23日 ハワイ島、ヒロ  

起床1030分。良く寝た。船は既にハワイ島ヒロ港に着岸していた。 昨夜からの睡眠不足と予定外の行動を強いられ疲れが出たためであろう。 昨夜ホノルルを出港してから風が強く、海面は白波が多くたち、船が大きく揺 れたが気にならずよく眠れた。

ヒロは厚い雲に山々は覆われ、かなり雨脚が強い。本格的な雨。冷たい雨がデッキを濡らす。とても常夏のハワイのイメージではない。肌寒い。船室デッキから岸壁を見下ろすと早い時間のツアー組が本船からバスに乗り込んでいた。

今日はキラウエア火山見学のツアーに参加する。 12時15分出発なので朝寝をした。遅い朝食を取りにレストランに行ったが、10時ごろは昼食の準備で利用できるレストランは少ない。唯一開いている屋上デッキにあるアロハ・カフェでビュッフェスタイルの朝食をとる。オープンデッキは雨でびしょびしょ、辛うじて雨にぬれないテントカバーのある屋根の狭いスペースで朝食をとる。かなりの人が同じように雨を避けたテーブルで朝食をとっている。  

12時。エレベーターで11階から3階まで降り、船外にでるところでセキュ リティーチェックを受ける。
Embarkation Card」(係員はShip Cardと呼んでいる)とパスポートを提示し、本人確認。船を出てツアー待合所の倉庫のような広場に行く。既にバスが待機しいて、アローハ〜!の挨拶をツアーバスドライバー兼ガイドから受け、バスに乗り込む。  
バスはすでに満員で空いている席が見つからない。ドライバーに  
「われわれの席が無い」
「おかしい、参加人数分の席を用意してある」  
ドライバーはバスに乗り込み、
OK,大丈夫。二人分の席を使っていた客がいたので移動させた」  
曙の様に太った人が二人分の席を使っていたのが原因だった。 出発!
ドライバーは「アロ〜ハ〜!皆さん元気ですか〜」と独特な節まわしで挨拶。
「ハ〜イ!」
陽気で元気な乗客は応える。我々を含む3組の日本人以外は全てアメリカ人のようだ。車内はとても賑やか。バスの前席には歩くこともおぼつかない超肥満の男女の老人が座り、中間の席は将来の肥満予備軍、後方の席は身軽に行動が出来る人達。我々は後方の席。ドライバーから今日のツアー全行程、この席割りを守るように依頼された。

今回のクルージングでみた超肥満な人達は男女とも胴回り、腰周りは2メートル近い人が多く、貯まった脂肪は腰の下部で止まっている。足首は細く、石器時代の土偶のような体型だ。したがって、歩行器や杖、車椅子の助けが必要になる。観光地で乗客がバスを降りる際にもノロノロと動きが 緩慢で全員がバスを降りるのに相当時間がかかる。でも、皆、静かに降りる順 番を待っている。  

今日のツアーはハワイ島の火山国立公園に行き、今も活動している、キラウエ ア火山を訪れる。ヒロ港からキラウエア火山まではバスで50分程度のドライブ。途中、ドライバーはキラウエア火山の活動の様子、ハワイの女神である ペレに纏わる神話などの説明があった。

神話ではハワイ各島を渡り歩いた女神ペレの終の棲家になり、怒りは噴火に、涙は真っ赤な溶岩となり、ペレの姉、海の神ナマカが大波で冷まし、気の強い妹をいさめるという。  

キラウエア火山は標高1524メートルでハワイで一番高い山ではないが、れっきとした現役の活火山である。この火山が活動し、溶岩を噴出するたびに ハワイ諸島は少しずつ西に移動し、日本に近づいてゆくという。でも日本に近 くなるのは何億年も先だという。

 

 

 

 

ワイパーを激しく動かし、バスは次第に高度を上げてゆく。背の高い樹林帯からやがて大きなシダが茂る密林体に入り、火山公園のゲートを過ぎると溶岩がむき出しになった荒れた台地が広がる。キラウエアの展望台に着いた。ここで、トイレ休憩とキラウエア火口の展望をとなったが、バスの外は叩きつけるような激しい雨で「展望を楽しむ」雰囲気ではない。

 

展望台に立つと広大な台地の遠くに噴煙が上がっている大きな火口が霞んで見える。盛んに白い煙が上がっている。あれは噴煙ではなく、降った雨の水蒸気のようだ。この火口はハレマウマ ファイヤーピット(火の火口)と呼び広大だ。  

 

このキラウエア火山はつい最近まで真っ赤な溶岩を吹き上げていたが、このところ、火山活動は休息状態で、今回のクルージングの目玉であるキラウエアから流れる溶岩流を船上から眺めることであったが、それが出来なくなった。本来であればこのような火山活動が見られたはず。早々にバスに戻る。ドライバーはこのところ毎日雨だという。

 

 

 


雲に厚く覆われ、視界の悪い山頂の火口周囲をバスでドライブする。殆ど視界が利かない。でも火口が巨大であろうことは充分に想像がつく。でも、天候が良く、見晴らしが利いたらどんなにか雄大であったであろうか。残念!!晴れていればこのような巨大な火口が見られたはず。  

 

キラウエア山頂はハレマウマウ・クレーターやキラウエア・イキ クレーターなどからなる大きなカルデラ火口でカルデラ周囲を「Crater Rim Drive」ルートがある。バスは雨と濃霧に煙るこのルートを一周した。 全長約18km。途中、1969年から1974年にかけて火口から流れ出た溶岩 流の跡に降り立つ。ゴツゴツした真っ黒い溶岩が巨大な帯状になって山麓から 海岸まで続いている。  

