みちのく一人旅 〜津軽編〜
一日目 その5
バスは、暗い集落をいくつか抜けて黒石市街へ。
こうして、山里から降りてくると、黒石駅周辺はやはり大きな町だ。
そろそろ降りるバス停かな〜と、あたりを見ていたが駅に着いてしまった。
運転手に聞くと、市街地は一方通行が多いので行き帰りでは違う道を通るとのこと。
あ〜、また旅館まで歩かないといけない・・・。
昼とは違う道を選んで、夕食を食べるところも探しながら旅館まで歩く。
こみせ通りの端の方には、なんとも古い呉服屋ビル?などもあり、なかなか見ごたえがあった。
雪が激しく降り始め、雪まみれで旅館に到着。
旅館のおばさんと少し温泉の話をして、玄関の真正面にある年季の入った朱色の階段を上り、二階の部屋に案内してもらった。
部屋は、予想していたよりも充分に広くて綺麗。
タオル干し用なのか、部屋の隅に針金が張ってあるのが、なかなか味わい深い。
部屋の向かい合わせに廊下が面している珍しい作りで、一方は襖で一方は障子。廊下から入ったのに向こう側も廊下という変な感じ。人が歩くと気配が満々に伝わるし、もちろん鍵もかからない。昔の純日本旅館というか旅籠というか。
廊下の奥の方からテレビの音が聞こえてくるので、他にも泊り客がいる様子。
少し一息入れてから夕食に出かけよう。
とにかく寒いので、ストーブにかじりついて暖を取る。足先がかなり冷たい。
ようやく暖まったので、宿帳を書いて、さあ食事に出かけよう。
宿帳を渡そうとおばさんを探してたら、洗面所で高校生くらいの女の子と洗濯の話をしていた。
孫もこの旅館を手伝っているのか、えらいな〜と一瞬思ったが、どうも話の感じでは泊まり客らしい。
部活の合宿でもなさそうだし、不思議・・・。
食事は、駅前の観光案内で教えてもらった郷土料理店。歩いてすぐのこみせ通りにあった。
昼間も食べたけど、また「つゆ焼きそば」。今度は定食。
ここのは1日限定何食かで、よく分からないが「石焼」らしい。
お銚子も一本頼み、ちびちびと飲みながら楽しみに待っていると、来た来た!お盆に載った石焼セット。
なんと、お店の人が目の前で作ってくれるということらしい。
熱々の石鍋に油を引いて、豚バラを焼き、野菜を焼いて、麺を入れ、秘伝のソースで味付け。
ここで少し取り分けてくれて、まず極太ソース焼きそばとして食べる。
ウマイっ!
日本酒はまったく注文ミス。 ここはビールだった。
次には、いよいよ秘伝のつゆを石鍋に注いでくれた。
「ジュジューン!」という湯気が盛大に上がって、またまたいい香りが立ちのぼる。
おお〜、1000円ですごくお得感のある定食ではないか。
熱燗も、ほどよく回ってきたが、我慢できずにビールを注文。
「おそばを食べ終わったら、ご飯を入れて雑炊風にするとおいしいですよ」と教えてもらう。
たいへん、おいしくいただきました。
かなり満足気分のほろ酔い気分で店を出た。
夜のこみせ通りを散歩。
ほろ酔い気分もすぐに冷めて、旅館に帰ってきた。
部屋は、ストーブをつけてもほとんど暖まらない。
浴衣と丹前だけでは寒いので、布団に入ってテレビを見る。ウタダヒカルの引退番組。
廊下をジャージ姿の女子高生が何度も通るので、少なからず気になる。(障子が模様ガラスなので見える)
なんで、鄙びた旅館に女の子が一人?
そろそろ寝るかと、歯磨きに洗面所へ降りると、そこは外と同じくらいの寒さ。
凍えながら用を済ませ、歯磨きをして、そそくさと部屋に退散。
かなり寒いので、念のため弱くストーブを点けたまま、布団に入って就寝・・・。
いろいろと充実した一日だった。
明日は、天気が荒れ模様の予報。
予定通りに下北へ行けるだろうか・・・。