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各種型枠の製造・使用にともなう

炭酸ガスの発生量について

CO2 Evolution Analysis during Production and Usage

for Various type of Frame 

                                                      鈴木 誠二 *

                                                     SEIJI SUZUKI

The amount of emitted carbon dioxide of various type of framework used in the work of concrete construction was calculated based on a life-cycle analysis or life-cycle inventory (LCA or LCI). This LCA study includes all materials, fuels and electricity consumed during all of the process not only for producing the product but also for using it and for processing it as garbage finally. The result of this study was compared with the ordinary framework made from plywood. In the case of plastic framework with rib-structure, 9.905 Kg / unit of carbon dioxide was emitted during all of the process for each product. That was 2.258 Kg / unit for plywood using the logs of tropical rain forest. However, in the case of considering the absorption of carbon dioxide by plants, we have to recognize the same effect to increase the concentration of CO2 in the air by cutting the forest. According to this thinking, we recalculate the total accumulate CO2 emitted from plywood. Finally, the amount emitted became 52.0 Kg/unit of CO2 for plywood

Keywords; Life-cycle analysis, LCA, PCR, plastic framework, carbon footprint, carbon dioxide emission,

plywood framework, tropical rain forest, environmental load

 

森林資源の伐採は、単に有用な資源の確保という行為に留まらず、原木の伐採により周辺樹木を傷つけたり、搬出道路の敷設にともなう広範な地域の整備が環境破壊をもたらし、ひいてはこれが野生生物種の現象をきたしている。さらに植物の炭酸同化作用を停止させ、空気中の炭酸ガス濃度を上昇させ地球の温暖化現象を起こす重大な要因となっている。そのメカニズムとして図-1のような説明がなされている。1

一方、空気中の炭酸ガスは、その大部分が化石燃料をエネルギーとして使用するために発生する。図-2、図-3 2に示すごとく、1898年段階で、世界は炭素換算で59.7億トン/年の炭酸ガスを排出している。

こうしたことから建築用の型枠として使用されている各種型枠について、それらが地球環境に対する優しさという観点から、型枠の製造する工程、ならびに、使用に際してどれだけの炭酸ガスが発生し、大気中に放出されているかを求め比較した。

比較した方楽は、次のもを選んだ。

 『カタワーク』 樹脂製(ガラス繊維強化ポリプロピレン)   

 針葉樹合板     北洋材

 スチール型枠    鋼製

 南洋材合板     熱帯雨林木材

 各種型枠の地球環境に及ぼす影響の目安として、生産プロセスや流通において排出される炭酸ガスの量を比較する。排出炭酸ガスの 総量を求める手法についてはいろいろな文献3)、4)、5)に紹介されているが、ここでは主としてプラスチック処理促進教会がまとめた手法に従った。すなわち、

1)  各種型枠の製造プロセスを想定し、各工程ごとに原料、ならびに、エネルギーの供給量を求める。

2)  各原料には、供給の状態で既に発生している炭酸ガスをその材料に伴う炭酸ガス負荷として算入する。

3)  使用エネルギーに応じて炭酸ガス発生量に換算する。

として算出した。また。

4)  合板型枠は、森林が空気中の炭酸ガスを固定する量だけ、伐採により大気中に放出するものとみなすべきものである。

ただし、ここではこの森林伐採による大気中の炭酸ガスの固定停止は、しかるべき算出データも乏しいところから、型枠の製造にともなう炭酸ガスの発生量には算入せず、別途、森林資源の伐採による炭酸ガスの固定停止と言うことで考察した。

こうした前提を元に計算により求めた各種型枠の製造と使用に際して排出される炭酸ガスの量は、表-2のごとくなった。

これより、一回の使用当りでの比較では『カタワーク』の使用に伴い発生する炭酸ガスの量は、南洋材合板より若干多くなるものの、ほぼ針葉樹合板と同レベルであり、スチール合板と比べると、約1/2であることが分かった。

また、『カタワーク』とスチール型枠の場合には使用済みのものを回収し、再び元の型枠として再生することが可能である。つまり、材料が再生利用されるわけで、再生に伴い炭酸ガスは少なからず発生はするものの、再生材を使用すればさらに炭酸ガスの発生量は減少するものと推定される。これを考慮すれば、『カタワーク』では、針葉樹合板、南洋材合板と比較して炭酸ガスの発生量は、さらに低減する。

これまでの結果は、合板の型枠の場合に森林伐採による炭酸ガスの固定停止問題を扱わずに検討したものである。しかしながら、炭酸ガスの発生量の推定では、これが空気中の炭酸ガス濃度を上昇させる原因となることを想定して求めたものであり、この点においては炭酸ガスの固定停止は炭酸ガスの排出と全く同じ効果であることとなる。このことを考慮して各種型枠の炭酸ガス発生量を求めた結果が表-3である。

これより、森林資源の伐採にともなう炭酸ガスの固定停止考慮した場合には、『カタワーク』炭酸ガス発生量は、針葉樹合板の約1/5であり、また、スチール型枠の約1/7であることが分かった。また、針葉樹合板は南洋材と比べると若干炭酸ガスの排出量が少ない。

これに、転用回数を加えると、合板では平均34回てあるのに対し、『カタワーク』の場合には、1020回程度が可能であることから、コンクリートの打設面積で比べれば、『カタワーク』の場合には、針葉樹合板の1/15程度の炭酸ガス発生量と言うことになる。スチール製型枠と比較しても、約1/2程度である。

確かに、『カタワーク』の原材料である石油にしても、それが有限な化石原料であることは間違いないが、その有限な資源を、より有効に利用し、しかも、炭酸ガス発生量を極力抑制し、地球環境の保護に貢献することこそ南洋材合板に変わる新しい型枠開発の重大な使命である。

地球温暖化の原因として、熱帯雨林の伐採が問題にされているが、これは、森林資源の全てに関わる問題であり、たとえ、針葉樹が計画的な植林を実施し、再生が可能であるとは言え、再生に100年単位の年月を要し、しかも、自然環境の破壊を伴うものであることを考慮するならば、たとえ北洋材と言えども、森林資源の伐採は、問題の先送りに過ぎず、努めて必要最小限度に留めなければならない。

 

1.   排出炭酸ガスの比較

各種型枠の製造ならびに使用に関する炭酸ガス発生量算出の詳細を述べる。

1.1    排出炭酸ガスの比較の方法

生産や流通過程における製品の累積排出量は、原料、副原料、ユーティリティーなどの製品の製造に関して直接発生する炭酸ガスと、その製造設備の建設、保全、運転などにおいて発生する炭酸ガス、あるいはまた、製品の輸送過程において発生する炭酸ガスなどが考えられる。

ここでは、製品として使用されるまでの過程で排出される炭酸ガスの総量を、製品の一定面積当り、すなわち、2×6板と称される型枠のサイズのものを基礎にして比較した。

この累積炭酸ガス排出量は、

     物質流れに対して:     Kg-CO2/t

         エネルギー流れに対して:  Kg-CO2/KWh 

で求められるものである。

1-2 炭酸ガス排出量の計算

炭酸ガスの排出量を計算するために、製品の製造工程で直接排出される炭酸ガスのは、製品の一定重量当りに対して求める。製造の過程で使用される燃料の燃焼によって胚珠される炭酸ガスはこの様にして求めたものである。

また、電力やスチームについては、製造時の製品原単位を求めこれをベースに排出炭酸ガスの量を求めた。

輸送については、輸送方法ごとに燃料原単位を求め、これより原料の燃焼にともなう排出炭酸ガスを求めた。

 

合板の場合には、原木の伐採にともなう炭酸ガスの排出とともに、森林の炭酸ガス固定作用の停止問題がもとなう。すなわち、樹木は炭酸同化作用によって空気中の炭酸ガスを植物の中に固定する働きを持っているが、樹木は、伐採されることによりこの炭酸ガス固定の作業が出来なくなることになる。したがって、樹木の伐採は間接的に炭酸ガスを排出することと同じ作用を及ぼすものとみなす。

