2月5日 マウイ島、カフルイ

今日は乗船して4日目、マウイ島で2日目。  
本船は18時にマウイ島、カフルイを出港して、翌朝7時にハワイ島のコナに入港する。個人で島内観光に出かけ、本船の出港時間までに戻らないと本船は構わず出航してしまう。

したがって、我々は前日にラ ハイナの自由旅行をして、今 日は本船手配のマウイ植物園・イアオ渓谷観光のツアーに参加した。このツアーが時間をとり、本船出港までに戻れない場合、本船はツアー客の帰りを待つことになっているので安心。置き去りにされる事はない。朝食をデッキ11のアロハ・カフェーでビュッフェスタイルの朝食をとる。

 

大勢の乗船客が思い思いの料理をテーブルに運び、朝食をとる。朝食後、デッ キ11からエレベーターでデッキ3に下り、セーフティーチェックを受けて船 を出て、島内観光用にバスが待つ待合室に行く。今日はマウイ植物園を訪れた 後、イアオ渓谷に行く。天候は晴れ。日差しがまぶしい。  

埠頭の広場にはすでに各方面に出かけるツアーバスが何台も駐車していた。わ れわれの今日の予定は9時に埠頭を出発し、マウイ・トロピカル・植物園を訪ね、その後、イアオ渓谷を散策する約3時間のツアーである。今回も50人乗 りの大型バスは満席。日本人はわれわれ以外に2組の老カップルのみ。今日の バスドライバー兼ガイドは少し若い男。癖のある甘ったるい声で「アローハ〜」。バスは動き出した。  
埠頭から町を抜け、海岸線に沿って40分ほど走り、やがてサトウキビ畑などの田園地帯を行くと、「Maui Tropical Plantation」という観光用植物園内に入る。われわれのバスはTropical PlantationCountry Storeの正面入り口に着き、乗客はここで降りる。Country Storeにはいろいろなみやげ物が並べられていて、訪問客は植物園見学より、みやげ物物色のほうが忙しい。

この建屋を抜けると正面に「Lagoon」と呼ばれる大きな池があり、周囲には色とりどりの花が咲いている。池のほとりを行き、「Tropical Express Station と案内され、駅の看板には「Tour Station」とある。すごい名前であるが、 ここからトロッコ列車に乗って園内を見て回る。

 

 

ここで、奇遇にも、昨日、ラハイナでお世話になった「風」のツアーガイドの Naomiさんに会った。今日はお客さんをイオア渓谷に案内してこの植物園に来たとのこと。イアオ渓谷は激しい雨だったと知らされ、われわれはこれから行くと言ったら心配してくれた。とても親切でやさしい女性であった。昨日お世 話になったことに改めて御礼を述べた。  

Tour station前のコテージでコーヒーを試飲し、駅でパイナップルの試食をし、到着したトロッコ列車に乗り込む。  
トロッコ列車の運転手兼ガイドの女性が園内をゆっくり走りながら、園内の植物について説明する。葦かススキの野原のようにうっそうとしたサトウキビ畑の中を走る。ココナッツの林を抜けるとここは一面の花畑。プルメイア(Plumeia)、レッドジンジャー(Red Ginger)が咲く畑の前でトロッコを降りる。

   

 

ここでこれから椰子の実の皮むきのデモンストレーションが始まる。椰子の木の林の広場にステージがあり、ここに案内役の体格がよいポリネシア系の女性が慣れた手つきで固い椰子の皮をむき始め、みるみる内に皮から実を取り出し、これをきれいに二つに割り、白い液体、椰子のジュースを取り出した。熟練の技もさることながら、相当の力持ちでなければこの皮むきは無理だろう。

  このデモンストレーションが終わり、再び、トロッコに乗り込み、園内をめぐる。コーヒー畑を過ぎ、パパイヤの林を抜け、幹の幅が2メートル近くもあるバナナが植えられた畑を過ぎ、アボガド、マンゴー、グアバ(Guava, オレンジジュースより5倍のビタミンCを含むとのこと)、マカダミア・ナッツの林を抜けるとLagoonが見え、園内見学は終了。

 

Lagoon脇の広場ではテーブル、椅子を置き、なにやらパーティーの様子。正装した若いカップルがいる。結婚式か、結婚披露パーティーだろうか。  

 Country Store前から再びバスに取り込む。

いくつか小さな村を抜け、やがて、山道に入る。うっそうとした樹木は生い茂り、今までの景色とかなり異なる。南国の密林のように薄暗く、じめじめした感じである。雨が降り始めた。それもかなり大粒の雨。途中、中国、韓国、日本などの寺院を模した建物が建つ広場を過ぎると本格的な雨。バスのガラス窓を激しく打つ大粒の雨。このあたりは雨が多い地帯である。ナオミさんが言っていたとおりになった。  

