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東京湾に迷い込んだクジラの話    

 

 東京湾にクジラが見えたが、このクジラの運命がどうなるのか、私にはそれが心配でならない。どなたかこのクジラを速やかに大洋にもどす手立てを考えてほしい。

 

 滅多には見ることのできないクジラの潮吹きが、東京湾で見られたという事で、マスコミでは、テレビ局も新聞社も、大騒ぎをして楽しんでいる。これが、人の目を気にして目先の利益ばかりを追っている今の世間、money-madの日本の実態であるとすれば、誠に嘆かわしい話ではないかと思う。かっては、捕鯨により様々な用途の原料が得られたばかりでなく、食糧源としても多大に貢献をしてきた。しかし、現代においては、絶滅の危機さえ叫ばれ、南氷洋の捕鯨の規制までしようというご時世。ならば、この東京湾に迷い込んだクジラのことをどうすればよいのか?

 ちなみに、このクジラの将来を懸念し、このまま東京湾から出られないとするなら、どのようなことになるのだろうかと考えてみた。

例えば、体調7.5mのミンククジラの摂餌量は、一日当たり、131186Kgと推定されている。(平成11年度版漁業白書)一方、東京湾にどのくらいのクジラの餌があるかと言うと、東京湾の漁獲量は、最近では3万トン以下にまで減少している。しかもその大半は貝類であり、クジラの餌となる小魚では、極端に少なくなると思われる。今ではその数量が少なくなり、統計さえ取られていない。ちなみに、2007年に東京湾内で水揚げされた魚の量は、540トンとされている(東京都産業労働局)。東京湾の場合には、貝類の漁獲が主で、小魚となれば、せいぜいこの1割程度ではないかと思われる。仮にそうだとすれば、年間で54トン程度の魚しか存在しないことになる、これは漁獲量であり、クジラのほうがもっと上手に餌を捕獲できるにして、捕獲できる場所が限られているので、その半分程度が餌として有効であるとすれば、高々30トン程度の餌しか存在しないことになる。とすればこれで、東京湾で生き延びられるのは、200日程度ということになる。これは、最も楽観的な数字である。が、それはともかく、このクジラの一生を考えるなら、できるだけはやく、外洋に導いてやることが必要なのではないだろうか。

 クジラの絶滅反対を唱えて世間を騒がせているグリーンピースという世界的な団体あり日本にもその支部がある。一帯そこではこのことをどのように考えているのだろうか。政治的な問題に対しては大胆な阻止運動を展開するほどの熱意はあっても、こうしたたった一匹のクジラのためには何もしないと言うのでは、誠に自分ファーストのパフォーマンスをしているに過ぎないのではないか。

 東京湾では航行しているさまざまな船があるが、水産庁ではクジラに衝突しないようにと警告を発している。人間社会側に立てば、たしかにうなずけるが、こんなことで、このクジラが救われるわけではないだろう。

何とか、このクジラを太平洋にもどしてやるためにこんなことを考えた。大海で生きるクジラ、そして、船との衝突を避けるという習性があるなら、これを利用する。

小型ボートを横に並べて、東京湾の奥から一斉に浦賀水道のほうにクジラを追い出すのだ。東京湾の幅は、およそ20Kmと言われているので、小型ボートを100mおきに並べて走らせるなら、200台あれば、十分だ。こうしてクジラを押し返してやれば、このクジラの一生が救えるのではないか。クジラを助けるために、個人の小型ボートを所有する海の男たちにボランティアの声をかければすぐにその程度は集まるのではないだろうか。

 マスコミもただ、面白半分に、ニュースを流すのではなく、自然環境を守る、自然の動物を守るというような立場にたって、世間の意見を導いていくような報道の仕方をすべきではないかと思う次第である。自然を保護し、そこで生きている動物の保護を口にするのであれば、是非、このクジラ一匹を救ってもらいたい

                    ( 2018.7.1  )