 

2.       共通データ   

 排出炭酸ガスの量を計算するために用いた共通データを以下に示す。3

2.1 電力

電力消費に伴う排出炭酸ガスの原単位は、化学工学会地球環境プロジェクトH研究会が調査した値を採用した。

 

2.2 各種燃料燃焼ガスの炭酸ガス発生原単位

各種原料をエネルギー源として燃焼した場合に発生する燃焼ガス中の炭酸ガス原単位を表-2.2とした。

 

2.3 スチーム(A重油燃料)の炭酸ガス発生量原単位

 各種スチームを熱源として使用した場合に、スチーム発生に伴い排出する炭酸ガス原単位を250Kg/t-steamとした。因みに、各種スチームの炭酸ガス発生原単位として次の表の値が報告されている。 3

 

2.4 輸送の炭酸ガス発生原単位

 陸上ならびに海上輸送の場合の炭酸ガス発生原単位は次の表を参考にした。3

 

 2.5 その他原材料の炭酸ガス発生原単位

 各型枠の製造工程で使用される燃料、あるいは、その他の化学品について、それらの材料を取り扱う場合には、それらの原料を確保するために必要な過程での累積炭酸ガス発生量を使用した。発生量は文献3)の値に従った。

 

3.       『カタワーク』の製造に係る炭酸ガス発生量

『カタワーク』は石油化学製品であるポリプロピレンを材料として製造された樹脂成形品である。従って『カタワーク』の製造に係る炭酸ガスの発生量の算出に当っては、原油の採掘を起点とする。また、原油の精製工程、ナフサ・クラッキングにおいては、『カタワーク』の原料となるポリプロピレン以外にも極めて沢山の石油化学製品が得られ、我々の生活の必需品として大量に供給されている。生産ではこれらの製品構成が需要に合わせて調整されているので、ここでは『カタワーク』の原料となるポリプロピレンはこれらの製品の一部として考え、この工程で発生する炭酸ガスの量は夫々の製品が重量比例で負荷するものとした。

3.1 『カタワーク』の製造工程

『カタワーク』の原材料からの製造過程を図-3.1に示す。

 

主として日本に入って来る原油は、1991年の統計によれば67.8%が中東地域からのものである。従って、ナフサの原料となる原油は中東地域から輸入するものとした。(表-3.1

また、プロピレンの原料となるナフサの収率は、精製する原料原油の種類、運転状況によって変化するが、ここでは、中東中質原油であるアラビアンミディアム(AM)原油の値を使用した。すなわち『カタワーク』は、中東の石油を原料として製造されるものとし、原料から製品までの一貫した工程で炭酸ガスの累積発生量を求めた。

 

 3.2 原油の蒸留

中東に代表される油田で採掘された原油は、現地に一定の期間保管された後、タンカーによって日本に輸入される。

原油の精製によって、製品としてポリプロピレンの原料となるナフサの他にガソリン、ジェット油、灯油、軽油、重油などが得られる。これらの割合は、運転の状況によってある程度コントロールできるが、石油連盟が発表している国内の石油の用途別需要は次表のようになっており、ナフサはほぼこれに準じた構成比で生産されて居るとみてよいだろう。原油の精製工程での物質収支については、文献3)よりデータを引用した。

 

 ここでは、原油の採掘時に発生する炭酸ガスのうち93%はフレアー燃焼、のこりの7%は随伴炭酸ガスとした。また、燃料用の重油はC重油である。輸送中に発生する炭酸ガスの量は、20万トンタンカーペースとして、中東から日本までの距離を12,000Kmとした。

 

 この図に従えば、ナフサ 1,000Kgを得るのに必要な原油は、

1.0     / 0.121  =  8.264 Kg

となる。従って、発生する炭酸ガスをナフサ単独で負担すると考えると、 1,000 Kgの生産にともなう炭酸ガスの発生量は 、

  原油採掘   0.0167 X 8.264  =  0.1380

  原油保管  0.01167 X 8.264  =  0.09644 

  原油輸送    0.05076 X 8.264  =  0.41948

  原油蒸留  0.0352  X 8.564  =  0.29089

 
  合計   0.11433 X 8.264  =  0.944823 Kg-CO2/ Kg-ナフサ

のようになる。

 ただし、ここでは、原油の蒸留によって発生する炭酸ガスの各成分に重量配分して夫々の製品の累積炭酸ガス発生原単位とする。従って、ナフサの生産に伴う炭酸ガスの負荷は、各製品の生産量比例として、

  0.944823 X 0.1211.000  =  0.1143 Kg-CO2 /Kg-ナフサ

となる。

 

原油の輸送に関する炭酸ガスの発生量は次のようにして求めた。

タンカー輸送に伴い発生する炭酸ガスの算出;

   0.00432 X 12,000  =  50.76 Kg/t  

                         =  0.05076 Kg/Kg-原油

3.3 ナフサ・クラッキング

 蒸留によって沸点ごとA分留された成分のうち石油化学製品の原料となるナフサはナフサ・クラッキングという工程にかけられる。この工程では、さらに厳密な分別が行なわれ、数多くの有用な物質が得られる。ナフサ・クラッキングによって得られる成分とその用途は図-3.4〜図-3.6に示したとおりである。

 

これらの製品のうち、『カタワーク』の原料となるポリプロピレンは、プロピレンと一部エチレンとを重合して得られる。

 

 ナフサ分解の原単位について

ナフサ分解も分解プロセスの差、あるいは、運転条件によって製品の成分が変化する。いくつかのデータを下にこれらを比較したものが表-3.3である。

 

-3.5の物質収支はケース2を参考に、プロピレンに対する原単位を求めて表示したものである。

ナフサの分解に伴い発生巣炭酸ガスの量、

ここで、ナフサの分解にともなう炭酸ガスの発生量について検討する。

 

1)  原料ナフサに伴う炭酸ガス

    原油の採掘・輸送・蒸留によって精製されたナフサはこれまでの工程でナフサ 1Kg当り、0.944823Kg-CO2を発生している。ただし、ここでは成分比率で掌理した数値を原料ナフサに累積した炭酸ガスとする。

    0.1143 x 5.45  =  0.6229

2)  原料重油に伴う(自由湯を得るまでに発生する)炭酸ガス

    0.245 x 0.894  =  0.2190

 3)電力供給の貯めに発生する炭酸ガス

    0.547 x 0.09  =  0.0498

 4)燃料の燃焼により発生する炭酸ガス

   (重油の燃焼に伴い発生する炭酸ガス)X  (燃料原単位)

    3.13 x 0.894  =  2.798

 

従って、ナフサの分解工程では、新たに 3)、4)の炭酸ガスが発生する。その結果、排出炭酸ガスは、ナフサ原料に随伴して供給される炭酸ガスも含め、蒸留ロスとしてフレアーで燃焼される炭化水素より発生する炭酸ガスが累積される。これより、排出炭酸ガスは、図-3.5に示したようになる。

 

プロピレン   1.000 Kgに対する発生炭酸ガスは、

 0.6229 + 0.2190 + 2.798 + 0.0498 = 3.7319 CO2-Kg/5.45 Kg-製品

                = 0.677  CO2-Kg/ Kg-C3’    

となる。

この時併産される各成分についても同量の累積炭酸ガスが負荷される。 すなわち、エチレンや、C4’s留分、分解ガソリンなども夫々単位重量当り0.677Kgの累積炭酸ガスの発生量があるものとされる。

 3.4 ポリプロピレンの製造

ポリプロピレンは、プロピレンを重合して得られるが、最近ではは様々な改良プロセスが開発され、エネルギー原単位もかなり向上している。こごでは、文献3)の値を引用した。

 