イアオ渓谷の入り口に着いた。バスのドライバー兼ガイド氏はバスの前列に座っている超デブの客に「この雨では見学は無理。引き返しましょう」と同意を求める。他の客は返事をしない。ガイド氏はさっさと引き返し始めた。 「雨でも見学した〜い」と喉まででかかったがやめた。

イアオ渓谷は訪れたい場所の一つであった。キラウエア火山も雨、そして、今日のイアオ渓谷も雨。不運としか言いようがない。残念!お陰でイアオ渓谷周辺の写真が一枚も撮れなかった。  

イアオ渓谷についてハワイに言い伝えられた伝説・歴史がある。 イアオ渓谷はマウイ島の西側に位置するイアオ渓谷州立公園。海から多量の水蒸気を含んだ空気がこの渓谷で昇気流となって吹きあがり、この渓谷に多量の雨が降る。したがってこのあたりはうっそうとした熱帯樹が繁茂し、神秘的な霊気さえ感ずるところ。かつて、作家マーク・トゥエインが「太平洋のヨセミテ」と讃えた。イアオ渓谷には、先がとがっている奇岩、「イアオ・ニードル」と呼ばれる岩が観光スポット。
「イアオ・ニードル(針)」は文字通り、天に向かって針のように細く伸びている岩。

・イアオ・ニードルの悲しい伝説
昔、この男にかかれば出来ないことはないと言われた力自慢の神、「マウイ」がいた。マウイには、イアオという娘がおり、そのイアオは成長するにつれ誰もが振り返るほど美しくなっていった。そんな一粒種のイアオがかわいくて仕方ないマウイは、幼い頃から娘のイアオに「ハワイの島々の中で一番の富を持つ立派な王としか結婚を認めない」と心に決めていた。年頃になったイアオは、半漁人の神、「プウオカモア」と恋に落ちてしまった。二人は、マウイの目を盗み、隠れてこっそりと会う日々を繰り返した。ところが、ある日、いつものように人目を盗んで会っているところを町の人に見られ、父親のマウイに伝わった。
 

二人の密会を知ったマウイは、怒り狂い、その怒りの叫びは火山の女神、ペレのところまでも響き渡るほどだった。その叫びを聞いて驚いたペレは、マウイのもとへ飛んでいき、事情を聞くと、マウイは愛娘のイアオがプウオカモアと会っていること。そして二人が二度と会えないようにプウオカモアを殺すとを話した。すると、ペレは、「マウイよ、プウオカモアは私の友人。どうか命だけは助けてやってくれないか?」とマウイを説得。

しかし、マウイの怒りは収まらず全く聞き入れない。そんなペレとマウイのやり取りを帰宅したイアオが偶然聞いてしまう。ペレと一緒にマウイの怒りを静めようとする。

「お父様、どうかあの人の命だけはお助けください。私はあの人なしには生きていけません」と、イアオが涙を流してプウオカモアを殺さないように頼むと、娘が号泣し、恋人の命乞いをする姿を見て不憫に思ったマウイは「よかろう。そうしたら、あの者の命だけは助けてやろう。お前を悲しませたくないからな。」と言う。

イアオは、父親のマウイに抱きつき、礼を言う。「あぁ、お父様、ありがとうございます」。イアオが喜んだのも、つかの間、「しかし、お前たちの恋路を許すわけにはいかん。あいつを岩に変えてやる。そうすればお前はその岩を見てあいつを思い出すことができるだろう」とマウイは言い放つと、次の瞬間プウオカモアを岩に変えてしまった。そして、その岩は、いつしか「イアオ・ニードル」と呼ばれるようになった。

イアオ渓谷は美しい渓谷であると同時にハワイ王朝時代に歴史上大きな事件が起きた戦場でもあった。かつてこの美しい渓谷を流れる小川も戦士たちの血で真っ赤にそまったこともあった。

1790年、ハワイ諸島を自らの配下に治めようとしたカメハメハ大王一世は、カフルイ湾から海軍を攻め込ませ、東マウイを陥落しようと試みた。その際、カヘキリ王の息子、カラニクプレが率いるマウイ軍をイアオ渓谷まで、カメハメハ大王軍が追い詰め、このイアオ渓谷で最後の決戦が繰り広げられた。

渓谷には、必死に戦う戦士たちの叫びがこだまし、その戦いの結果、カメハメハ大王軍が勝利を治めた。そして、同時に、両軍から多くの兵隊たちが犠牲になった。無数の戦死者の死体は渓谷に流れる小川の流れをせきとめ、小川の水は血の色に染まっていった。このことから、この戦争はハワイ語で「ケパニワイ」、つまり「せき止められし水」と呼ばれるようになった。

