見もある。
サラワクイルカ 地名 2.65 数百〜数千頭。多種との混合群も作る。
コシャチイルカ 小さいシャチに似た体色 1.7 10頭以下。2〜3頭連れが殆ど。
ハラジロイルカ 腹が白い 1.7 2〜15頭。400頭の大群もある。
セッパリイルカ 背が膨らんだ 1.5 2〜8頭。50頭もある。
イロワケイルカ 白と黒の色分け=パンダ模様 1.75 10頭以下。たまに100頭を越える。
セミイルカ 背びれがなくセミクジラ状 3.1 100〜200頭。3000頭もある。
シロハラセミイルカ 背びれがない腹が白いセミ 3 1,000頭以上。
ハナゴンドウ 体色が灰色で花状 3.3 群れは大きくないが4000頭の報告あり。
ネズミイルカ類 ネズミイルカ 体色がネズミ色 1.7 8頭以下の小さい群れ。
コガシラネズミイルカ 小さい頭のネズミ色のイルカ 1.5 群れは小さい。情報不足。
メガネイルカ 目の周囲が白く縁取られている 2.2 1〜2頭。
コハリイルカ 背びれに多数の硬い突起がある 1.85 6頭以下の目視。70頭まである。
スナメリ 砂滑と書くが由来不明 1.9 2〜12頭まで。50頭もある
イシイルカ 由来不明 2.2 普通2〜12頭。群れは小さい。
カワイルカ類 ガンジス(インド)カワイルカ 河にいるイルカ 2.5 10頭以下。1〜2頭が普通。
インダスカワイルカ 河にいるイルカ 2.5 単独か小さい群れがおおい。30頭の閑散とした群れ。
アマゾンカワイルカ 河にいるイルカ 2.6 12〜15頭。普通単独かごく小さい群れ。
ヨウスコウカワイルカ 河にいるイルカ 2.5< 13頭までの群れ。普通2〜6頭。
ラプラタカワイルカ 河にいるイルカ 1.74 5頭以下が多い。最大10頭