輸送中の炭酸ガス発生量

 ペレットの輸送に係る炭酸ガスの発生を次のような基準から算出した。   

  トラック     10t車

  積載量      10

  荷姿       1tフレコン

  平均輸送距離   50 Km

上記条件の下でのトラック輸送での炭酸ガス発生量は次のごとくなる。炭酸ガス発生の要因はトラック燃料の燃焼によるものである。

     0.742 Kg / Kg  x  50   =  37.1 Kg / 10 t-PP

                                  =  0.0037 Kg / Kg-PP

 以上の考察から、ポリプロピレンの製品に伴う炭酸ガスの累積発生量は、

0.6167 + 0.0684 + 0.0738 + 0.2193 + 0.0037  =

                                  0.9819 Kg-CO2 / Kg-pp

となる。

 

3.5 原料ガラス繊維の製造に伴う炭酸ガスの累積発生量

 『カタワーク』の原料としてポリプロピレンのほかに樹脂の補強用にガラス繊維が使用される。ガラス繊維を得るために発生する炭酸ガスの量、すなわち、ガラス繊維に付随する炭酸ガスの量はその製造工程に従って求める必要がある。

 

ガラス繊維の製造において発生する炭酸ガスの量は、文献3)にガラス瓶の製造にともなう炭酸ガスの発生量の記載があるのでこれを参考にして次のように推定した。

 

ガラス繊維の製造プロセス

現在、メーカーがガラス繊維を製造している代表的なフローを図-3.8に示した。基本的にはガラス繊維もガラス瓶と同様原料を溶融し、これを冷却しながら繊維化、もしくは、成形しているので、使用するエネルギーとしては大差がなく、ガラス瓶の製造工程における炭酸ガスの発生量を推定すれば、ガラス繊維の炭酸ガス発生量として使用できるものとした。

 

原料関係

ガラス繊維は、その組成に応じて、各種原料と、これに、カレットと呼ばれる回収ガラス屑を原料として製造されている。各種原料は、けい砂、ソーダ灰、石灰石、ほう硝などであるが、これらの原料の比率は、製造されるガラス繊維の種類と、カレットの組成、比率によって決められる。ちなみに、各種ガラス繊維の組成を表-3.5に示した。原料の比率は製品組成が目的とする比率となるように決められるが、これらのデータは、製造メーカーのノウハウになっており詳しいデータはないので、ここでは、ガラス瓶の原料組成を参考にする。

 

 原料の使用料、カレット比率

文献3)では、ガラス瓶の原料組成を次のごとく決めている。

 

 ここで原料の総計が、ガラス繊維の重量1,000 Kgと合致しないのは、原料としてこれらのほかに、カレットと呼ばれる回収ガラスが大量に使用されるからである。通常、このカレットの量はガラス瓶の場合には70%にも及ぶと言われているが、ガラス製品全体の平均では約40%程度、ここでは、ガラス繊維が構造補強材として使用されることも考慮し30%のカレットを使用するものとした。

カレットの使用率とともに、全体の重量バランスを求める上で考慮しなければならないのは、ガラスの製造過程で化学反応が起こり、一部、炭酸ガスとして系外に逸散するものがあると言うことである。これについては、後の項で述べる。

市中カレット

カレットは、ガラス製造工場内で発生するのと市中から発生するものに大別される。ここでは、市中から回収されるガラス繊維をベースにカレットを再生使用するものとして、回収時に必要とエネルギー消費に伴う炭酸ガスのを算出した。この過程を次に示す。

 

市中カレット1,000 Kg当りの回収、処理消費エネルギー

 

 

製造過程で原料から発生する炭酸ガス

原料の融解と成形・徐例の工程でソーダ灰と石灰石から炭酸ガスが発生する。

  Na2CO3 >  Na2O  +  CO2

    CaCO3  >  CaO  +  CO2

従って、原料のソーダ灰と石灰石の使用量に炭酸ガスの分子量率を乗じて算定する。これを燃料の燃焼に伴って発生する炭酸ガスと区別して取り扱う。

ガラス繊維の製造―フロー

ガラス繊維の製造に伴う原料のフローを文献3)に 従って求めた。結果を図-3.10に示した。ガラス繊維1,000 Kgを製造するのに必要とする各種原料と、それぞれの処理工程での必要原料、ユーティリティーを求めた。

 (1)      けい砂に伴う炭酸ガスの発生量

けい砂鉱山での採掘・選別・分級工程で必要とする各種ユーティリティーとこれに伴う炭酸ガスの発生量は 次のようにして求めた。

 

ガラス繊維 1,000 Kgの製造に必要とされるけい砂の使用量は、 554.3 Kgであり、これに伴う炭酸ガスの発生量は 13.597 Kgとなった。従って原料けい砂には、24.5 Kg / t の炭酸ガスが伴うことになる。

     

(2)      ソーダ工場

ソーダ灰はソルベー法に従って製造されるものとした。原料としては石灰石と食塩が使用されるが、食塩による炭酸ガスの発生はない。

 

 

ガラス繊維 1,000 Kgを生産する際のソーダ灰の使用量は 114.3 Kgであり、これに伴う炭酸ガスの発生量は、27.962 Kg となった。従って、原料ソーダ灰には、 193.78 Kg / t の炭酸ガスを伴うことになる。

 

(3)      石灰石鉱山

石灰石の採掘・粉砕・文級に伴う炭酸ガスの発生量を同様にして求めた。

 

1,000 kg のガラス繊維を製造する際の石灰石の使用量は、126 kg であり、これに伴う炭酸ガスの発生量は、2.349 Kg となった。従って、原料ソーダ灰には、18.6 Kg / t の炭酸ガスが伴うことになる。

 

(4)      ほう硝に伴う炭酸ガスの発生量

ぼう硝についてはその製造工場で発生する炭酸ガスの量を次野ごとく求めた。

 

 

ぼう硝の使用量は2.57 Kg であり、これに伴う炭酸ガスの発生量は1.948 Kg となった。従って、原料ぼう硝には、757.97 Kg / t の炭酸ガスが伴うことになる。

 

(5)      カレットの回収・再生に伴う炭酸ガスの発生量

カレットについてはその回収・再生工程で発生する炭酸ガスの量をつぎのごとく求めた。

 

 市中より回収されるカレットの使用量は、ガラス繊維1,000 Kg当り、 304.3 Kg であり、これに伴う炭酸ガスの初整理用は、     73.571 Kg となった。従って、原料カレットには、 24.9 Kg / t

の炭酸ガスが伴うことになる。

 

(6)      ガラス繊維工場でガラス繊維を製造する工程で発生する炭酸ガスの量

ガラス繊維工場で発生する炭酸ガスの量を製造工程で使用するユーティリティーに従って次のごとく求めた。各材料の使用量は文献3)のガラス瓶の製造に関して使用されているデータを参考にした。

 

 

ガラス繊維製造工程ではこの他にソーダ灰ならびに石灰石の融解・分解にともなう炭酸ガスの発生がある。この量は

  ソーダ灰: 114.29 x 44/106  =  59.894 Kg / t

   石灰石 :  126   x 44/100  =  55.44  Kg / t

従って、ガラス繊維の製造工程では、785.25 Kg / tの炭酸ガスが発生することになる。

 

(7)      ガラス繊維に 伴う炭酸ガスの発生量

以上のような計算の元にガラス繊維の使用に際しては、これにともなう炭酸ガスの累積発生量としては表-3.14のごとくなる。

また、ガラス繊維は、原料ポリプロピレンを造粒する過程で樹脂

に練りこまれるが、この時の混入される形態、その段階、方法などになってエネルギー原単位が変って来る。

ここでは、とりあえずこれらの不確定要素を含めてガラス繊維の製品に伴う炭酸ガスの発生量を上述のようにして求めた839.7 Kg / t-ガラス繊維とした。

 

