世相を斬る 2018.04.21
見たかァ、これが姑息な日本のいい見本さ!
先に、アメリカンフットボールでのルール違反アタックのことが問題になり、日大がいまだこれを解決できずにいる。問題の本質は、スポーツそのものが、昨今の金儲けに目のくらんだ一部の人に振り回されて、スポーツマンシップを忘れて運営されていることである。日大にして叱り、女子アマレス、バドミントン、ボートなど、アマスポーツの世界が何かきな臭い。そういう意味で、今回、FIFAのロシア大会で、予選リーグ通過のために、日本のサッカーチームがとった、およそスポーツをする人としてはその資質が疑われるような時間稼ぎのためのボール回し。これは、いまの世のなかのスポーツマンシップを議論する恰好の議題ではないかと思う。
どこに行ったスポーツマンシップ?
当事者と第三者では、まったく意見が異なるし、また、勝負にこだわり、勝つことにより、お金がどう動くかを気にしている人たちには、勝つためには手段を選ばずのやり方は当然と言う。ルールがそうなっているからと言うが、あのフェアプレーのポイントルールは、サッカーのルールではなく、ビジネス上のルールに過ぎない。延長戦で決着をつける、あるいは、サドンレスの戦いをつづけるといったことが行われていたが、これでは、大事な選手の疲労がたまるばかりと、引き分けにしてしまう。戦うだけ戦い、体力の続く限り争ったうえでの引き分けなら、まだ、納得は行くが、戦うことを放棄し、戦わずボールをぐるぐるまわし時間が来るのを待って、試合終了にするなど、まさしく、観る人を馬鹿にした、スポーツマンシップの風上にも置けないただの運動機械のすること、と言われたのがかってのスポーツマン精神ではなかったか。再度両者で延長戦をする、あるいは、戦わないのであれば、特別なPK合戦をするなど、とにかく技でしのぎを削るのがスポーツだ。引き分けた場合は、両者とも失格にするくらいのスポーツには厳格さと威厳があってしかるべきだ。負けるなら、最初から引き分けを頭に入れて、90分間、ボール回しをしていてもよいというのか。将来は、こうした問題が出てくるのは目に見えている。
両者失格では、決勝トーナメントの試合数が減ってしまう。それでは興行収入が減ってしまうので、どちらかを残さなければならない。こうして生まれたのが、今度の取り決めのようなもので、これを楯にとり、ルール違反ではないと言うのは、スポーツを楽しむより、スポーツを餌にして自分の目的とする何かを得ようという、Money-Madに毒された人たちの考え方だ。ただ、今は、それがポピュリズムとなり、あたかも正義であるかのように世間を支配していることだ。その船頭役をしているのがマスコミであることは言うまでもない。一試合でも日本が上に進めば、それだけで金になるのが今のマスコミの腹の内だ。そして、知ったかぶりをするコメンテーターも、何とか、マスコミの視聴率があがるように大衆受けをする意見、あるいは、金が目当ての協会の片棒を担ぐような見え透いた「よいしょ」だけを口にする。万が一にも、協会に批判的なことを言って、次のお呼びが来なければ、生活できないとばかり、こぞって視聴者の受け狙いの言葉を羅列している。
監督には、ペナルティファオルを!
試合の終わった後のインタビュー。監督の説明の歯切れの悪さ。勝負師とか、策略家とか言われているのを知っているのかどうかは分らないが、「これは、私がそう指示したのではなく、選手の自発的な判断だった」かのように言っている。国を代表するチームの監督だ。馬鹿でも考えそうな戦略を、自分がたしなめる気があったのなら、負けている戦は何としてでも1点を入れて、せめて引き分けで、万人の認める16強入りを指示すべきではなかったか。それであれば、たとえ16強に残らなくても、歴史に残る名監督となったはず。今回は、フェアープレイでセネガルの上に行ったが、柔道の試合なら、戦意喪失で教育的指導が相手のポイントになる。とすれば、この場合は、インプレーなら2点に相当すような監督に対するペナルティファオルを課すべきだったのではないか。
ある選手が、自分達のとった戦い方は、「日本人なら理解してほしい」と言っていた。この選択をマスコミがあたかも認めているかのように報道しているのは、マスコミの利得が絡んでいるからに過ぎない。一試合でも日本チームの戦いが増えれば、それだけで、何億の利益につながるからだ。だから、無責任に、もっともらしきことを自分達の都合の良いように放送しているに過ぎない。この「日本人なら」とは、一体、だれを指しているのか。「日本古来の武士道精神を持つ人なのか」、それとも、「真のスポーツマン」のことか。もはや、スポーツマンシップと言うのは憚られたか?、正々堂々などという気配は微塵も感じられない日本のチーム。そこには、「勝つためには、手段を選ばず。」、「Money-mad」だけがまかり通っているサッカー協会とマスコミに踊らされた監督、審判に見えなければ多少のペナルティーも技のうちなどとスポーツマンシップの微塵のかけらも感じられない選手たち。太平の世の中、働かずして食える社会となり、その中でマスコミによるはしゃぎムードに乗せられて浮かれているサポーター。こんなサッカーのブームがいつまで続くのかは疑問だ。日本の一世一代の恥ともいうべき今回の選択の過ちをを真摯に受け止め、サッカーを本当に愛することのできるスポーツにしてほしいものだ。
次の試合でベルギーと戦うが、セットプレーでないと点の取れない日本。引き分け狙いで、90分、ボールを回し、PK合戦にするというのも選択肢の一つだ。
ひょっとしたらベスト8に残れるかも知れない。