北米・北西岸のトーテム のシャチ
(インディアン紋章)


カナダでゲットしたシャチ(木製)、大きい背ビレが特徴


1.トーテム(totem)とはナニか

民族・種族・部族・氏族等が動物、植物、あるいは自然現象(雷など)等を人間と同一視し、
超自然的な力を持っていると考え、さらに自分たちの祖先と特別な関連があると信じ伝えて残すこと。
これらのものを族の「紋章:クレスト」として使用した。
この紋章はデフォルメ、抽象化してデザインされ、家・カヌー・食器・衣類や墓柱・家柱などにつけられた。

北米インディアンのトーテムの種類には
鳥:サンダーバード(架空の鳥)・ワタリガワス・ハチドリ
哺乳類:オオカミ・クマ
魚類:サケ・オヒョウ・カジカ
海産哺乳類:シャチ・アザラシ・オットセイ・トド
昆虫:チョウ・カ
天体:太陽・月     などがある。


大きく柱状のものは『トーテム・ポール』とよばれる。

たとえば、日本ではアイヌのクマ・シャチ、日本沿岸の「クジラ=エビス」信仰 と類似している。
しかし日本では紋章(クレスト・シンボルマーク)としては使われていない。

2.トーテムのシャチ:Whale Killerについての特徴

@ 「頭」 が大きい。
A 「歯がついた口」
B 「背ビレ」が大きく、円形・卵型マーク、穴があけられているものがある。
背ビレ数は2〜4本のこともあり。
折れ曲がった形もある。
人型が入ったものも見られる。
「胸ビレ」の付け根は丸型、胸ヒレに丸い型のデザインがある。
C 「眼」が大きく人の目に近いデザイン、擬人化され眉も見られる。
目型は単眼・複眼で方々に使われている
D 「噴気孔・汐吹き」もある。
E 「体の色」は黒と白で鮮やかである。綺麗に彩色されている彫刻もある。
F 「尻尾」にも丸型マーク2個があり、上下に折れ曲がったものもある。
G 「全体」に丸型や人面、目形などが描かれ、彫刻されている。
丸型に眼形・目玉が多く点在しているデザインで空白が無いように画かれている。
人間と同一視して擬人化され、胴体が人間に似たり、二本の足があるものもある。
各部分を切り離して分解、人型に再構成したシャチも見られる。

3.地域性など

北太平洋北東沿岸一帯にすむインディアン・インディオに多いこと。
神話に語られていること。
人が神やトーテムとして崇拝している動植物等であること。
シャチはクジラを海岸に追い込んでくれる、食料をもたらしてくれるものとされる。
(日本のクジラ・エビスに合致する。アイヌ文化に見られる海神でもある。)

4.紋章・シンボルマーク

地域のシンボル柱(トーテムポール)、家屋(柱)、仮面、頭飾り、衣服、儀礼用衣服、呪具、
武器、楽器、食器、土器、船、櫂カイ、玩具などに動植物のモチーフが表現されている。
氏族の特徴を持ったマークである。

5.トーテムの様式は大きく二つに分けられる。

(1) 『象徴的様式』:動物や超自然的存在を象徴的に表すもので、主に男性によって作られる。
トーテムポール、立像、仮面、家屋の正面壁・内装、箱、食器、漁具・猟具、カヌー、
籠製帽子などに浮き彫りに刻み込まれたり、絵の具で描かれている。
(2) 『形式的様式』:籠や筵に編み込まれた幾何学模様で、主に女性によって作られる。
幾何学模様は紋章を表すものでも、意味を表すものでもない。実用・販売のためである。

6.クレストの様式化と特徴

(1)象徴化:動物や自然現象を特徴的に表すかたちを強調したり、付加すること。
(2)分割表現:動物や人の体を中心線に沿って左右に切り開いて表現する方法。
(3)部位分割・再構成:動物や人体の部位を分解し、再構成し表す方法。
(4)二つの側面図を一つの正面像に合成し表す方法。
(5)非対象性を利用しながら精緻なシンメトリー(左右の各部分のつりあいがとれていること)を表す方法。
(6)同一の身体部位の反復・流用。
(7)知的図面構成。
(8)象徴の組み合わせ表現。

※(資料:トーテムの物語―北西海岸インディアンのくらしと美―
北海道立北方民族美術館発行:不可解なるものの力 大村敬一著)

現在でも指輪、壁飾り、バッチ、リング、ストラップ、キーホルダー、彫刻、影絵・シルクスクリーン、
版画、カゴ、ブレスレッド、帽子、Tシャツなどに見られ売られている。

7.他国との関連

アンデス文明(ナスカ文化)の地上絵のシャチも似たデザインで、
土器に画かれているシャチは北米のトーテムに類似している。
モンゴロイドの関連があるのかもわからない。

8.トーテムのシャチたち


カナダで見たシャチ

カナダで見たシャチ

背ビレが4本のシャチ
(資料:トーテムの物語―北西海岸インディアンのくらしと美―北海道立北方民族美術館発行)

ナスカのシャチと比較してください⇒⇒⇒ ■ナスカ風くじら 



シャチ、卵を腹に持ったサケ、架空の生物のHawk Man(タカ男)
言い伝えや神話の登場者か?
(資料:トーテムの物語―北西海岸インディアンのくらしと美―北海道立北方民族美術館発行)

汐吹きのシャチ
  方々に目玉か顔形が入っている
ギリシャのガラス細工の目玉のようです。
噴気孔は人間か?、頭から噴気が出ている。
人間と同一視・擬人化が見られる。
(資料:トーテムの物語―北西海岸インディアンのくらしと美―北海道立北方民族美術館発行)


シャチの体部分を分解し、背ビレを頭に他は左右対称に並び替え人型のように構成していろ
シャチには見えない。
  背ビレだけで シャチを表現することもある。
(資料:トーテムの物語―北西海岸インディアンのくらしと美―北海道立北方民族美術館発行)

勇魚文庫にあったトーテム

勇魚文庫で見たトーテムポール 小さいので玩具か インディアン作

背ビレが大きいシャチ(鯱)  インディアン作

勇魚文庫で見たシャチ  インディアン作

背ビレが大きいシャチ車  インディアン作?

渡瀬コレクション

カナダの陶器製壁掛け シャチの背ビレが人面になっている
大きい歯、胸ビレが2個、尻尾部分に目玉状の模様がある。

カナダのクジラはこちらをご覧下さい
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■カナダのインディアン風鯨たち