3.6 『カタワーク』の成形

『カタワーク』は樹脂材料を成形して製造される。この工程では、設備や樹脂の過熱に必要なスチーム、電力、さらには、一連の設備の駆動用の電力が必要とされる。これらの成形のために必要な材料とエネルギーの原単位を表-3.15に示した。

 

 

 輸送中の                 炭酸ガスの発生量

  『カタワーク』の輸送に係る炭酸ガスの発生を次のような基準から算出した。

   トラック     10t車

   積載量       500 枚/

   荷姿       10 / 梱包

     平均輸送距離    200 Km

 

この条件下でのトラック輸送での炭酸ガス発生量は、トラックの燃料の燃焼によるものである。

  0.742 Kg / Km x 200  =  148.4 Kg / 500枚『カタワーク』

             =  0.297 Kg / 『カタワーク』

以上の考察から、『カタワーク』の製品に伴う炭酸ガスの累積発生量は、

 『カタワーク』の製造に伴う炭酸ガス発生量  9.608 Kg-CO2

 『カタワーク』の運送に伴う炭酸ガス発声量  0.297 Kg-CO2

                                   合計    =  9.905 Kg-CO2

9.9 Kg-CO2 /『カタワーク』 となる。

 

3.7 まとめ

『カタワーク』の製造に関する炭酸ガスの排出量を中東における原油の採掘から始まり、輸入、精製、ナフサ・クラッキングを経て、プロピレンの重合、ポリプロピレンの成形加工工程まで、『カタワーク』の一連の製造における発生炭酸ガスの累積量を求めた。

その結果、『カタワーク』がユーザー型枠業者のもとで使用されるまでに、一枚当り  9.905 Kg-CO2 が大気中に排出されていることが分かった。

その内訳についてまとめた物が表-3.16である。

 

『カタワーク』の使用に際して、その転用回数を考慮すると、使用の条件、コンクリート打設後の型枠の管理の状況にもよるが、『カタワーク』の場合には1020回程度の繰り返し使用が可能である。従って、ここで転用回数を1020回と想定して一回当りの使用に伴う炭酸ガスの発生量を求めると:

 

  すなわち、0.50.99 Kg-CO2 / 枚・回となる。

 

この表-3.16から、『カタワーク』の製造過程の中ではナフサの分解過程で、燃焼により発生する炭酸ガスが非常に大きな比率を占めていることがわかる。また、重油、スチーム、電力などエネルギーとして消費されるものも大量の炭酸ガスの発生源となっている。

 こうした現状に対して、石油化学工業界では、製油所における燃焼技術や運転技術を改善するなど様々な省エネルギーの推進を計っている。その一例が表-3.17に示すような省エネルギーのための設備の改善である。

 

また、図-3.12には石油化学工業が省エネルギー対策として投資した額を示した。こうした努力の成果が図-3.13に示すように、石油化学工業における大幅なエネルギー原単位の向上となっている。

 

 

以上、合板代替の新しい型枠として開発された、樹脂性の型枠『カタワーク』について、その製品にともなう炭酸ガスの累積発生量を求めたが、さらに詳しい考察を加えるとするならば、

(A)           コンパウンド工場でのエネルギー原単位の把握

(B)           ガラス繊維製造工程での原料原単位の把握

などの見直しが必要である。

 

 4.          針葉樹合板

 

 針葉樹合板は、従来使用されていた合板の材料である南洋の丸太材に代えて、北米・旧ソ連などのカラ松に代表される針葉樹を使用して製造した合板である。

 針葉樹が注目されているのは、植林により森林の再生が可能であること、計画的な伐採が行なわれていることによる。従って、ここでは、管理植林が実際に行なわれている北米材を念頭において検討をした。     

 

4.1    針葉樹合板の製造工程

 針葉樹合板の製造は、まず、原料である丸太の伐採から始まる。針葉樹は北米山地に自然発育された物が切り出されているが、今後は植林された山からの伐採となる。伐採から合板製造までのフローをこれまでの合板製造工程を参考にして、その流れをまとめた。

 

4.2    原木伐採

原木の伐採は、北米の森林を想定した。原木伐採・輸送に係る前提を次のごとく考える。

   

原木伐採   丸太 径 300mm  高さ 20m(有効資源)

原木比重   0.9

伐採のための燃料  軽油  0.011 Kg / Kg-原木

 

原木伐採に伴う炭酸ガスの発生量

          

原木重量    

                                                                                                                            

                                         =  1,27 x 103  Kg /’原木

必要燃料              0.011 x 1,270  =  13.97 Kg

燃料の炭酸ガス原単位       0.190  Kg-CO2 / Kg

燃焼に夜炭酸ガス発整理用   0.010  Kg-CO2 / Kg

 

従って、原木一本の伐採に伴い発生する炭酸ガスの総量は、

   (0.190 +0.010x  13.97  =  2.79  Kg-CO2 / 原木

原木輸入

原木の輸送に伴う炭酸ガスの発生量は次のような前提の下に計算した。

 

20tトラックでの炭酸ガスの発生量:

  CO2 の排出     1.180  Kg / Kg

  原木の積載量     18 / 1.27  =  14.2

    1.18 x 300 / 1.27  =  24.9  Kg-CO2 / 原木

バルクキャリヤーでの炭酸ガスの発生量:

 CO2 の排出     0.00676  Kg / t-Km

  0.00676 x 8,000 x 1.27  =  68.68   Kg-CO2 / 原木

従って、伐採から輸入までの間で発生する炭酸ガスの累積量は 原木一本について:

    2.79 + 24.9 + 68.68  =  96.37  Kg-CO2 / 原木

となる。

 

4.3    合板製造

輸入された原木は次のような工程で合板にされる。

    

まず、原木の厚板をむいたものを煮沸槽の熱湯で24Hr煮る。これによって、木の中の油分を除き、後の接着工程での接着力の効果を高める。

次いで、ロータリーレースと呼ばれる切削機によりさらに表皮を剥ぎ奇麗にした後、同じロータリーレースで原木を回転させながら単板に削る。単板の厚みはそれぞれの用途によって0.5o〜5mm程度にコントロールされる。この単板を適当な幅に切断し、ドライヤーに入れて乾燥する。

乾燥した単板は接合をした後、スプレッダーで糊付けして、一枚一枚直交するように張り合わせる。

これに圧をかけて、さらに熱圧を加えて合板が出来上がる。最後に縦と横の寸法を切断によって上げる。これらの工程を図―4.2に示した。

合板の製造に係る炭酸ガスの発生量

合板の製造においては、様々な形でエネルギーが消費される。これらのエネルギーの発生に伴い炭酸ガスが発生する。

 合板の製造に係る炭酸ガスの発生量

 合板の製造においては、様々な形でエネルギーが消費される。これらのエネルギーの発生に伴い炭酸ガスが発生する。

 

原木処理

 原木を24Hr煮沸処理する。

 条件: 20℃ −−−−−>100℃まで加熱

     24Hr 放置。この間20%のスチームを補充

     原木の比熱             0.4  cal / g・℃  

     スチームのカロリー   800 Kcal / Kg 

     スチームのCO2発生原単位  250 Kg / t・スチーム

      原木の重量        1,270 Kg /

 

 加熱に必要な熱量:

   1,270 x 0.4 x ( 100 – 20 ) x 1.2  =  48.83 x 103 Kcal/

 必要なスチームの量

           

   炭酸ガスの発生量:

     250  Kg / t・スチーム x 0.061  =  15.26  Kg /

ロータリーレース・切断

 所要電力              300 Kwh     

  (モーター、クレーン、ホークなど込み)

 原木1本の処理時間                   20 分

 電力によるCO2発生量   0.547Kg/KWh

  CO2発生量:

        0.547 x 300 x 1/3   =   54.7 Kg /

乾燥・・・・合板一枚で検討する。

 

合板サイズ   600 x 1,800 x 12 ( mm )

