2月3日 ハワイ島、ヒロ
起床10時30分。良く寝た。船は既にハワイ島ヒロ港に着岸していた。
ヒロは厚い雲に山々は覆われ、かなり雨脚が強い。本格的な雨。冷たい雨がデッキを濡らす。とても常夏のハワイのイメージではない。肌寒い。船室デッキから岸壁を見下ろすと早い時間のツアー組が本船からバスに乗り込んでいた。
今日はキラウエア火山見学のツアーに参加する。
12時。エレベーターで11階から3階まで降り、船外にでるところでセキュ
「Embarkation
Card」(係員はShip Cardと呼んでいる)とパスポートを提示し、本人確認。船を出てツアー待合所の倉庫のような広場に行く。既にバスが待機しいて、アローハ〜!の挨拶をツアーバスドライバー兼ガイドから受け、バスに乗り込む。
「おかしい、参加人数分の席を用意してある」
「OK,大丈夫。二人分の席を使っていた客がいたので移動させた」
ドライバーは「アロ〜ハ〜!皆さん元気ですか〜」と独特な節まわしで挨拶。
「ハ〜イ!」
陽気で元気な乗客は応える。我々を含む3組の日本人以外は全てアメリカ人のようだ。車内はとても賑やか。バスの前席には歩くこともおぼつかない超肥満の男女の老人が座り、中間の席は将来の肥満予備軍、後方の席は身軽に行動が出来る人達。我々は後方の席。ドライバーから今日のツアー全行程、この席割りを守るように依頼された。
今回のクルージングでみた超肥満な人達は男女とも胴回り、腰周りは2メートル近い人が多く、貯まった脂肪は腰の下部で止まっている。足首は細く、石器時代の土偶のような体型だ。したがって、歩行器や杖、車椅子の助けが必要になる。観光地で乗客がバスを降りる際にもノロノロと動きが
今日のツアーはハワイ島の火山国立公園に行き、今も活動している、キラウエ 神話ではハワイ各島を渡り歩いた女神ペレの終の棲家になり、怒りは噴火に、涙は真っ赤な溶岩となり、ペレの姉、海の神ナマカが大波で冷まし、気の強い妹をいさめるという。 |
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キラウエア火山は標高1524メートルでハワイで一番高い山ではないが、れっきとした現役の活火山である。この火山が活動し、溶岩を噴出するたびに
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ワイパーを激しく動かし、バスは次第に高度を上げてゆく。背の高い樹林帯からやがて大きなシダが茂る密林体に入り、火山公園のゲートを過ぎると溶岩がむき出しになった荒れた台地が広がる。キラウエアの展望台に着いた。ここで、トイレ休憩とキラウエア火口の展望をとなったが、バスの外は叩きつけるような激しい雨で「展望を楽しむ」雰囲気ではない。
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展望台に立つと広大な台地の遠くに噴煙が上がっている大きな火口が霞んで見える。盛んに白い煙が上がっている。あれは噴煙ではなく、降った雨の水蒸気のようだ。この火口はハレマウマ ファイヤーピット(火の火口)と呼び広大だ。
このキラウエア火山はつい最近まで真っ赤な溶岩を吹き上げていたが、このところ、火山活動は休息状態で、今回のクルージングの目玉であるキラウエアから流れる溶岩流を船上から眺めることであったが、それが出来なくなった。本来であればこのような火山活動が見られたはず。早々にバスに戻る。ドライバーはこのところ毎日雨だという。
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雲に厚く覆われ、視界の悪い山頂の火口周囲をバスでドライブする。殆ど視界が利かない。でも火口が巨大であろうことは充分に想像がつく。でも、天候が良く、見晴らしが利いたらどんなにか雄大であったであろうか。残念!!晴れていればこのような巨大な火口が見られたはず。
