中国のミネラルウォーター

  中国では、ミネラルウオーターが急速に普及して、ペットボトルの水が売れれていた。今回中国旅行で、普通の家庭や事務所を訪れる機会があったのだが、その多くの場所に、ミネラルウォーターの20リットル程の大きなボトルがあった。そのボトルは特別の台の上に逆さに備え付けられていて、下にある台の蛇口をひねると、水が出てくる様になっている。蛇口は二つ有り、もう一つからはお湯が出る様になっていた。この商品を見たときに、これこそ中国の環境にぴったりな商品だと思った。

  中国の水道の水はかなり悪い。当然生水は飲めない。だからミネラルウォーターが必需品になったのだが、ミネラルウォーターを売るだけでなく、その大きなボトルから水を取り出す装置まで一緒に開発したわけである。20リットルのボトルというと、特別な装置が無いと取り出すのが大変である。そして更にそのボトルの配達システムまでがセットになって普及した。昔の日本で言えば、米屋や酒屋の配達のようなものだが、以前の中国にはこのようなサービスはなかった。プロパンガスを買うのにも、自分でガスのボンベを運んで行って、詰めてもらい、それを6階のアパートの部屋まで自分で担ぎ上げていたのである。

  それが今は開放経済になり、日本と同じように種々のサービスが金になる世の中となって、便利になってきた。ハッキリ言えば資本主義経済であるが、ここ中国ではそうは言わないで、「特色有る社会主義」とか言っている。しかし実態は日本と同じように広告が氾濫している資本主義社会である。競争も激しい。べたべたと汚く張られた広告によると、この20リットル近くのボトルは各種の銘柄があり、7元から20元(300円近く)までの種類があった。そしてこの大きなボトルを6階のアパートでも配達してくれるとの事である。ここでは6階までのアパートにはエレベータが無い。

  一番高い20元の水は、「ワハハ」とう名前で、これは全国的に有名なブランドである。このブランドの小さいボトルを、砂漠の中の辺鄙な村で見た時は、こんなところまで普及しているのだと何だかビックリした。何故ビックリしたかと言うと、中国にはビールでさえも全国的に普及しているブランドは極めて少ないのである。

  水の種類には天然ミネラルウォーターと、普通の水を濾過した純水と言われるものがある。天然ミネラルウォーターの方が高かった。ある天然ミネラルウォーターのメーカーが、純水は水の中に有る有用なミネラルまで取ってしまうので、体に悪いと広告を出したので裁判沙汰になっていた。

  兎に角20リットルの水の大瓶は、各家庭に普及し、一部のホテルの部屋にも置いてあったので、中国名物の魔法瓶にお湯を貯めておく習慣も、そのうち無くなるかもしれない。