 比重             0.9

 比熱         0.4 cal / g・℃

 蒸気加熱    30 atmスチーム   800 Kcal / Kg

 熱交換率       60 %

 乾燥            120℃、 60

必要な熱量

   0.4 x 12,960 x 0.9 x ( 120 – 20 )  =  466.56 Kcal /

必要なスチーム量

        

発生CO2

250 x 103  x  0.972  =  0.243  Kg /

熱プレス(接合)ならびに裁断

 電力加熱           50  --à  150 ℃

 比熱          0.4  cal / g・℃  

 ブレス機動力    50 Kw

    能力         100 / Hr

 電力のエネルギー換算2,250  Kcal / KWh

 加熱に必要な電力

      0.4 x 12,960 x 0.9 x 100 / 2,250  =  0.2074 KWh /

 

 プレス

 50 / 100  = 0.5  KWh /

 CO2発生量

0.547 x ( 0.2074 + 0.5 )  =  0.3869  Kg-CO2 / Kg

 

原木から合板までの炭酸ガスの発生量  

 原木から合板までの炭酸ガスの発生量を求めるために、一本の原木から得られる合板の枚数を算出する。日本の合板製造の場合には、原木の利用率が6570%と言われている。11 従って、径が30p、長さが20mの丸太から得られる合板の枚数は:

  合板による型枠は、通常、12mmの天板に桟木で補強した形で使用される。桟木を取り付けるのは型枠大工の仕事であり、型枠業者が資材センターもしくは建設現場で必要なサイズに合わせて作られる。こうして型枠として完成するが、ここではこの作業による炭酸ガスの発生はないものとする。

その結果、北洋材を原料とした合板の製造に係る炭酸ガスの発生量はトータルで次のようになった。

 

合板の型枠では、2 x 6板での炭酸ガスの発生量は、2.808 Kg-CO2 / 枚となった。

 

合板の輸送に伴う炭酸ガスの発生量

合板を使用現場まで輸送する際の炭酸ガス発生量は次のように求めた。

   トラック        4  t車

   積載量         200 枚/

   荷姿         平積み

     平均輸送距離     50  Km

 

この条件下でのトラック 輸送での炭酸ガス発生量は、トラックの燃料の燃焼によるものである。

  0.472 Kg/Km  x 50  =  23.6 Kg/200-合板

              =  0.118 Kg/合板

以上の考察から、北洋材使用の合板の使用に伴う炭酸ガスの発生量は、

 2.808 + 0.118  =  2.926 Kg/合板

となる。

 

4.4    まとめ

北洋材を伐採・輸入、合板製造を経て型枠までの工程を想定し、使用現場に搬入するまでの炭酸ガスの発生量を推定した。

 表-4.3に累積炭酸ガスの発生量を項目別にまとめた。その結果、合板の場合には、原木の伐採が産地で行なわれるところから、原木の搬出、ならびに、輸入のための設備に伴う炭酸ガスの発生量が大きな比率を占めていることがわかった。

 

針葉樹合板の転用回数については、従来の南洋材合板と同様、34回程度が可能と考え、ここでは、34回の転用を想定して一回の使用で排出する炭酸ガスの量を求めた。結果は次の通りである。

 

一回の使用に伴う炭酸ガスの発生量:

    

なお、合板の製造過程のうち、ロータリーレース、熱プレスなどの電力消費量をさらに詳しく調査する必要があるが、全体の炭酸ガスの発生量に占める割合からするとこれらの比率は 極僅かであるので、ここではこれ以上の検討は省略した。

 

また、熱帯資源の伐採に伴う炭酸ガスの固定作用については、空気中の炭酸ガス濃度の上昇に対する効果は、製造過程・輸送過程で発生する炭酸ガスと全く同じ影響を与えると考えられるので、地球環境に対する優しさの評価としては当然考慮すべき問題である。ただし、ここでは単に天然資源の持つ累積炭酸ガスの発生量はゼロとみなして議論した。森林資源の伐採による炭酸ガスの固定活動停止については後ほど考察する。

 

 

5 スチール型枠

 合板型枠と共に現在よく使用されている型枠にスチール製の型枠がある。転用回数が多く、仕上がりコンクリート面が奇麗であるので打ち放し用の型枠として使われることが多い。反面、重量が重く、作業がたいへんという指摘がある。合板に代わる型枠として実績のあるスチールについて、その製造工程における発生炭酸ガスの量を検討した。

 

5.1 製造工程

 炭酸ガスの発生量を求めるために想定したスチール製型枠の製造工程を次に示す。

 

 

5.2 鉄鉱石採掘

 原料となる鉄鉱石の殆どは輸入である。その主な輸入先はオーストラリア、ブラジル、インド、南アフリカなどである。図-5.2はわが国の鉄鉱石、石炭の原料ソースを示したものである。

鉄鉱石の採掘に必要なエネルギーは 重油の換算で、0.0515 Kg / 鉄鉱石1.85Kgである。3) 

 重油の発生にともなう炭酸ガスの発生量:

    0.245 Kg / Kg x 0.0515  =  0.0126

  重油の燃焼にともなう炭酸ガスの発生量:

    3.13  Kg / Kg x 0.0515  =  0.161

 

 

 日本への輸入は、海上輸送とした。代表的なケースとしてオーストラリアからの輸入を考えた。

オーストラリアからの輸送距離      6,000 Km

輸送手段             海上輸送

バルク船                      0.00676  Kg-CO2 / t-Kg

鉄鉱石の輸入に伴う炭酸ガスの発生量:

   0.00676  Kg / t-Km  x  6,000  = 40.56 Kg / t

                                  = 0.0406  Kg / Kg

従って、輸入される鉄鋼製の炭酸ガス発生量:

  0.01260 + 0.161 + 0.0406  =  0.2142 Kg / 1.8858 Kg-鉄鉱石

 

5.3 石炭採掘

 製鉄用の原料炭の輸入先はオーストラリア、アメリカが主である。ここでは、アメリカからの輸入を前提した。

文献3)によれば、石炭の採掘に必要なエネルギーは、重油の換算で、 0.0161 Kg / 石炭0.609-Kg である。3

鉄鉱石の場合と同様、石炭の採掘に伴う炭酸ガスの発生量は:

   ( 0.245 Kg / Kg  +  3.13 )  x  0.0161  =  0.0543

日本への輸入は海上輸送とした。代表的なケースとしてアメリカかの輸入を考えた。

アメリカからの輸送距離        8,000 Km

輸送手段             海上輸送

バルク船                   0.00676  Kg-CO2 / t-Kg

鉄鉱石の輸入に伴う炭酸ガスの発生量:

   0.00676  Kg / t-Km  x  8,000  = 54.08 Kg / t

                                  = 0.0541  Kg / Kg

従って、輸入される石炭の炭酸ガス発生量:

  0.0543 + 0.0541   =  0.1084 Kg / 0.609 Kg-石炭

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5.4 製鋼・圧延による薄板鋼板

 製鉄所における製鋼・圧延ならびに薄板鋼板の製造工程は、  図-5.3に示すとおりである。この工程での一連のエネルギー消費は 次の通りである。

   高炉から発生する炭酸ガス

 鉄鉱石はコークス炉から発生する一酸化炭素と反応して大量の炭酸ガスを生ずる。高炉製鉄法を図-5.413に示した。また、高炉の温度の状況が図-5.512)にまとめられている。鉄鋼所における炭酸ガスの発生は、鉄鉱石の還元の方式により種々様々である。ここでは文献3)より、鉄鋼所でエネルギー消費に伴う炭酸ガスの発生量を含め全工程での炭酸ガスの発生量を1.4533 CO2-Kg / 1.1 Kg-薄板鋼板とした。

スチール型枠の場合、殆どが鉄鋼メーカーが製造しているので製

 

造所から加工メーカーへの輸送は無視した。

 

