ロバの肉を食べる

  北京では朝食を外で食べる人が結構多い。子供でも外で食事をしてから小学校に行く子もいる。その場合の食事はチャンとした食堂というより、道端の露天の店で、お粥やねじり揚げパン、肉まん等を食べるようである。私も朝にはスーパーでハンバーガーを買ってきて食べたり、露天の肉まんを買って食べた。北京郊外の新興住宅地に、新しく出来たスーパーと昔ながらの露天の店が隣あっているのが中国らしい。

  露天の店は野菜などを売っている自由市場に多い。そこでパンのような物に、薄切りの茹でた肉を挟んで売っている店があった。それを食べに店に入ったのだが、その肉がロバの肉でるのには気が付かなかった。店の前を通る小父さんが、これは本物の肉かなどと聞いているようである。そうすると店のほうの親父さんもほれこのとおりと、茹でた塊の肉を見せていた。それでこれは変わった肉なのかなと思ってよく見ると、ピンク色をした肉であった。味は豚でもなく牛でもない味で、結構美味い味であったのでもう一個注文した。店を出て看板を見てみたら、名物ロバ肉と書かれていた。

  実は前々からロバの肉は食べたいと考えていたのである。たまに驢肉館などと書かれた店も見たことがあるし、食堂の広告に「天上龍肉、地上驢肉」と書かれているのを見たことがある。書かれていた文字の記憶は正確ではないが、意味は天界で最高に美味い肉は龍の肉であり、この世で食べられる最も美味い肉はロバの肉であると言うことらしい。龍の肉と比較されるほど美味いと言うことである。

  パンに挟んで食べるというと、ホットドックの様であるが、ホットドックではない。粉っぽいパンのようなものに挟んで食べる物で、西安の辺りの名物であるらしい。パンの部分は中国では餅と言われるものである。この餅の部分は小麦粉で出来ているので、日本の餅よりパンに近いものである。パンの部分はパサパサしていてあまり美味くなかったが、ロバの肉の方は美味かった。ロバ肉は西安の辺りでもう一度食べた。

  ちなみにホットドックは中国語では熱狗と書くが、新しく出来た言葉である。狗は犬のことである。ファーストフード店に入って、熱狗の字を見て何だろうと暫く考えたが、回りで食べているものを見てようやく理解できた。それでも私の様に犬を食べたことがあり、狗が犬の事であることを知っていないと、解らなかったかもしれない。中国で狗は何回も食べたことがあるが、ロバ肉は始めてであった。その後、シャングリラではヤクの肉も食べた。