噴出し、固まった溶岩流のあるところで下車し、固まった溶岩を見学。キラウエア・イキ・クレーターを眺め、溶岩が流れた跡が空洞になったサーストン・ラバ・ツーブ(溶岩洞窟)を訪れる。  

激しく降る雨の中を傘をさしてシ ダの生い茂る道をすすむ。  

 

そこには大きなゴツゴツとした岩肌のトンネルがあった。トンネル内は大きな空洞で巾34メートル、高さも34メートルはあるだろう。天井から激しく水は流れ落ち、足場は水溜りで歩き難い。我々は途中で引き返した。ハワイにはたくさん火山があるがハワイ人にとってこのキラウエア火山は「魔の山」として数千年にわたって恐怖と尊敬が入り混じった想いを抱いていると云う。それはハレマウマウ噴火口にはハワイ神話の「女神ペレ」が住むと信じられているからだ。

ハワイ神話で最も恐れられていたのが「女神ペレ」だった。その性格は怒りっぽく、残虐で、しかも、衝動的。その逆鱗に触れると煮えたぎる火口に人間を投げ入れるなどの言い伝えがある。現代でもキラウエア火山の噴火があると、「ああ〜、また、マダムペレがお怒りだ」と。

ハワイ島は太古の神話の世界を彷彿とさせ神秘的な雰囲気に満ちている火の島だ。今日のこの激しい雨は「女神ペレ」の怒りだろうか?それともペレの姉、海の神ナマカがペレを静める為の雨だろうか。古代のハワイ人は自然現象を恐れ、敬い、自らの生活にうまく取り入れている。現代人はこれを「ロマン」と呼ぶかも知れないが。

バスは火口周辺を一周して、キラウエア火山を下り、山麓にあるラン植物園でトイレ休憩後、マカダミア・ナッツ工場に行く。みやげ物売り場で客はナッツ・チョコレートなど試食しながらお土産として買い求めた。  

 

今日は雨の中を5時間かけてキラウエア火山を中心にしたツアーであった。雨にたたられ、雄大な景色を堪能することは出来なかったがその雰囲気は充分に味わった興味あるツアーだった。  

船に戻る。ゲートで荷物、身体検査、パスポート、シップカードのチェックと厳しい検査を受け、船室に戻る。船室は綺麗に掃除されていた。デッキ11の掃除係の人は2人いて、一人はインドネシア人だろうか若い、愛想のよい女性であった。  

夕食〜 
昨夜の夕食をスシバーで取り、失敗したので、今夜の夕食は本船のメイン・レストランである「スカイライン・レストラン」。シャワーを浴び、少し、ドレスアップして、エレベーターでデッキ5まで下る。このレストランは追加料金なしてメニューにあるお好みの料理をアラカルトでもコース料理でも好きなだけ自由に食べられる。但し、どのレストランにも共通なのはアルコール類が全て有料。
 

 7時にレストランに行く。レストラン入り口には多くの人が順番を待つ。10分ほど待ちテーブルに案内される。ウエイトレスは黒人、白人など20人ほどであろうか広いレストランで客の応対をしている。我々のテーブルは中年の白人で接客態度はすこぶる宜しい。雰囲気も申し分なし。「スカイライン」と銘を打つレストランだけあって、ニューヨークの摩天楼をイメージした内装で柱は高層ビルをイメージしたデザイン。   

レストランには50%程度の客をいれている為かゆったりと静かに食事が出来る。 飲み物は、昨日と同じハワイ島コナ産のビールを注文。ここでも、ウエイトレスは驚いたような顔をしていた。余り注文する客はいないのであろう。 

しばらくして、昨夜、スシバーで世話をしてくれた中国人女性がビールを持ってきて、にこにこしながら挨拶してくれた。美人ではないが感じが良い女性だ。彼女はあのスシバーの専属かと思ったが、あちこちのレストランを担当している様だ。  
「これでよい?」とKona Beer, Long Bored Island Lagerを持ってきた。  
今度はLagerだ。  
OK」少し、苦味が強いが口当たりがよく美味い。  
メニューを見る。魚介類の料理と肉類の料理がある。日頃、コレステロ-ルを 貯めない食事をしていたので、肉類ではなく、魚介類をメインにした料理をア ラカルトで注文。前菜として、シ--・サラダ、マンゴ-などトロピカルフル-ツの入ったスープ、それに海老など魚介類が入ったリゾット、バニラのアイス クリームにコーヒー。我々にとってはすべての料理は「大盛り」で満腹。味よし、雰囲気よしで今夜の夕食を終えた。チップ金額を記入し、ビール代が記された請求書にサインをした。
 

夕食を終えた乗船客はおもいおもいに船内を探検(ウロウロ?ブラブラ?)し ている。レセプションデスクがあるデッキ5のロビーにもたくさんの人たち。  

 

 

 

 

 

ハリウッド・シアターに行く。ラスベガスで活躍のお笑いコメディアン、クリ ス・アルパインの出演であった。しばらく席に座って観ていたが、我々日本人には彼が言うジョークが少しも面白くない。アメリカ人はゲラゲラ笑っていたが。早々に席を立ち、部屋に戻る。 アルコールも程よく効いて、疲れが出てきたこともあり、早めに寝ることにし た。
船は18時にハワイ島ヒロ港を出港し、明日朝、8時にマウイ島カフルイ港に着く。今夜も海上はかなり時化ている。船は大きく揺れる。風がビュービューとうなる。船室内を歩くとよろけるが、ベッドに横たわっていると心地よい揺れで、心配していた「船酔い」はない。

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