5.5 型枠の製造

スチール型枠は、プレス成形と一部の溶接からなる。この工程でのエネルギー消費を次の表にように想定した。

 

従って、加工工程での炭酸ガスの発生量は:

 0.547 x 0.595 + ( 0.6505 + 3.03 ) x 0.012  =  0.3696  Kg/Kg

 

5.6 スチール型枠による炭酸ガスの排出

鉄鉱石の採掘、石炭の採掘、ならびにこれらの輸入、製鋼・圧延、そして プレス成形によるスチール型枠の製造まで、この全工程での炭酸ガスの発生量の総計は以下のごとくなった。

スチール型枠は 300 x 1,800ものとすると1枚が17.3 Kgであり、従って、一枚当りの炭酸ガス発生利用は:

 2.1456  x  17.3   =  37.11  Kg-CO2 /

となる。

 

さらに、スチール型枠を現場まで搬送する場合の 輸送に伴う炭酸ガスの発生量は、次のような条件をもとに算出すると、

 

 

   輸送方法        4t

   形態          パレット

   積載量        200/

   輸送距離       100 Km

      製品         300 x 1,800

              ( 重量   17.3 Kg ) 

      0.472 Kg / Km x 100  =  17.2 Kg-CO2 / 200

                        0.086 Kg-CO2 /

従って、使用時におけるスチール型枠の炭酸がす発整量は、

   37.11 +  0.086  =  37.196  Kg-CO2 /

合板サイズの  2 x 6 板の当りでは、

   37.196 x  2  =  74.392   Kg-CO2 /

となる。

 

5.7 まとめ

鉄鉱石の採掘、石炭の採掘、ならびに、これらの輸入、そして 、製鋼・圧延、プレス成形を経て製造されるスチール型枠の使用するまでの間に累積される炭酸ガスの発生量を推定した。結果を項目別にまとめたものが表-5.4である。その結果、スチール型枠一枚当り、37.2 Kg、また、2 x 6板当りで、74.4 Kgの炭酸ガスが発生していることが分かった。

 

スチール型枠の場合には、転用回数が4050回と言われている。ここで転用回数を4050回と想定して一回あたりの炭酸ガスの発生量を求めると次のようになる。

スチール型枠の一回当りの炭酸ガス発生量:

 スチール型枠製造・搬入のためのCO2発生量 

      

                                                                   =  1.491.86                                                

従って、1.49 〜 1.86  Kg-CO2 / 枚・回となる。

スチール型枠の製造過程では、製鋼工程での副産物としての炭酸ガスが1/3、この他に、電力消費が非常におおく、これに伴う炭酸ガスの発生が全体の発生炭酸ガスを大きくする要因となっている。

 

鉄鋼界ではこうしたエネルギー多消費産業としての社会的な責任を十分理解し積極的に省エネルギー対策に取り組んでいる。特に日本の鉄鋼業のエネルギー使用効率は諸外国に比べて非常に高く、世界の鉄鋼業が日本並みの使用効率で鉄を造れば、実に炭酸ガスの排出量を 2%、量にして、一億トン/年を削減できるといわれている

   6.南洋材合板 

各種型枠の製造にともない発生する炭酸ガスの量を比較するために、現行の南洋材型枠合板についても同じように炭酸ガスの発生量を求めた。

6.1 南洋材合板の製造工程

南洋材合板の場合においても、その製造過程は、針葉樹合板の場合と同様、まず、原料である丸太の伐採から始まる。南洋材は東南アジア地区の山地に自然発育しているものを切り出しているのが現状であるが、将来は植林された山からの伐採となるだろう。伐採から合板製造までのフローを示した。

 6.2 原木伐採

 原木の伐採は、東南アジアの森林を想定した。原木伐採・輸送に係る炭酸ガスの発生量は輸送条件など若干の差は考えられるが。基本的には針葉樹の場合と同様であるとする。

  

原木伐採に伴う炭酸ガスの発生量

                                   =  1,27 x 103  Kg /’原木

 

必要燃料              0.011 x 1,270  =  13.97 Kg

燃料の炭酸ガス原単位       0.190  Kg-CO2 / Kg

燃焼に夜炭酸ガス発整理用   0.010  Kg-CO2 / Kg

 従って、原木一本の伐採に伴い発生する炭酸ガスの総量は、

   (0.190 +0.010x  13.97  =  2.79  Kg-CO2 / 原木

原木輸入

原木の輸送に伴う炭酸ガスの発生量は次のような前提の下に計算した。

 

20tトラックでの炭酸ガスの発生量:

 輸送距離は100 Km とした。

  CO2 の排出     1.180  Kg / Kg

  原木の積載量    18 / 1.27  =  14.2

    1.18 x 100 / 1.27  =  8.3  Kg-CO2 / 原木

バルクキャリヤーでの炭酸ガスの発生量:

  輸送距離は、 日本まで、4,000 Km とした。

 CO2 の排出     0.00676  Kg / t-Km

  0.00676 x 4,000 x 1.27  =  68.68   Kg-CO2 / 原木

 

従って、伐採から輸入までの間で発生する炭酸ガスの類型量は、原木一本について:

 2.79 + 8.3 + 34.34  +  45.43 Kg-CO2 / 原木

となる。

 

6.3 合板製造

 輸入された原木は針葉樹合板の項で述べた工程で合板にされる。

南洋材の場合には、原木の油分含有量、原木材質の違いなどにより加工前処理や、合板製造過程での加工性が針葉樹の場合と若干異なるが、ここでは、これらの要素については言及しない。

 

合板の製造に係る炭酸ガスの発生量

針葉樹の場合と同様、各工程では必要エネルギーを求めて、これを炭酸ガスの量に換算して発生量を求めた。結果を表-6.2にまとめた。

 

原木から合板までの炭酸ガスの発生量

原木から合板までの炭酸ガスの発生量を求めるために、一本の原木から得られる合板の枚数を求める必要がある。これは針葉樹合板と同じであるので、一本の原木から製造される合板の枚数は、76.4枚となる。

 

以上の結果、南洋材を原料とした合板の製造に係る炭酸ガスの発生量は、トータルで次のようになった。

 

 

南洋材合板の型枠では、2 x 6 板での炭酸ガスの発生量は、 2.14  Kg-CO2 / 枚となった。

 

合板の輸送に伴う炭酸ガスの発生量

合板を使用現場まで輸送する際の炭酸ガスの発生量は針葉樹合板の場合と何ら変わることはない。

4t車、一台当り 200枚、現場までの距離 50Kmを輸送するものとして。

輸送での炭酸ガス発生量は、トラックの燃料の燃焼によるとして、

   0.472 Kg/Km  x 50  =  23.6 Kg/200-合板

              =  0.118 Kg/合板

 以上の考察から、南洋材使用の合板の使用に伴う炭酸ガスの発生量は、

 2.140 + 0.118  =  2.258 Kg/合板

となる。

 6.4 まとめ

 南洋材を伐採・輸入、合板製造を経て型枠までの工程を想定し、採用現場に搬入するまでの炭酸ガスの発生量を求めた。

-6.4に累積の炭酸ガスの発生量を項目別にまとめた 。その結果、南洋材の場合には、電力消費にともなう炭酸ガスの初整理用が圧倒的に多く、全体の約半分を占めている。針葉樹合板の場合と同様、森林伐採については別途議論する。

 