この戦争は、カメハメハ大王が領土拡大のために行った戦争の歴史の中で、最も辛い悲惨なものとして現在も語り継がれている。  

・渓谷のどこかに古代ハワイアンが眠る場所

カメハメハ大王に侵略されるずっと前、ハワイアンの人々はこの渓谷を神聖な場所と考え、王や酋長の骨を誰にも見つからないように渓谷の中にある洞窟に隠していた。古代のハワイアンたちは、遺骨には特別なエネルギー、「マナ」が宿っていると信じており、一般の庶民でも遺骨を掘り起こしたりされないように秘密の場所へ埋葬していた。王や酋長にいたっては、死んだ後にその遺骨を粗雑に扱われることがあった場合、その地域全体が侮辱されるとし、一般民衆よりももっと慎重に埋葬した。その埋葬場所の一つがこのイアオ渓谷で、実際に何百人もの酋長が眠っていると言われている。  

19世紀にハワイの歴史を研究していたサミュエル・マナイアカラニ・カマカウ 氏の調査結果によると、一番最後にイアオ渓谷の洞窟に埋葬されたのは、1736年に亡くなった酋長、カラニクイホノイカモクだそうで、その洞窟の入り口を知る者は今では誰もいないため真相は闇の中。  

イアオ渓谷入口で即Uターンしたバスは予定時間より早くの帰還となる。帰路にラン植物園に寄り、そしてマカダミア・ナッツ工場の土産物売場でたっぷり時間をとる。今日は工場が休みなのか見学は出来ない。われわれは売店でナッツ・チョコなど土産に少し買い求めた。  

朝はあれほど天気がよかったのに今は雨。しかも、冷たい雨、大降。2月のハワイは雨期で雨が多いとのこと。でも一日中雨ということは無いと言われていたが、今年の天候はおかしい。雨の中をいつものように厳重なチェックを受けて本船に戻る。  

ビュッフェスタイルのアロハ・カフェで昼食を済ませた。船に乗り込んでから、食べるものに気をつけているがいつもに比較し、摂取するカロリーが多い。それに運動量が少ない。

夕食まで時間があるので、デッキ12にあるFitness Centerでストレッチ体操をして、体をほぐし、ウオーキングマシーンで速歩を行った。広いセンター内には数人が運動をしている。

みな、スリムな体形だ。アザラシのような体形の人は、プールサイドのデッキチェアーで甲羅干しが大体のパターン。  

今夜はフォーマル・ナイトでデッキ5にあるキャピタルアトリウムでキャプテンと記念写真を撮ることになっている。乗船客はいつものラフな服装から今日はどことなくフォーマルな雰囲気。夕食はリバティー・レストランでとる。  

  4人以下の少人数ではテーブルの予約が出来ないルールで、レストランの入り口で並ぶことになる。デッキ6のレストランに行く。数組のカップルが並んでいた。女性はイブニングドレス、男性は背広にネクタイ。カミサンは少し、ドレスアップしていたが、小生は背広にノーネクター。  

並んでいる人に、「このレストランも今日は特別なドレスコードがあるのですか?」  
「いや、ありませんよ。いつものとおりですよ。今日はわれわれの特別な日なので.」安心した。後から、ラフな格好の人たちが来たが、フォーマルスタイルの彼らを見て、引き返し、着替えてきた人もいた。

このリバティー・レストランなどでの夕食は「リゾートカジュアル」という軽いドレスコードがある。T-シャツ、短パン、タンクトップ、ジーパン、サンダルでは入れない。  

 
このリバティー・レストランと階下にあるスカイライン・レストランはメイン・レストランでカバーチャージ無しでお好みの料理をフルコースで自由に味わえる。だから、時間帯によっては混雑し、入り口で席が空くのを待つことになる。  

6時開店前に並んだので、開店と同時に店内に案内された。案内のウエイトレスに窓側の席を希望し、快くすばらしい席に案内された。  

 

 

 

大きく開いた窓際に二人用のテーブル。外の眺めがよい。 店内の雰囲気もゴージャスでゆったりしている。  

 

 

 

レストラン内は広く、多人数収容できるが、外に客を待たせても、50%程度の客にしているので、静かに食事ができる。  

 

 

 

 

今夜もフルコースでサラダ、スープ、ステーキ、デザート、コーヒーで、ワインはフランスのメルローとソーヴィニオンとのブレンドの赤ワインでディナーを楽しんだ。  

 

 

 

 

 レストランの名前が「リバティー」であることから、アメリカ初期の自由民権の精神を表した室内装飾でとてもきれいだ。
若き日のジョージ・ワシントン像の前でパチリ。
 

 

 

今夜はハリウッド・シアターでクリスミッチェルのマジックショーがある。シアター内はほぼ満席。凝った装置のマジックではなく、ミュージカル風にアレンジしたマジックショーで最後まで楽しんだ。

明日、2月6日は再度ハワイ島に行き、ハワイ島の西側コナに寄港し、歴史のある町を散策する。

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