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キラウエア山頂はハレマウマウ・クレーターやキラウエア・イキ クレーターなどからなる大きなカルデラ火口でカルデラ周囲を「Crater
Rim Drive」ルートがある。バスは雨と濃霧に煙るこのルートを一周した。
噴出し、固まった溶岩流のあるところで下車し、固まった溶岩を見学。キラウエア・イキ・クレーターを眺め、溶岩が流れた跡が空洞になったサーストン・ラバ・ツーブ(溶岩洞窟)を訪れる。 激しく降る雨の中を傘をさしてシ
ダの生い茂る道をすすむ。
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そこには大きなゴツゴツとした岩肌のトンネルがあった。トンネル内は大きな空洞で巾3〜4メートル、高さも3〜4メートルはあるだろう。天井から激しく水は流れ落ち、足場は水溜りで歩き難い。我々は途中で引き返した。ハワイにはたくさん火山があるがハワイ人にとってこのキラウエア火山は「魔の山」として数千年にわたって恐怖と尊敬が入り混じった想いを抱いていると云う。それはハレマウマウ噴火口にはハワイ神話の「女神ペレ」が住むと信じられているからだ。 ハワイ神話で最も恐れられていたのが「女神ペレ」だった。その性格は怒りっぽく、残虐で、しかも、衝動的。その逆鱗に触れると煮えたぎる火口に人間を投げ入れるなどの言い伝えがある。現代でもキラウエア火山の噴火があると、「ああ〜、また、マダムペレがお怒りだ」と。 ハワイ島は太古の神話の世界を彷彿とさせ神秘的な雰囲気に満ちている火の島だ。今日のこの激しい雨は「女神ペレ」の怒りだろうか?それともペレの姉、海の神ナマカがペレを静める為の雨だろうか。古代のハワイ人は自然現象を恐れ、敬い、自らの生活にうまく取り入れている。現代人はこれを「ロマン」と呼ぶかも知れないが。 |
バスは火口周辺を一周して、キラウエア火山を下り、山麓にあるラン植物園でトイレ休憩後、マカダミア・ナッツ工場に行く。みやげ物売り場で客はナッツ・チョコレートなど試食しながらお土産として買い求めた。
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今日は雨の中を5時間かけてキラウエア火山を中心にしたツアーであった。雨にたたられ、雄大な景色を堪能することは出来なかったがその雰囲気は充分に味わった興味あるツアーだった。 船に戻る。ゲートで荷物、身体検査、パスポート、シップカードのチェックと厳しい検査を受け、船室に戻る。船室は綺麗に掃除されていた。デッキ11の掃除係の人は2人いて、一人はインドネシア人だろうか若い、愛想のよい女性であった。 |
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夕食〜 |
7時にレストランに行く。レストラン入り口には多くの人が順番を待つ。10分ほど待ちテーブルに案内される。ウエイトレスは黒人、白人など20人ほどであろうか広いレストランで客の応対をしている。我々のテーブルは中年の白人で接客態度はすこぶる宜しい。雰囲気も申し分なし。「スカイライン」と銘を打つレストランだけあって、ニューヨークの摩天楼をイメージした内装で柱は高層ビルをイメージしたデザイン。 |
レストランには50%程度の客をいれている為かゆったりと静かに食事が出来る。
しばらくして、昨夜、スシバーで世話をしてくれた中国人女性がビールを持ってきて、にこにこしながら挨拶してくれた。美人ではないが感じが良い女性だ。彼女はあのスシバーの専属かと思ったが、あちこちのレストランを担当している様だ。
夕食を終えた乗船客はおもいおもいに船内を探検(ウロウロ?ブラブラ?)し
ハリウッド・シアターに行く。ラスベガスで活躍のお笑いコメディアン、クリ
船は18時にハワイ島ヒロ港を出港し、明日朝、8時にマウイ島カフルイ港に着く。今夜も海上はかなり時化ている。船は大きく揺れる。風がビュービューとうなる。船室内を歩くとよろけるが、ベッドに横たわっていると心地よい揺れで、心配していた「船酔い」はない。