7. 「原木伐採による炭酸ガス固定の停止」について

 針葉樹合板の製造過程において発生する炭酸ガスの量を求める際に考慮すべきことは、現在の森林資源がその成長の間炭酸同化作用をしており、これにより空気中の炭酸ガスが固定され、その結果、大気中の炭酸ガス濃度のむ削減に重要な役割を担っているということである。図-7.1は、地球上における炭素の発生源とそのフローを図式的に示したものである。現在、熱帯雨林資源の伐採が問題とされているのは、地球環境保護の観点から、熱帯雨林を伐採することにより、植物の炭酸同化作用が停止し、空気中の炭酸ガス濃度を減少させる働きをストップさせてしまうとことである。これは言い換えれば、原木の伐採が炭酸同化作用により固定されていた炭酸ガスを空気中に放出することと同じ効果であると言える。そして、この量は、図-7.2に示されているがごとく、実に、年間 20億トンになる。従って、針葉樹合板の評価に当っても、炭酸同化作用による炭酸ガスの固定の量に見合うだけの量が空気中に排出されているとして針葉樹合板の製造における炭酸ガス排出量を求めた。

 

原木の伐採により炭酸同化作用が止まり、空気中の炭酸ガスが植物系内に取り込まれる作用が停止する。これにより大気中の炭酸ガス濃度が低下せず、結局は大気中に炭酸ガスが蓄積することになる。従って、この炭酸同化作用による炭酸ガスの固定量は、環境問題として炭酸ガスの濃度削減を議論する場合には、原木伐採による炭酸ガスの発生量とみなすのが妥当である。

 

北米における針葉樹林の場合には比較的整然と植林がなされているが、実際に原木として有用な樹齢のものになると、一本の木の占める占有面積は1015uである。23原木一本がどれだけの炭酸ガスを吸収しているかを推定する場合には、原木が生えている原木密度、すなわち、一定の面積の中にどれだけの原木が育成しているかと言うことから、一本の原木に相当する森林面積を用いる方法と、

単に一本の原木が占める占有面積だけを用いる方法が考えられているが、ここではより正確な数値が推定できる後者の考え方を採用した。

 

以上のような考え方を基本に、原木の伐採にともなう炭酸ガスの固定が損なわれる量を推定した。針葉樹合板の場合には、炭素の固定量を日本の森林の場合のデータを用いた。

   CO2の固定量      20トン/ha/

   原木の占有面積     10 u/

   原木の大きさ   径 300o、有効高さ 20 m

   植林の再生年数   150

          吉良のガド(スマトラ)山系における

          樹木の生長速度 21に基づき推定

 

炭酸ガスの固定量

   25 x 103  Kg/ha/年  =  2.5 Kg /u /

森林1uが150年間で固定する炭酸ガスの量

    2.5 x 150 =  375 Kg / u

これを原木の占有面積を考慮して、原木一本が固定する炭酸ガスの量に換算すると、

   375 Kg / u   x  10  =  3,750 Kg / 原木

となる。

原木一本当りの炭酸ガスの固定量の停止が、 3,750 Kg-CO2 / 原木であり、これは合板一枚に換算すると、  49.08 Kg-CO2 / 枚となる。

従って、森林伐採に夜炭酸ガスの固定停止の効果を考慮し、針葉樹合板の場合の炭酸ガス発生量を求めると、項目ごとの比率は

-7.2のごとくなった。

 

森林資源は、炭酸ガス濃度を減少させる有望な手段であり、且つ又、一度伐採すると元の資源まで回復するには 100年単位の歳月を要すると言われている。森林資源が地球にとってかけがえのない資源であるところから、この評価を決して小さく見積もってはならない。ここでは、管理的植林を前提としているが北洋材が計画的に再生されるものとして、森林資源による炭酸ガスの固定も熱帯雨林より十分に効率的に行なわることとして、出所のはっきりした文献19)のデータを採用した。

 

「南洋材伐採による炭酸ガス固定の停止」について

針葉樹の場合と同様、南洋材の森林資源による炭酸ガスの固定量は現段階では確定的な数値はない。文献、資料などに見られる炭酸ガス固定に関するデータは、表-7.1に示したとおりである。

 ここでは、比較的信頼できる調査が行なわれた西マレーシアのバソー森林に関するデータを採用した。

 

このデータを参考にして熱帯雨林の場合の炭酸ガスを推定した物が、表-7.4であるが、調査の報告によりかなりの差が出てくることが分かる。ここでは、パソー森林に関するデータから、次のような仮定をして、これを基準に炭酸ガスの固定量を推定する。

 

   CO2の固定量    12.9 C-t / ha /

   原木の占有面積   10 u / 原木

   原木の大きさ    径 300 / m, 有効高さ 20 m 

   植林の再生年数      90

          吉良のパソー(マレーシア)山系における

          森林の成長速度21に基づき推定した値 

 

炭酸ガスとしての固定量

     

森林1uが90年間で固定する炭酸ガスの量

  4.73 x 90  =  425.7   Kg / u

これを原木の占有面積を考慮して、原木一本が固定する炭酸ガスの量に換算すると、

  425.7 x 10  =   4,257 Kg / 原木

となる。

原木一本当りの炭酸ガスの固定停止量が、 4,257 Kg-CO2 / 原木であり、これを合板一枚に換算すると、 55.72  Kg-CO2 / 枚となる。

    

 

南洋材合板の製造・使用に伴い発生する炭酸ガスの量を、熱帯雨林の伐採によって停止する炭酸ガスの固定作用を加味して推定したものが表-7.5である。その結果、炭酸ガス固定停止の効果が全体の9割以上を占めている。

南洋材合板型枠がいま問題となっているのは、熱帯雨林を初めとする森林資源の伐採が空気中の炭酸ガスの濃度を増大させる大きな要因となっているからであるが、問題となっているのはそればかりでなく、森林資源そのものが炭酸ガスを減少させる有望な手段であるからである。よく言われているように、熱帯雨林の伐採では、有効な原木の密度は比較的低く、一本の原木を確保するために、その周辺の森林資源が破壊され、且つ又、その原木の搬出のために森林を切り開き道路がひかれる。この様に南洋材を原木とした場合には、原木伐採の波及効果は計り知れない。原木を一度伐採すると、元の森林資源に回復するまで100年単位の歳月を要すると言われている。また、時として全くもとの状態には復帰しないとさえ言われている。その結果、地球の温暖化が継続的に進行し、森林に住む貴重な動物が絶滅し、砂漠化が進行していくのである。

この様に、森林資源が地球にとってかけがえのない存在であり、さらに、森林資源が我々に与えてくれる自然の恵みに計り知れないものがあるだけに、その存在意義を決して小さく見積もってはならないのである。

 

8. 各種型枠の製造ならびに使用に関する炭酸ガスの累積排出量の検討結果 ― まとめ

 

地球温暖化問題、ならびに、環境保護の観点から、各種型枠の製造・使用に際しての炭酸ガスの累積灰流量を比較した。

 検討したそれぞれの型枠について、炭酸ガスの総排出量とその構成を表-8.1〜表-8.4にまとめた。結果は型枠の標準サイズである2 x 6 板に統一して比較した。

 樹脂型枠である『カタワーク』の炭酸ガスの累積排出量は、表-8.1に示したとおりである。

 

『カタワーク』の製造においては、ナフサのクラッキング時にフレアーで燃焼して発生する炭酸ガスが非常に多いことが分かる。またり、電力の生成に伴い発生する炭酸ガスは全体野1/5で、省エネルギーの改善が望まれる。

 

次に北洋材を原材料として製造された合板の炭酸ガス累積排出量を表-8.2にまとめた。この表からも分かるように、針葉樹合板の製造では、輸入のための輸送にかかわる炭酸ガスの発生が約4割を占めている。次いで、製造時に要するエネルギー源としての電力の消費にともなう炭酸ガスの発生が比較的大きい値を示した。

 

   

北洋材合板の場合には、伐採によって森林の炭酸ガス固定か停止する。この炭酸ガス固定による炭酸ガス濃度上昇効果を炭酸ガスの発生量として評価すると、この量が圧倒的に大きくなり、この炭酸ガスの固定の量を発生炭酸ガスとして見積もることが、地球環境に対する優しさとして判断する際に如何に重要であるかということが分かる。

 

北洋材合板の場合の、森林資源による炭酸ガス固定停止の量:

   CO2個定停止       49.084  Kg-CO2 /

従って、森林伐採による炭酸ガス固定停止の分を含めると。北洋在合板では炭酸ガスの発生量が、 52.0155.72  Kg-CO2 /

となる。

 

次に薄板鋼板を材料とし製造されたスチール型枠の場合の炭酸ガス累積排出量を表-8.3にまとめた。

 

スチール型枠の場合には、高炉での燃焼による発生ガス、ならびに、エネルギー源としての電力の消費に起因する炭酸ガスの発生が多く、それぞれ全体の40%近くを占めている。

 

つぎに南洋材を原料として合板を製造した場合の炭酸ガスの発生量を表-8.4にまとめた。

南洋材合板についても、森林資源の伐採にともなう炭酸ガスの固定停止の量を加味する必要があるが、ここではまず、単に製造・運版までの値を求めた。

 

南洋材の製造では、エネルギー源としての電力から発生す炭酸ガスの量が約1/2で非常に大きい。ついて、海外からの輸送のための

 

燃料から発生する炭酸ガスという形である。

南洋材の場合も北洋材合板と同様、森林伐採に伴い炭酸ガスの固定停止が起こるのでこれを推定した。

その結果、熱帯雨林の場合の伐採による炭酸ガスの固定停止の量:

   CO2個定停止       55.72  Kg-CO2 /

従って、これを加味した場合の南洋材合板の炭酸ガスの発生量は、

  南洋材合板のCO2の発生量 57.978  Kg-CO2 /

    (熱帯雨林の伐採によるCO2の固定停止を考慮した場合

となる。

 

南洋材の場合には、針葉樹の場合よりも更に熱帯雨林の伐採による炭酸ガスの固定停止による見かけ上の炭酸ガス発生量の割合が大きくなっているが、。これは、熱帯雨林の炭酸ガス固定量の差と、輸送距離の差などによるものである。

針葉樹の場合にも、 また、南洋材についても、森林資源が炭酸ガスの固定に非常に重要な役割を果たしていることが指摘されているが、評価に10年、100年単位の時間をようするのでさらに信頼すべきデータの採取が必要である。

 

各種型枠の炭酸ガス発生量の比較

以上、各種型枠の炭酸ガスの発生量を求めてきたが、これをさらにそれぞれの型枠の使用時における転用回数を考えて各種型枠の地球環境に対する優しさを評価する尺度とした。これをまとめたものが表-8.5である。

 

以上のように、南洋材を原料とする合板に代わる各種代替型枠について、環境に対する優しさという観点から炭酸ガスの発生量を比較したが、結果は、南洋材合板が最も小さく、次いで針葉樹合板と樹脂型枠の『カタワーク』がほぼ同等であり、スチール型枠では炭酸ガスの発生量はやや多くなることが分かった。

 

また、針葉樹合板や南洋材合板の場合には 森林資源の伐採による炭酸ガスの固定停止を、炭酸ガスの発生とみなして評価した。その結果を表-8.6に示した。これから、合板型枠の場合には、。森林資源の伐採に伴う炭酸ガスの発生量が非常に大きな値になることが分かった。

 

炭酸ガスの濃度上昇が地球温暖化の要因であることを考えれば、単に、製品の製造に係る炭酸ガスの発生量だけで議論すべきではなく、森林資源による炭酸ガスの固定停止についても正しく評価をしていく必要がある。ここでは森林資源の炭酸ガス固定停止の値を参考までに算出したが、。森林伐採が単に炭酸ガス固定停止につながるだけでなく、野生動物の絶滅を誘引し。砂漠化を促進し、自然環境を破壊している現状を考え合わせ、是非、今後とも真剣な議論をしていく必要がある。

 

            (平成6429日記)

 

 本報告をまとめるの当り、関係各方面の方々に貴重なご意見と、ご教示を賜った。この場を借りて御礼を申し上げたい。また。引用・参考にした文献を以下に掲げた。殆どの文献が公に発行されたものであるので、さらに詳しい検討が必要な方は原文に当って頂ければ幸いである。

 

 参考文献

1)     石油連盟 「今日の石油産業」

2)     石油化学工業会  「石油化学工業と地球環境問題」

3)     (社)プラスチック処理促進協会 「プラスチック製品の使用量増加が地球環境に及ぼす影響評価」

4)     沖 慶雄 NIKKEI MATERIALS & TECHNOLOGY  93. 7  P63 「環境負荷は数字で読める」

5)     藤堂、高田 NIKKEI MATERIALS & TECHNOLOGY 92. 8  P8 「“環境への優しさ”は定量化できるか」

6)     住友化学工業(株)「地球ISM

7)     石油連盟 「石油―環境との調和をめざして」(1992.5

8)     CMC社  「内外化学品資料」

9)     化学工業社 「プロセスフローシート」 <1>より p32

10)   日本放送協会 “木版画に楽しむ” P52

11)   日系産業新聞 ’93.10.29 “木工業界の現状と課題”

12)   日本鉄鋼連盟 「鉄の出来るまで」

13)   社)日本鉄鋼連盟 “高炉法と非高炉製鉄法” 「鉄鋼界」(1992.4p32

14)   茅 陽一郎編 「地球環境データブック」 (オーム社)

15)   CO2対策としての砂漠緑化技術調査研究会”による推定値

16)   地球環境大辞典 p102 (学研)

17)   吉岡 化学経済 1992.1 p44 2001年に向けての経済政策と環境・エネルギー政策”

18)   地球環境大辞典 p126  (学研)

19)   小林編 「沈黙する熱帯林」 p301 (東洋書店)

20)    McMurtrie R. & Wolf L. Above- and Below –growth of forest stands: a carbon budget model, Annals of Botany 52:

   : 437-448

21)   四手井、吉良:「熱帯林を考える」 p96 – 121 (人文書院)

22)   地球環境大辞典 p103  (学研)

23)   筆者らによるアメリカ・シェラネバダ山系ナショナルフォレストの実態調査

 

その他の参考資料

 

石油化学産業と環境保全に関して

 出光 環境問題ワーキンググループ編 「地球環境ハンドブ

 ック」

丸善石油 「現代社会と石油」

石油化学工業協会  「ひろがり」

石油化学工業協会  「PETROCHEMICAL.21 NOBLE USE

 

プロピレン、ポリプロピレン製造の原単位に関して

 奥 光夫 化学経済 1975.10 p26 {ポリプロピレンの新製 

      造技術」

 鈴木 明 化学工場 17 No.1 p67 1973

 M.B.Sherwin et.al., Chem. Eng. Progress, 68 No. 3 p-69

  (1972)

 住友化学工業(株) 内部資料

 奥 光夫ら 化学装置  1978.6 p20

 山口興治  化学装置  1976.8 p11

鉄鋼業と環境保全に関して

藤目和哉 “エネルギー需給の展望は経済成長と環境保全との調

  和が課題” 「鉄鋼界」(1993.3p2

鉄鋼連盟 エネルギー対策委員会 “一貫製鉄所の省エネルギー  

   対策とその成果” 「鉄鋼界」 (1993.3p18

鉄鋼連盟 エネルギー対策委員会 “一貫製鉄所の未利用エネル

 ギー ” 「鉄鋼界」 (1993.3p24

小林 茂 “UNCEDに向けた地球環境問題の現状と課題”

 「鉄鋼界」 (1992.4p2

 

鉄鋼業に関する資料

川崎製鉄  PR

 

森林資源と環境問題に関して

Lester R. Brown  State of the World” (ダイヤモンド社)

(株)間組 「アジアと地球環境問題」

地球と環境と開発を考える会 「破壊される森林資源」(岩波ブック

レット)

四手井綱英、吉良達夫監修 「熱帯雨林を考える」 (人文書院)

Alexander S. Mather 「世界の森林資源」 (築地書館)